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OTDRを比較してみた!

はじめまして。
データセンター技術本部の菅原です。

ブロードバンドタワー入社後、間もなく関連会社に出向しておりましたが、5年かけて戻って参りました。
主にネットワーク畑でしたが、データセンター技術本部に配属となりました。社員の皆様も初めまして(?)という方も多いかと思います。

趣味は疲労回復。そろそろ旅・温泉行きたいですねー!

さて、データセンター技術本部では、光ファイバの損失と反射減衰量にシビアな100G Ethernetをはじめとする大容量伝送用途に利用する光ファイバ敷設時にはOTDRで測定しております。

近頃、100G Ethernetの需要が増えたこともあり追加購入することにしました。
そこで、メーカーさん(5社)7製品をお借りし、初めて操作する社員からベテラン社員まで、実際に測定を行いつつOTDRの選定してみたのでご紹介致します。

初めにお断りしておきますが、以下の記事は「OTDRって何?」とか、「聞いたことはあるけど使ったことないなー」くらいの方々向けの内容です。
「あっ、それ作ってます」とか「毎日バリバリ使ってま―す」といった玄人の方向けのDeepな内容ではありませんので予めご了承くださいね。

Deepな内容が聞きたい!」って方いましたら、コメントいただけると別途記事にしてみようかと思います(笑)

そもそも、OTDRって?

Optical Time Domain Reflectometer を略してOTDR。
光パルス試験器とも呼ばれてますね。

光ファイバの各接続点での『損失』と『反射減衰量』の測定や、曲げの激しい個所(イベントと言います)を見つけたり、それらの点がどれくらい先にあるのか距離を調べるために用いられます。
光ファイバの線路全体の状況を把握したり、片側からの測定だけで済むところから、主に通信キャリアが利用してます。

反射減衰量とは?

光の損失は数字が小さいほうが良いのは皆さんも理解できると思いますが、では、反射減衰量はどうでしょう?

正解は【数字が大きいほうが良い】です。

「えっ?減衰が大きくて良いの?」と思われる方もいらっしゃると思いますのでこちらも少し触れておきます。

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図1.コネクタ接続面

光コネクタ先端(フェルール先端)の研磨方法によっては、接続面で光が反射し戻ってくることがあります。この反射光が少なければ少ない(減衰が大きい)ほど、品質の良い接続が行われていることをイメージできるかと思います。

UPC研磨やSPC研磨のようにフェルール先端の加工方法を工夫することで、反射が抑えられたり、仮に反射が起きたとしても図1の左側のファイバに光が戻ってくる確率を抑えることができます。
反射減衰量は「戻ってこない量」を指すので、数字が大きいほど良いということになります。ちなみに、英語ではReturn Lossと書きます。

OTDRの画面例

昔は波形を診て、「ふむふむ、これはコネクタ接続だね」とか、「ここは融着だね、ここは曲げが厳しそうだね」等を判断していたので経験も求められてました。

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図2.実際の画面の例 (写真提供:横河計測株式会社ホームページより)

しかし現在は何メートル先にコネクタがあり、ここの損失が何dBであるのか等親切にまとめてくれるアイコン表示やイベント一覧が付いているものも多くなりました。

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図3.アイコン表示

また、基準値に対する合否判定もビジュアル化されているため、初心者でも分かり易くなってきているだけではなく、ベテランにとっても非常に便利です。
精度もマルチパルス(幾つかのパルス幅による検査)により随分と上がっています。

実際に試してみます

ブロードバンドタワーのデータセンター間で環境を用意し比較してみました。

いくつかのコネクタ接続を経て、第1サイトから新大手町サイトへファイバを伸ばし、新大手町サイトから再度第1サイトへ折返し、OTDRは第1サイトに接続し計測しました。

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図4.試験構成

まず驚いたのは、15年前の製品とは大きく異なり、精度が上がりずいぶんと近距離が分かるようになっていたこと。中には、なんと2mのパッチコードでも反応するものも!
我々データセンター技術本部では通信キャリアのような長距離ではなく近距離が殆どなので、短距離が見えるようになっていたのは非常にうれしい驚きでした!

試してみての感想

7位:B社モデル1 【56.5点】

・GUIがやや見にくい
・小窓など、A社と同等の機能はあるものの、配置が分かりにくい
・計測精度は問題無し

6位:E社 【57点】

・タッチパネルがシングルタッチのため拡大・縮小操作に難あり
・パルス幅自動調整の場合、他の測定器と比較し表示される接続点が少ない

5位:D社 【59点】

・TESTボタン一つで自動計測できる一方、細かい設定をする際の操作が煩雑
・設定に柔軟性が無く、ダミーファイバー無しには短距離を計測できない
・画面が小さすぎて波形分析が行いにくい
・計測値の出力がUSBメモリーに対応していない

4位:C社 【62点】

・非常にコンパクトで持ち運びに優れている
・起動時に時間がかかり、動作も遅い
・画面が小さく、タッチパネルがシングルタッチのため拡大・縮小操作に難あり
・コンパクトな割に高機能で解析機能もわかりやすい
・WIFIとBluetoothが内蔵されているのでレポートを取り出しやすい

3位:B社モデル2 【63点】

・同社モデル1とほぼ同じ画面構成
・ハードボタンが無いのでベテランには使いにくい

2位:A社モデル2 【72.5点】

・同社モデル1の下位機種。モデル1と比較すると画面が小さく見にくい
・画面機能的に同社モデル1と比較して少なくなっている様子
・持ち歩き用でサイト利用には適していない
・スクリーンがマルチタッチに対応しており操作しやすい

1位:A社モデル1 【94点】

・起動も早く、操作も直感的で利用しやすい
・波形全体の中で今どこを示しているのか表す窓があり分かりやすい
・レポートもわかりやすい
・アイコン表示機能は熟練者でなくても全体像を把握しやすい
・多芯測定機能がありまとめて計測できる
・スクリーンがマルチタッチに対応しており操作しやすい。昔ながらのダイ    ヤルも継承しているのでベテランも違和感なし

総合評価について

データセンター技術本部の用途に合わせた評価項目は下記になります。

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この評価項目にて高得点だった、A社モデル1を購入することにしました!

今回はデータセンター技術本部の用途に合わせ、データセンター内で完結する近距離利用を想定しての評価項目でしたが、長距離用であったり毎日OTDRを持って外に出られるといった環境下では評価項目そのものも異なってくると思いますので、それぞれの用途に合わせ評価項目を設定いただければと思います。
また、昔は主に通信キャリアで用いられる玄人向けの装置というイメージでしたが、今回の検証を通じ随分と分かり易くなったなーと感じましたね。
業界問わず光ファイバを扱われる方は、一度試されてみるのも良いのではないでしょうか。

ところで、A社ってどこか気になりますよね(笑)

A社とは、横河計測株式会社さんになります。
モデルについては、OTDR(光パルス試験器)AQ7280 になります。

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今回、横河計測株式会社さん含め各社さん、検証機をお貸し頂きましてありがとうございました!

こちらのOTDRにてより一層、お客様へ高品質なサービスを提供していきたいと思います!


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