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研究者崩れの、とある悪夢

このところ異常なまでに暖かいせいか、午前中に布団を被って寝ると悪夢が酷い。

そんなことを言っているのであれば、昼間に寝ないで働け!ということにもなるのだが、それが出来るのであれば社会復帰している。いや、しないかな。正直なところ、もう仕事で他人と関わるのは想像するだけでも恐ろしくて血の気が引く。背筋が寒くなる。

ここ数日の悪夢。3日連続で実験ネタだったのだが、覚えている2日分を書き出してみる。特に意味はない。

その1:指導教官に先日の実験結果を見せてくれと言われるが、なぜか実験ノートの肝心な部分が書き込まれていない。以前にも書いた僕の悪夢あるあるだが、なぜか自分でも解読不可能な謎の記号が書き込まれている。ぞっとする。慌てる。視界が歪む。息が苦しい。そして目が覚める。

その2:実験を始める。今日はWittig反応をすることになっているらしい。メチルトリフェニルホスホニウムブロミドを計ってフラスコに入れる。塩基にはリチウムジイソプロピルアミドを使おう。いや、用時調製なので面倒くさいな。やっぱり高価だけどリチウム(ビストリメチルシル)アミドの方が楽なので、そっちにしよう。冷蔵庫から出してきて、室温に戻さなきゃ。

戻ってくると、さっきのフラスコがない。もう1回はかりなおす。あれ?もう一方の原料を計ってないじゃん。そちらを溶媒に溶かす。冷やすんだっけ?さっき持ってきたリチウム(ビストリメチルシル)アミドの瓶が見当たらないだけど。面倒くさいけど、やっぱりリチウムジイソプロピルアミドにしよう。調製する。もう一方のフラスコを見ると、中身の色が茶色く変色してしまっている。分解してるんじゃないの、これ?ここまで3週間もかけて作ったのに、モタモタしてたからダメになっちゃたよ。冷や汗が出る。吐き気がする。よく見ると、実験台は大学院生のときのだ。これ、もしかして夢かも。これは現実じゃない。そして、目が覚める。

たぶん、もう一生実験なんてすることはないから、そろそろ解放されたい。


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