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出典解説U「慶應義塾大学アート・センター/Booklet26 mandala musica」 2018年3月  KUAC

Zから遡ってAへと進む出典解説シリーズのUです。


U「慶應義塾大学アート・センター/Booklet26 mandala musica」 2018年3月  KUAC


慶應義塾大学に附属しているアート・センター発行の26号から採りました(現在でも入手可能)。



本書は四つの討論と五つの論考から構成されており、2017年に刊行された「渋谷音楽図鑑」と同じメンバーによる出張版のような討論「湘南音楽図鑑(牧村 憲一 × 藤井丈司 × 柴 那典)」が収録されています。

話題は多岐に及びますが、やはり興味深いのは土地と文化の関係に触れられている点で、特定の基地や撮影所や学校が文化を生み出すための土壌になっているという例が幾つも指摘されています。

とりわけ加山雄三を中心に、家族-土地-撮影所という影響関係をビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンと重ねてみせるU05は白眉と言えるでしょう。似た現象はヨーロッパやインド、中東や南米など世界各地の撮影所周辺でも見つけられるかもしれません。

ちなみに、このブックレットは2019年に慶応大学で開催された「フリッパーズ・ギター研究会」の際にいただいたこともあり、印象深いものです。

「ベレー帽とカメラと引用」を作る際に、横書き・縦長のサイズ、表紙の手触り、字の大きさ、厚さなども参考にしています。この本とそっくりにしようと考えた訳ではありませんが、お手本のような一冊です。

慶應大学関連では「発言集成」の項目N、Xも併せてご参照ください。


【今週の推しフレーズ】

ビーチ・ボーイズがファミリー・バンドであったように、ランチャーズもやがて加山雄三の従兄弟の喜多嶋瑛、修が参加することになった。そのきっかけとなったのが、松竹が蒲田から大船へと撮影所を移転して加山雄三の父、俳優の上原謙も移住したことだった。映画監督小津安二郎もまた、茅ヶ崎館という旅館に長期滞在していたようです。このあたりハリウッドとバーバンクのような関係とでもいうか。(U05)




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