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HRのプロ・向原茉莉江さんに聞く、「成果が出るチームの共通点」

BranCo!の卒業生で現在各界で活躍されている方々に、BranCo!での学びや現在のキャリアについて伺う連載企画「After BranCo!」。
第三弾はBranCo!2013(テーマ:「土産」)に参加し、現在 STORES 株式会社 で様々なHR施策を手掛ける向原茉莉江さんに、学生スタッフの鈴木と社員の岩佐でインタビューを行いました。
東京大学から新卒でリクルートに入社し、官公庁への出向を経て現在の会社 STORES に転職した向原さん。今回はそんな向原さんにBranCo!に関する話や、成果を出せるチーム作りについてお話を聞いてきました!


左上:向原さん 右上:鈴木 中央下:岩佐

チームで成果を出すための、変化対応力とは

ーまず、向原さんが現在勤めている STORES という会社について教えてください。

飲食店や雑貨屋など実店舗を持つ中小事業者のオーナーさんたちが、ネットショップやオンライン予約、キャッシュレス決済など、お客様に関する業務のデジタル化に対応できるようにするためのサービスを提供している会社です。
複数の別々のサービスが経営統合していて、2018年と比べるとすでに10倍ほどの社員数になっています。急激に成長している会社なので制度的にも統合されておらず、今は人事的にすごく大変なタイミングです。そんな時に人事が出来るなんて面白そうだな、と思って転職をしました。今は採用マネージャーとして新卒採用や中途採用に携わっています。

ー向原さんが採用活動を行う中で、成果が良く出ているチームにはどんな人が多いと思いますか?

変化対応力がある人、でしょうか。STORES は事業も組織も急激に成長しているので、組織や事業の変化がすごく大きい。そこで、そういった大きな変化に対応できる能力はすごく大事なんだと思いました。どんな状況でも自分なりに仮説を立てて課題設定をし、行動できる人たちは活躍できていると考えています。

ー採用の中でそういった能力を見極めるのは難しいと思うのですが、向原さんはどんなところで判断しているのですか?

自分の経験を振り返ると、自分が責任者やリーダーとして意識を持って、成果を出した経験があるかは大きいと思います。前職でも「成果が出ないのは自分のせい」「他人が動いてくれなかったとしてもそれは周りを動かせなかった自分のせい」「じゃあどうやって巻き込めば良いのか」など、色んなことを環境や人のせいにせず、自分ごととして考え続けた経験はすごく大事だったと思います。
 
ー個の力が強い人たちをチームとしてまとめるのは、その分難しさもありませんか?

確かに難しいです。でも、だからこそ今の会社で学ぶことは多いと思っています。今の会社では、私が最近入社したということもあり、まだわからないことが多く、ちゃんと色んな人を巻き込んでいく必要があるなと思っています。その時に自分が出来ることと出来ないことを理解して、正しく人を巻き込んでいくことが大事になってきますね。

発想の枠を「意識して」外す

ー現在向原さんがBranCo!から影響を受けていると感じるところはありますか?

二つあります。
一つ目は「ユーザーのリサーチの難しさ」を知ることができたことです。BranCo!は「誰に」「どんな行動・経験」をしてもらうかをひたすら考える機会だったと思っていて、採用でも同じようなことをする機会が多々あります。
採用のための企業HPのメッセージを考える時や、イベントを企画する際に、「どのターゲットにどういう見せ方をしていくのか」っていうコンセプトを考えることがあるんですよ。
ファクトの量を集めることはもちろんですが、ターゲットがインタビューで「語った」ことだけに引っ張られすぎず、「実際にどう判断・行動したか」まで見に行くことも大事にしています。当時BranCo!で、ターゲットインタビューでヒアリングした言葉に捉われすぎて企画をしてしまった経験があり、その失敗から今でも大事にしていることです。

二つ目は「コンセプトを考える時に、何を競合とおくか」という話で、「新しい独特な切り口で競合を考えたときに違うコンセプトが生まれる」と教えてもらったことが印象に残っています。
例えば当時のテーマだった「お土産」で考えると、普通ならプレゼントとかかなって思うんですけど、それだとアイデアは広がらない。もっと軸をずらして考えてみたり、発想の枠を広げる必要があると学びました。この話はいまだに仕事中に何度も思い出します。どんな企画をするときでも、大事な観点だなと思いました。

