出典解説V 「AVENTURE(アナログ復刻盤)」 2018年7月 ソニー・ミュージックダイレクト
Zから遡ってAへと進む出典解説シリーズのVです。
V 「AVENTURE(アナログ復刻盤)」 2018年7月
ソニー・ミュージックダイレクト
大貫妙子の復刻アナログ盤発売に際して、新規に書かれたライナーノーツです。
この「発言集成」の文章の選択に際しては「固有名詞の含まれるもの」「固有名詞の多いもの」を優先するという基準があります。
このライナーノーツにはとりわけ映画のタイトルが類を見ないほど多いので、タイトルを列挙した箇所は即、採用!という勢いで作業を進めました。
その結果、V01には13行の文中に16作ものタイトルが並ぶという情報量の多いページになっています。これだけの映画をすべて観ている人というのは、おそらく自称フランス映画好きの中でもごく限られた人で、大貫妙子マニアですら網羅しきれないのではないでしょうか。
私が観た記憶があるのは16作中5作で、一体いつになれば理解しきれるものか見当もつきません(理解とは何か、その必要があるのかといった議論は脇に置くとして)。
V02では、それらの映画がどのように曲と関連しているかが少しだけ語られています。いわゆる「牧村ボックス」と呼ばれる多数の資料のうち、その中身と結果、いわば種と果実の関係にまで言及した、珍しい発言と言えるでしょう。
性質的に似た内容のリストとしては「大貫妙子 40周年記念アニバーサリーブック」での「私のルーツ・ミュージック」や「私の中のヨーロッパ」もあります(監修は牧村憲一)。
ちなみに「発言集成」で頻繁に言及される人物中、特に頻度の高そうな人だけでも索引を作るべきかと考えもしましたが、結局それは増補改訂版が出るまでの気休めに過ぎず、出たらすぐに無用になってしまいそうなので手をつけていません。
現時点で、暫定的にちょっと目につくページのみを書いてみますと、
大貫妙子……28、67、68、115-117、151、162
項目でいうと、C09、G04、G05、Kすべて、R10、T06
となります。
国内外の、そして後世の大貫妙子研究家にとっても、この本が役に立つ日が来るのでは……、とひそかに期待しています。
【今週のこのフレーズを勧めたい!】
それは大貫さんの声そのものが音楽であり、映像が見えると。まさにヨーロッパ路線を勧めた自分の意図と重なる発言でした。