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【映画感想】今月のベストムービーは「おひとり様族」(2024年1月:6本)

2024年1月はたったの6本しか映画を観れませんでした。かつその感想文を2月末のギリギリになってアップしている始末。。今年に入って何故かプライベートに充実を感じております。

旅行やデートやスノーボードやらと何かを予定を作って自分のテンションをぶち上げようとしていた昔とは違い、密かな静かな情熱(パッション)が病を超えてやっと蘇ってきました。今年は「会いたい人に会う」というのを信条にしていくつもりです。大病を患ってつくづく思う事は金を稼ぐ事や社会貢献をすることも大切ですが人生において大事なのは「会いたい人に会いたい時に会う」という当たり前の事です。これ以外大事な事はありません。そこは生涯譲らないし変わらないと思います。

今年は師匠と崇めている人が2人いるのですが今年はどんなことをしてでもこのお2人に会いにいく、と去年の年末から決めてました。するとですよ、何とそのお2人が地元に1月に来られ会って話して飲む機会が作れました。「願えば叶う」というのは簡単ですがやはりそこに人との縁という不思議を感じずにはいられません。

そして1月末は会社内で永年勤続表彰を受けました。20年以上も会っていなかった同期に会えたりして楽しかったです。表彰を受けた後役員さんを交えて懇親会で飲み、そこからその後同期で集まって会社の食堂で飲み物を持ち寄って飲み、それは昔を思い出したようでとても夢のような時間でした。無茶苦茶出世した人もいたりでも立場は違えど、ここで一旦ノーサイドのようなフラットな感覚でその場を楽しめました。がその後さらに別の飲み屋に行って飲んだのですがそこで一転してとてもしんどさを感じました。何せ共通の話題や共通の将来に向けてのビジョンがないのですよね。喋る事があんまりない。あー楽しい気持ちが残ったタイミングで帰れば良かったなあと後悔したと同時にあんまり会社のこういった作られた一時的な楽しさに乗せられてはいけないなとも感じたのです。

会社ってそこに勤めている限りは何かとモチベーションを上げる材料を与えようとしてきます。ムチもありますが巧妙なアメも与えてきます。ですが会社というのはそこから離れようとする人、離れた人に対して非常に冷たい。それを私は2回の休職と2回の闘病生活で嫌っというほど身体で知っています。

だけど本当にそれは人間として良いのか、そういう文化風習は人間性を蝕んでいないのかということを最近とても考えます。何故なら人は毎日別れて、そして出会っているからです。同じ日、同じ景色、同じコンディションは実は1日もない。だから感謝と共に日々別れていく、さようならという、それを大事にしたいのです。今回1月に見た映画として韓国の「おひとり様族」という映画を激推しします。会社は「さよなら」を大事にしないが私は人間として「さよなら」を大切にしたい。そんなことを思った1月でした。

【第1位】おひとり様族(2021年 韓国)

これは無茶苦茶良かった。
町山智浩さんの解説で紹介されていてUnextで配信されているけどFilmmarksでも観ている人が3桁しかいないマイナー作品なのに。恋愛が出来ない独身貴族女の話かと思ったら全く全く違った。

これは孤独な女の子の話ではない。1人きりでいるのに他人の声が入ってくるから苦しいのだと、名越康文先生は仰っていたがこの主人公もその類である。

コールセンターで働いている優秀なOLジナは亡くなった母親の事、過去自分達を捨てた父親の事、昔のトラウマと感情に囚われて身動きが取れなくなっている。そしてテレビを付けっぱなしでないと寝れない。だからさ、可愛い懐いてくる後輩が現れてもその娘を心の中に入れる事が出来ない。