当時の発表資料。娘にお土産を買って帰るパパのために、
地元の人たちがイチオシの品をセレクトするサービスを提案した。



ー確かにどんな切り口で考えるかによって、出てくるアイデアは大きく変わりますね。

仕事をしていても、発想の枠を外す機会ってそうそうないんですよ。例えば採用を考えたときに、「確実に目標を達成するためには」って考えるとオーソドックスで分析的な思考しかできなくて、遊んだ考えをしてみようとは思えない。
でも、それだけだとやっぱりワクワクするようなアイデアは出てこないんですよね。だから思考の枠を外して考えるってことはすごく大事だなと思うし、それを学ぶ機会って中々ないから、BranCo!は良い機会だったと思います。

ー今からもう一度同じテーマに取り組んだら、もっと良いアイデアが出せると思いますか?

どうだろう。でも自分が得意とする分析的な思考を抜きにして、面白いアイデアをバーンっと出せるかというと、多分「意識して出す」ことになると思います。思考の癖ってすぐに変えることは出来ないので。でも、それを意識できるかできないかが大きな差だと思います。
現在採用の大きなプロモーションを企画しているんですけど、やっぱり合理的に考えてしまうことが多くて。そういう時も自分が出来ないところを理解しながら、なんとか思考の枠を外してみようと意識することで本当に自分がワクワクするようなアイデアを出すことが出来たりします。

ー確かに。自分の得意不得意をわかっていると、どういう人を巻き込んだらいいかとか、巻き込んだうえで自分の役割は何なのか意識しやすくなる利点もありますね。

そうそう。私が昔いた部署では、面白いし話題性もあるからって言って、ニュースになっちゃうような採用の提案をする人がいっぱいいて。アイデアを考えるところでは、その人たちにはやっぱり敵わないなと思いました。でも感覚的なところでは負けちゃうけど合理的な思考では負けないようにしようとか、自分に足りない所は他の人を巻き込むことで補おうとか、自己理解がちゃんと出来ていたからこそ勝ち方を考えることが出来ました。

本気で熱中できるアイデアを探す

ー実際にワクワクするようなアイデアを出すために、意識していることはありますか?

色んな制約を外してみるのは良い方法だと思います。会社の5周年を記念するPRを企画するときも、物理的な制約や経済的な制約が無かったらと考えてみると、コラボする会社のすごく偉い人を呼んでみたいとか、47都道府県のご当地グッズを作って抽選で配りたいとか、色んなアイデアが出てきたりする。それって合理的に考えたら効率が悪かったりするんですけど、そうやって色んな制約を外して、自分が本当に面白いと思えるところまで徹底的に考えてみることはとても大事だと思います。
あともう一つ、中長期的な視点で考えることも大事だと思います。例えば、その5周年の企画を例にして話すと、中長期的には5周年イベントは「会社のカルチャー」を伝える良い機会ですよね。そこで STORES は全国のオーナーさんの「商い(=経営)を支援する会社」。だからこそ、自分たちでお店をつくって経営しよう、というアイディアも出てきました。短期的な採用や認知形成の目標にはつながらないものの、中長期的な観点でいうと意味がある、面白いアイディアだと思います。

ー会社としても”「たのしみ」のための経済へ。”と「たのしみ」をキーワードに掲げられていますよね。

「Just for Fun」ですね。やっぱり、合理的に考えるだけでは、熱中してこだわりを持って取り組む人に敵わない。STORES が支援するオーナーさんは、そういった「熱狂」や「熱中」というすごいエネルギーを持っている人が多いんです。
だからこそ、オーナーさんと同じく、自分たち自身も「本当にワクワクするか」とか、「本気で熱中できるか」は大事にして考えています。

ーありがとうございました!


向原茉莉江(ムコハラ マリエ)(@MarieMukohara

1990年生まれ。東京大学文学部卒業大学院工学系研究科建築学専攻修了。新卒でリクルートに入社し、採用・育成・組織づくりのコンサル営業に従事。2018年より自社の採用担当や人材開発に従事。2020年には省庁出向も経験。2021年よりSTORES 株式会社(旧:hey 株式会社)に入社。
採用チームMgrとしてポテンシャル採用・中途採用など幅広く担う。

趣味:お酒を飲むこと、キャンプ




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