「枯葉」には、まだ早い? Is it still early for “Autumn Leaves”?

 台風のせいで風が強くて雨も降ったりしていますが、涼しくなるよりも、まだまだ蒸し暑いのが実感です。暦の上では、とっくに秋ですが。そもそも「暦の上では」という表現は、日本的情緒を醸し出すのには有効ですが、それ以外にはあまり使えません(個人的には暦は好きですが)。子供のころ社会科で「日本は温帯である」と習った記憶がありますが、温暖化している21世紀では「すでに日本は亜熱帯である」といえるかもしれません。それでも今日、ユニクロとかをウロウロしていると秋物が勢揃いしていましたから、「暦の上では」というよりも「お店の中では」という意味では秋ですね。
 さて……秋のジャズといえば、名曲「枯葉(Autumn Leaves)」でしょうか(元々はジョゼフ・コズマ(コスマ)が作曲したシャンソンだとか)。さまざまなジャズの巨匠たちがカバーしています。私のおすすめは、ビル・エヴァンスがトリオ【ビル・エヴァンス(p)、スコット・ラファロ(b)、ポール・モチアン(d)】で演奏した「枯葉」(『ポートレイト・イン・ジャズ』収録)です。あなたが思っているよりも、わりとハイ・テンポです(ゆっくりしたテンポが好きな人には、ごめんなさい)。このテンポの速さが、2020年はいろいろあったので、この秋(まだですが)にピッタリかなと(個人的には)思います。ビルのスキップしていくようなピアノもいいですが、スコットのベースの閃き(ピアノとの掛け合い)が天才的です(ベースというよりもギターみたい)。もちろんポールのドラムも、キッチリ仕事をしています。ここにピアノ・トリオの理想形があるようには思います。

追伸

 ゆっくりしたテンポが好きなら『サムシン・エルス』のトップに収録されている「枯葉」をおすすめします。キャノンボール・アダレイがアルト・サックスを吹き始めるまでは、トランペットが先行していくので、まるでマイルス・デイヴィスがリーダーなのかと思うほどの、素敵なミュートです。「枯葉」といえば、ほとんどの人が、この名盤を聴いているのだろうなと思います。そう思わせるくらいの安定感があります。

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