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BTCUSDは大幅続伸も、BTCJPYは自民党総裁選の結果を受けた円高が上値を圧迫 ビットコイン・デイリーレポート2024.9.30(2024. 9.27-29)

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市場調査室
暗号資産グループ

市況概況(ビットコイン)
 27日のビットコインは続伸。BTCUSDは前日からの流れを引き継ぐなか日本時間帯序盤から外国為替市場でのドル安を支援要因に堅調に推移した。また、日本時間午後に出揃った米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)のトータルキャッシュフローが6営業日連続で流入となったことも支援要因になった。尚、26日の米国のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス3億6556万ドル。その後、米国時間帯では米商務省が発表した個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)の伸びが鈍化したことを受け、金融市場は11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げが意識される展開となり、BTCUSDも一時66,540ドル付近まで上昇した。終盤は利益確定の売りに押され上昇幅を縮小したものの65,000ドル台を維持し、前日から大幅にレンジを切り上げた。また、この日は世界最大の暗号資産デリバティブ取引所のDeribitで27日に満期を迎えたオプションのロールオーバーやポジションクローズによる価格変動リスクが警戒されていたが、満期日を無事通過した。
 米商務省が発表した8月のPCEデフレーターは、前年同月比2.2%上昇となり、前月の2.5%から鈍化し、2021年2月以来約3年半ぶりの低水準となった。尚、市場予想は2.2%上昇で、市場予想と一致した。また、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは、前年同月比2.7%上昇となり、前月の2.6%を上回ったものの、市場予想の2.7%とは一致した。内容的には市場予想と一致し、サプライズ的なものではなかったものの、物価の上昇率は低下しつつあり、11月のFOMCでの利下げを後押しする材料になり得ると市場では受け止められた。シカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物FF金利先物から算出する金利見通し(FedWatch )では11月に50bpの利下げが実施される確率は前日の49.3%から53.3%に上昇しており、25bpの利下げについては金利先物市場では既に100%織り込まれている。

 28日は小幅続伸。土曜日の取引で市場参加者は少なかったものの、27日の米国のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローがプラス4億9426万ドルとなり、7営業日連続で流入となったことが好感され66,300ドル付近まで上昇した。尚、週間ベースのキャッシュフローもプラス11億618万ドルとなり、流入は3週間連続となった。欧州時間帯以降は利益確定の売りに押され、若干水準を切り下げ65,500~66,000ドルのレンジ内で方向感を探る展開になった。その後、29日は目立った材料もなく、高値圏を維持しつつ前日終盤のレンジ内で膠着した展開となった。

※27日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス4億9426万ドル。流入は7営業日連続。
※23日の週のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス11億618万ドル。流入は3週間連続。
※日本時間9月30日AM6:00現在のドミナンスは57.485%。

 27日のBTCJPYは小幅安となった。日本時間帯序盤から中盤にかけてはBTCUSDの上昇や、自民党の総裁選の開票速報で高市氏有利が伝えられるなか、外国市場での円安が支援要因となり一時960万円付近まで上昇した。その後、金融政策についてタカ派とされる石破氏の当確が伝えられると、円が急騰しわずか1時間ばかりの間にドル円は146.50円付近から142円台後半まで下落した。これを受けて円建てで取引されるBTCJPYも934万円付近まで急落した。欧州時間帯から米国時間帯では下落は一巡し950万円台を回復する場面も見られたが、BTCUSDの上昇を外国為替市場での円高進行が相殺し、終盤は933万円付近まで下落した。

参照 ドル円チャート 1時間

 28~29日は930~934万円の狭いレンジ内で膠着。土日の取引で市場参加者が少なく、見送りムードが市場を支配した。また、週末円建てに影響を与えた為替市場がクローズしていることも市場の見送りムードを強めた。

市況概況(イーサリアム)
 27日のイーサリアムは続伸。ETHUSDは、日本時間午後になって上昇が再開した。ビットコインの上昇や外国為替市場でのドル安が支援要因になった。一方、日本時間午後に出揃った26日の米国のスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはマイナス67万ドルとなり、流入は2営業日連続で途切れた。米国時間帯では米PCEの伸びが鈍化したことを受け11月のFOMCでの大幅利下げが意識される展開となり、上昇幅を拡大すると一時2732ドル付近まで上昇した。取引終盤は利益確定の売りに押され、やや上昇幅を縮小したものの2700ドル台は確りと維持された。
 28日は反落した。土曜日の取引で市場参加者は少なかったものの、前日の上昇を受けた利益確定の売りが優勢となり一時2670ドル付近まで下落した。ただ、27日の米国のスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローがプラス5864万ドルとなり、再び流入となったことが下支え要因となり、この日の下落は一巡した。その後、欧州時間帯以降は見送りムードが強まるなか2670~2690ドルの狭いレンジ内で方向感を探る展開になった。
 29日は2640ドル付近まで軟化する場面も見られたが、28日とほぼ同レンジ内での膠着状態が続いた。

※27日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス5864万ドル。
※転換型のGrayscale のETHEのキャッシュフローはマイナス1072万ドル
※日本時間9月30日AM6:00現在のドミナンスは14.163%。

 27日のETHJPYは反発。この日は外国為替市場でのドル円の動きに大きく左右される展開になった。日本時間帯序盤から中盤にかけてはETHUSDの上昇や円安を支援要因に391,000円付近まで上昇した。ただ、その後は自民党総裁選で金融政策についてタカ派とされる石破氏の当選が伝えられると、外国為替市場では円が全面高となり、円建てで取引される暗号資産全般が下落した。ETHJPYも反落すると、円高進行と連動して米国時間帯には377,800円付近まで下落した。その後は米PCEの鈍化を受け389,500円まで上昇する場面も見られたが、利益確定の売りや円高進行に圧迫され382,000~385,920円のレンジまで水準を切り下げ、前日比でプラス圏は維持したものの方向感を探る展開となった。
 28~29日は375,300~382,000円のレンジで膠着。土日の取引で市場参加者が少なく、外国為替市場がクローズしていることもあり、見送りムードが強まった。

(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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