見出し画像

職種を問わないグループ合同社内 AI ハッカソンを 50 名を超える参加者が完走したお話

イントロダクション

こんにちは、くふう AI スタジオの AX 推進部の bbz です。

くふうカンパニーグループでは、「AI eXperience」と「AI Transformation」という二つの概念を「AX」という言葉に凝縮しています。これらはそれぞれ、ユーザー体験を向上させるAIの活用と、業務の効率化を図る AI 化を指します。全体的な AX の取り組みについては、くふうカンパニー代表の閑歳の記事で詳しく紹介されています。

今回は、この AI Transformation の一環として実施したグループ合同 AI ハッカソンについて、その過程と成果を共有します。

このイベントの最終発表会には視聴者を含め 86 名が参加し、AI Transformation を推進する上で大変有意義なものとなりました。今回は、そこに至るまでにくふうした点を紹介します。

なぜ AI ハッカソンを企画したのか?

くふうカンパニーグループでは AI の基本知識を広め、その利活用を促すためのインプットや情報発信を実施しています。

一方で、日々の業務が忙しい中で AI という新しく、またうまくいくかもわからない技術を業務に取り入れるのは時間的にも、心理的にも難しいという課題がありました。

そこで、「AI を実際に使ってみてその可能性を身近に感じてもらい、日々の業務の中で AI を使って改善可能な部分がないか集中して考えてもらう」ことを目的に、誰もが気軽に参加できる社内ハッカソンを企画しました。

通常のハッカソンは短期間で開発を行うイベントであるため、主な参加者はエンジニアです。しかし AI によって恩恵を受けるのはエンジニアだけではありません。

そこで、今回企画したハッカソンは全職種の方を対象としたイベントとしました。エンジニアであれば OpenAI などの API を、エンジニアでなければ OpenAI の GPTs を駆使して、日常業務の改善に取り組んでもらう会としました。

成功する企画は参加者がいてこそ成り立ちます。そこで、参加しやすい環境を作るためにハードルを下げること、イベントに参加した人が参加して良かったと達成感を感じてもらえるように注力しました。

ハッカソンへの参加者はエンジニアからマーケティング、人事まで多岐にわたり 50 名を超える参加者となりました。また、ハッカソンのクライマックスである、各チームがプロジェクトを 90 秒で紹介する発表会には、発表者を含めて 86 名が参加し、多くの具体的な成果が共有されました。ここではそのための具体的なくふうを紹介します。

参加者募集に使ったもの

多くの人が参加しやすいハッカソンのくふう

1. 競わない

このハッカソンでは、成果物を 90 秒のプレゼンテーションで発表する形式を採用しましたが、優劣をつけませんでした。目的はあくまで AI の能力を自分で体験し、実際に自身の業務に AI を取り入れてもらうような意識を持ってもらうことです。学びがあればそれでヨシッというというスタンスで参加を促しました。このアプローチは参加者から好評で、「プレッシャーがなく楽しめた」というフィードバックを多数いただきました。

発表会の様子


2. 時間を掛けない

ハッカソンの期間は 2 か月に設定し、日々 15 分の参加で済むようにしました。ハッカソンのタイトルも ”1 日 15 分から始める AI ハッカソン” にしています。これにより、全参加者が無理なく参加できる環境を提供しました。また、AI Transformation を進める上で AI を日常的に使用する習慣を身につけてもらうかが重要だと考えているので、その狙いも含めていました。

多くのチームが 1 週間程度の間隔で進捗を確認していたため、当初の狙いである習慣化はある程度、達成できたのかなと思います。

3. お金を掛けない

AI の利用にはある程度コストがかかります。個人利用の場合には自分のお金が減ることになり、一方で組織として利用する場合は稟議を出し許可を取る必要があります。この部分が心理的な障壁となり、AI には興味があるが実際に自分でさわってみるところまで至っていない可能性がありました。そこで、企画用の予算を一括で事前に確保し参加者に対して希望するツール、サービスの利用を会社負担で提供するように手配しました。

4. チームマッチング

自分ひとりでは上手くできるか不安でも特に一緒にやる人いないしなぁ……

というケース、イベントあるあるだと思います。今回のイベントでは個人、チーム参加のどちらも可能にしました。それに加えて一人では不安な参加者がチームとして取り組めるよう、マッチングサービスを提供しました。これにより、異なる部署や会社のメンバーで構成されるチームが複数誕生しました。

例1)エンジニアと営業のチーム
例2)グループを横断した HR 職チーム

マッチングチームの声1
マッチングチームの声2

5. サポート体制

いざイベント開始!となっても最初は何から始めたらいいかわからないことが多いです。また、イベントが進むにつれて疑問や課題が発生するものです。

  • どの業務に AI を活用できそうか?

  • どの部分から導入しやすいか?

  • AI をどのように活用すればよいか?

  • AI を使ってみたけれど思うように動作しない

そこで、プッシュ型とプル型のコミュニケーションを組み合わせて「課題に対する適切なツール選定」や「プロジェクトの進め方」、といった点で各チームの取り組みをできる限り支援しました。プル型のコミュニケーションとしては、Slack を使って、24 時間体制で参加者からの質問に答えられるようにしました。プッシュ型のコミュニケーションとして、定期的にステータス確認の声掛けを実施しました。

いつでも相談可能ですよの呼びかけ

最終発表を盛り上げるためのくふう

最終発表会の雰囲気づくり

より多くの人がイベントに参加し、 AI の使い方を知っててほしかったため、自席や自宅から参加しやすいよう、最終発表はオンライン開催としました。オンライン開催の場合はオフライン開催に比べて盛り上がりを生むのが難しいため、いくつかのくふうを実施しています。

ゆるい待機画面

AI 関連のイベントらしさを出す

どんなイベントにせよ、最初のつかみが肝心です。 AI ハッカソンらしさを出すために、AI による作曲サービス suno を利用してオープニングとエンディングのテーマ曲を作成して流すことでイベントを盛り上げました。参加者から好評で、社内の個人雑談 Slack チャンネルにテーマ曲に関する感想がたくさん記載されていました。

OPテーマ

視聴者参加型の会

発表会中は、各発表に対してランダムに有識者(経営陣や実際にプロジェクトで紹介されたものを使いそうな人)から一言コメントをもらうようにしました。これにより、聞き手の能動的なイベントへの参加を促しました。また、発表会全体を通して積極的なチャット欄でのガヤを推奨して視聴者もより楽しめるようにしました。

ガヤチャット

ハッカソンの影響と今後の展望

このハッカソンは、社内での AI に対する理解と興味を大いに高められたと思います。ハッカソンで作成したもので既に実際の業務効率化に成功している事例もあり、もう少し手を加えれば実業務に使えそうなものが多く誕生しているからです。

例えば、ある営業チームは GPTs などを駆使して普段の業務時間を圧縮する使い方を編み出しました。また、別のチームは、内部コミュニケーションを効率化する AI チャットボットを作成しています。これらのプロジェクトは運用が整えば業務に活用可能であり、具体的な改善に直結しました。
参加者自らが AI を活用できると実感できたので今後は AX 推進部が協力してイベントの成果物から、実業務に載せて運用までサポートしていく予定です。また、同様の取り組みも企画しています。


できあがったものその1


できあがったものその2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?