出典解説R「『ヒットソング』の作りかた ― 大滝詠一と日本ポップスの開拓者たち」 2016年12月 NHK出版
「牧村憲一発言集成」の出典解説の続きで、今回はRです。
R「『ヒットソング』の作りかた ― 大滝詠一と日本ポップスの開拓者たち」 2016年12月 NHK出版
本書は音楽に関するお仕事を振り返る本で、一般向けに書き直したコンパクト版「ニッポン・ポップス・クロニクル」(2013)のような性格です。
どの部分を選ぶかという判断にはやはり難しいものがありましたが、
「プロデューサー」に関するR06、
「一枚のアルバムには100のアイデア」とするR08、
大瀧詠一の録音に関するR09、
などは、ぜひとも収録しておきたかった発言として印象に残っています。
この本はごく平易に書かれているため、これまでの著書、これ以降の著書を経た後ではやや物足りなく感じられる点もありますが、他のプロデューサーの書かれた新書と比べると違いがよく分かります。
たとえば、同じ1946年生まれの木崎賢治著「プロデュースの基本」を読むと、音楽プロデューサー業がどれほどヒット曲を要請され続ける立場であるか、特に会社組織の内部でそのような課題を背負わされ続けることの厳しさが伝わってきます。
レコ―ド会社の音楽制作プロデューサーから、やがてフリーになった人と、フリーからいったんレコード会社の音楽プロデューサーになった人、といったようにコースが真逆なので、他にもあれこれと、同時代の並走者として興味深い比較のできる本です。
余談ですがこの本のタイトル「ヒットソングの作り方」は、どうも牧村さんご自身の発案ではなさそうだよなと思い、いきさつを伺ったことがあります。
その答えは……、そのうちどこかで明かされるかもしれません。
(この解説は毎週一回のペースで更新する予定です)