「別れの挨拶」

これは合理性に流され共同体感覚が失われがちな我々も疎かにしがちなものでないだろうか。ジナは亡くなった母親も隣に住む亡くなった若者にも「別れの挨拶」をしなかった事に気がついた。可愛い後輩スー・ジンからも逃げてしまう事で身体を壊してしまう。共同体感覚を失う行動を取ると身体が反乱を起こす。だが彼女は監視カメラで父親が母親が弔う事を見て又隣に越してきた青年が元々の住居人の為にお別れ会をしている事を見て「私は私を通り過ぎた母親や後輩に対してお別れを言えただろうか」と。

本当に正しく孤独になれば人にも親切になるのだと思う。

主役のコン・ユンソン(twiceのジョンヨン)がガチ正統派美人で他の映画でも観たいなと思った。

【第2位】リゾートバイト(2023年 日本)

最後の15分で一気に娯楽作品として観れる映画になっていたと思う。
住職の霧吹き、若い10代の男女の中に入るのがおっさんどおしというオチ、八作様のマガマガしいフォルム。

そして衝撃なのはラストよね。最後の最後で住職は若い男女の魂でなく自分の子と知り合いの子の魂を救った。。ホラーなのは人間の心という事でしっかりオチもついた事だし。

ロケ地である岡山県の白石島はちょっと泊まりに行ってみたい場所よね。まだ出来上がってない若い子より梶原善の存在がこの映画を引き立てている。おっさん万歳よね。

【第3位】Compartment No.6 (ロシア/エストニア/ドイツ/フィンランド)

2021年カンヌグランプリの作品だがかなりヘンテコな北欧多国籍列車トラベルムービー。

ラウラは同棲愛者でイリーナの同居人。その恋人とペトログリフを一緒に観に行くつもりがドタキャンされてしまう。ラウラは自分がない。ペトログリフの良さを自分の言葉で語る事も出来ない、イリーナに頼ってしまいホテルの予約もペトログリフへのツアーが無いことすらも調べていない。(どうでも良いがホテルのフロントの顔長の女性がインパクト強すぎる)イリーナの世界の一部となる事を望んでおり彼女への依存心が強く旅先も彼女への連絡を絶やさないし、カメラに今までの全てを入れている。

その大切なカメラを盗まれる事は彼女にとって皮肉な事に過去への決別だったのではないか。リョーハという丸坊主の粗野なロシア人は繊細な彼女に取って怖いし気持ち悪い。だがラウラの心を溶かし本音を語れるのは彼が彼女にとってパッセンジャーだからだとも言える。ていうかあの狭いコンパートメントの列車旅行はもうする事はない事なのだろうな。

これはラウラとリョーハの恋物語ではない。共同体感覚を取り戻す旅というものの持つ癒しと可能性について描いた映画だと私は捉えたよ。

【第4位】ベイビーわるきゅーれ(2021年 日本)

今時の高校生ぽいトークがダラダラ続いての可愛くて何時迄も観られる。
2人の高校生が半端なく強くてヤクザをバンバン殺していくのもぶっ飛んでいて面白い。

【第5位】ベイビーわるきゅーれ2ベイビー(2023年 日本)

伊澤彩織、高石あかりの魅力が炸裂した作品。癒し系×今風×殺し屋という特別なジャンルを作ったような作品。

特に伊藤彩織さんがインタビューで喋っているのを見たら29歳のスタンドパフォーマーなんだってね。いやいや演技上手くないーとびっくらこいた。

何も考えずに楽しめる一作品。

【第6位】Spiderman across the Spider-Verse (2023年 アメリカ)

メタバースとかパラレルワールドが流行っているがこの作品もそれを取り扱っている。娯楽作品で色んな事が起こり過ぎ情報多めだけど色々な示唆は感じた。

その一つがミゲルの言う「カノンイベント」だ。世の中には避けては通れないイベントがある。それが「ベン叔父さんの死」であったり「身近の警察署長の死」であり「スパイダーマンがグウェンに恋をする」事だったりする。それを避けてしまう事により重大な事が起こってしまう。

武道家の甲野先生は「人生は決定的でありかつ自由だ」と仰っていたものと重なる。ただこの映画では何も終わらない。なので少し物足らなかったかな。

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