ビットコイン・デイリーレポート2024.8.1(2024.7.31)
ビットコインはFOMC後に反落、Mt社新たな送金、Grayscaleは新ETFを上場
株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ
市況概況(ビットコイン)
31日のビットコインは続落。BTCUSDはアジア時間帯早朝に2014年に破綻したマウント・ゴックス社(Mt社)から33,964BTCの送金が確認されたが、29日の時点で少額のテスト送金が確認されていたこともあり、市場の反応は薄く65,400ドルを下値サポートに底堅く推移した。尚、オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると、Mt社のウォレットから33,964BTCが現時点でタグ付のされていない未知のアドレス(bc1q・・・・)へ送金された。29日にはこれとは別のアドレスだが0.2BTCが送金されており、事前のテスト送金を行ったと見られる。現在Mt社のウォレットには80,128BTCが保管されている。一方、上値も重かった。日銀金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)など週末にかけて複数の重要イベントを控え、金融市場全般で様子見ムードが広がるなか積極的な売買が控えられたほか、米国で上場されているスポットビットコイン上場投資信託(ETF)のトータルキャッシュフローが4営業日ぶりにマイナスを記録したがことが上値を抑える要因になった。その後、日銀が日銀金融政策決定会合で政策金利(無担保コール翌日物金利)を0.25%程度への引き上げ、2026年3月までの国債買い入れ減額計画を決定したが、発表直後は前日の米国時間帯に本邦の複数メディアが事前リークと思われる「日銀が今会合での利上げ検討」と報じていたこともあり、ドル円は瞬間的な上下動に留まった。ただ、日銀総裁会見を経て欧州時間帯に入ると円高が進行、BTCUSDに反応は見られなかったものの、対ドルでの円高が下押し圧力となりBTCJPYは節目の1000万円を割り込み992万円付近まで下落した。その後も外国為替市場では円高が進んだが、BTCUSDが強含みで推移したこともあり、下落は一巡した。
米国時間帯終盤にはFOMCが政策金利の現状維持を決定したが9月会合での利下げを示唆したことでドルが下落したものの、BTCUSDも64,500ドル付近まで下落した。明確な理由は不明だが、FOMCの決定内容がほぼ事前予想通りであり、「セル・ザ・ファクト」の動きがあったと思われる。また、イベント通過を経てここ直近の米国政府の保有するビットコインの送金、Mt社の送金など需給面での弱材料が改めて見直された可能性も否定できない。これら一連の動きを受けてBTCJPYは下げ幅を拡大した。また、外国為替市場ではドル円が4カ月ぶりに高値を更新、149円台まで円高が進んだこともあり、米国時間帯終盤には968万円付近まで下落した。一方、この日はETF関連で新たな動きがあった。7月29日付け当レポートで既に記載していたGrayscaleのGBTCのミニ版ビットコインETFである「Grayscale Bitcoin Mini Trust 」が31日からニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引が始まった。投資信託からの転換型のGBTCは割高な手数料が原因で流出が続いており、「Grayscale Bitcoin Mini Trust」は手数料を0.15%と競合他社の最低水準にすることで同社の競争力を高める狙いがある。これで米国の取引所に上場しているETFは12本になった。
市況概況(イーサリアム)
31日のイーサリアムは終盤に失速し反落。ETHUSDはアジア時間帯から米国時間帯序盤にかけて強含みで推移すると一時3555ドル付近まで上昇したが、その後は前日の高値を上抜けなかったことやFOMCを控え伸び悩む展開となった。31日の日本時間の午後に出揃った米国で上場されているスポットイーサリアムETFの30日分のトータルキャッシュフローが、上場初日以来のプラスを記録したことが支援要因になった。尚、30日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス3366万ドル。BlackRockのETHAが1億1800万ドルの流入でトップとなり、続いてFidelityのFETHとGrayscaleのETHがそれぞれ1640万ドルと1240万ドルの流入となった。一方、Grayscaleの手数料の高い転換型ETHEは引き続き純流出を記録し、1億2030万ドルが流出した。ETHEからの流出は続いているものの、他のETFへの乗り換えが進んでいると思われる。ただ、米国時間帯終盤にはFOMCを経て失速し、前日の安値を割り込むと3218ドル付近まで下落した。ビットコインの下落が影響したと見られるが、わずかながら残されていた利下げが見送られたことで暗号資産市場全般が売りで反応した模様。
ETHJPYはアジア時間帯から米国時間帯にかけて外国為替市場での円高進行とETHUSDの上昇が相殺され500,000円付近での膠着状態が続いていた。その後、FOMCを経てETHUSDが下落すると、対ドルでの円上昇が下落幅の拡大要因となり、480,000円付近まで下落した。
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