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【映画鑑賞】今月のベストムービーは「君達はどう生きるか」(2023年9月 10本)

今年も10月まで来ました。何と90本もの映画を観ています。この事を同じ会社や知り合いの人に言ったら変人と思われるかもしれない、という気がしてきました。

いったいワタクシは何を目指しているのだろう。何故こんな本数の映画を観るのに嫌気がさしてないのだろうと考えます。

一つは病気が自分の膿を洗い流してくれて自分の好きや興味に向かえている気がします。きっとこれは恵みなのでしょう。そして体癖論を学んでいる事も大きい。俺はやはり人間に興味があるんだ、その為にはきっと群れから離れて映画を観る時間が豊富に必要なのだ、と感じます。

【第1位】君達はどう生きるか

良い映画だった、本当に。

だがこの映画が宮崎駿監督の終大成だとか過去作品の要素を入れ込んだものだとか母親に捧げたものだとかそういう巷の感想には全く共鳴出来なかった。

私はこれは量子力学の「ゼロポイントフィールド仮説」に基づいていると思ってしまった。ミクロの世界では原子は粒子であり波である。だが我々にとって可視化できるのは粒子だけである。つまりパラレルワールドがこの世にはかなりの確率で存在する。マクロ世界では時間が存在せず過去と未来と今が同時にある。そこでは全て同時に存在する為あらゆる事が一瞬でわかる。そこには死も存在しない。

こちらの世界では紙や石は生命体ではなくインコは可愛いだけだがパラレルワールドでは石や紙は強烈な意思を持ちインコはとてつもなく凶暴だったりする描き方は面白い。すべてのものに神が存在するという東洋のアニミズム、混沌がありディズニーのそれとは違い興味深い。そういう目に見えず感じる事も出来ないものが我々に影響を確実に与えておりそれに想いを馳せる事が癒しに繋がるのだと感じた。

【第2位】「ノット・オーケー」

この主役のゾーイ・ドゥイッチが凄く良い。腰が軽いが何か憎めなくて可愛い。

同僚でありインフルエンサーのコリンの気をひくために写真を加工してパリに行ったと言う超しょーも無い細工をインスタで行う。その直後にパリでテロがあり引くに引けなくなったダニーは嘘に嘘を重ねる。嘘に乗じてリアルなブログ記事を書く為に被害者の会に参加しそこで人気活動家と友達に。そしてあっという間にインフルエンサーに、と言う筋書き。

承認欲求が強く地に足がついてない女性でありながら実は根はそんなに悪い娘ではないという女性をゾーイドゥイッチが凄く良く演じている。SNSでインフルエンサーになるには現実的にはこんな簡単な話ではないのかもしれないが大衆の気を引く為に「本音ではないキラキラした自分」をセルフプロデュースするのは今の世の常だと思う。それが単なる嘘やホラ吹きならほっとけば良いのだろうがその欲望のために活動家ローワンの心や魂を養分としてしまった主人公のように誰かを傷つけてしまうのだ。

自分はダニーは最低だと笑う事は出来なかった。だってここまで酷くなくとも誰の心にも今の時代ダニーの部分はあるのだ、と思う。得ようと思う余りに奪ってしまっていた経験くらいは誰にでもあるだろう。

PS 10代の女性活動家ローワンを演じたのは数日前にDon't make me goで娘役を演じていたミア・アイザックなんですね。いやー良い作品に出てるなぁ。

【第3位】福田村事件

自分のリスペクトしている作家がこの映画について語っていたので観て来た。映画館は超満員で年配の人が多かった。それだけこの映画に関心持っている人が多い事がちょっと驚きだった。

この福田村事件から100年経ってこの映画をああ可愛そうとか何でこんな事が起こるんや?みたいな感想は持たなかった。歴史から学ぼうみたいな感想も可笑しいと思う。100年経っても世界の本質はそんなに変わってない。いや変わってないと考えた方が学びになるというか。勿論今の日本は朝鮮の人への差別は殆どない。それもまあ結構時間が掛かったというのが実感だ。それが無くなったのはここ20年だという実感がある。それくらい浄化というのは時間がかかる。

普通の人が何故とか群集心理とかいう感想も可笑しい。普通の人だからこそ情報を得れなかったし考える力も無かった。俯瞰して全体性や構造を見れる人は一部分だけだ。フェイクニュースに左右される人は今でも多い。集団の繋がりが無ければ生きてはいけない。だからこそ闇は深い。記者の人が韓国の女性がなぶり殺されるのを黙って見ていたし、人道的な村長も「わしらここで生きていかんから黙っておいてくれんか」と言う。ケースや程度の違いがあれ悪事を黙ってみている人は実は多い。偶に世界は糞だと感じる。

この映画はセックス(不貞含む)のシーンが流れるが。人の不貞を叩く構造も変わってない。フラクタルな形で構造自体は現在にもあるのですよ。

【第4位】ミッション・インポッシブル(デッドレコニング)

Part1て事はPart2もあるのか。流石に還暦超えたトム・クルーズをアクションムービーで引っ張るのは勘弁してやれよと思ってしまう。顔面偏差値異常のトムも流石に顔が膨れてきてシャープさは消えてきているので流石に限界かな。

今回の映画結構面白かったです。通信映像のフェイク合戦などがありこのミッションインポッシブルシリーズは常に時代を先取りしようとしている。人体の免疫と情報の免疫はそれなりに関連性がある。情報は現在社会においてはフェイクであるので自分の目しか信用しちゃならんぜ!みたいなのがテーマかと思うけど嫌々自分の身体だって信用しちゃならねえぜ。

ミッションポッシブルガールの新旧交代みたいなのも裏テーマとしてあってイルサ演じるレベッカ・ファーガソンからグレイス演じるヘンリー・アトウェルにバトンタッチとなる。エラが貼っていてべらぼうに派手ではない4種体癖という意味では共通項もあるし、スウェーデン女性からちょっと南米かなとも思われるヘンリーアトウェルにバトンタッチは多様性という意味では補完されている。(彼女はネイティブアメリカンの血をひいているらしい)。あと敵役で最後にハントを助けてくれるポム・クレメンティーフが良かった。狭い所の殺陣とか腹筋の割れた細い腰とか様になっていた。

あとコメディ要素が多かったのは還暦のトムにミッションインポッシブルをやらせるのはどうしても現実味がないのでコメディ要素を入れてぶっ飛んだ方に持っていきたかったんだろうね。その誤魔化し方としては結構秀逸じゃないか?列車の中にハントがパラグライダーで突っ込んできたシーンとかちょっと心の中で爆笑してしまった。あと意味なくハントが走りまくるシーンとかちょっと笑えるんだよね。

色々な所に隙があるが観ていてジワジワ来る作品だった。

【第5位】リメンバー・ミー

ディズニーがたまに偉大だと思うのは「ソウルフルワールド」しかり壮大な死生観を描いた作品を提出してくれる事。この映画も凄く考えさせられた。

人間の死は2つあると言われている。一つは生物学的な死、もう一つは「忘れ去られてしまう事による死」。日野晃さんと言う世界的な武術家のWSへ行った時仰られていた事。「自分というものは何もない。死んでしまったら灰になるだけだ。他人が居なければ自分は存在しない。自分を認めてくれるのも他人であり死んだらその人の記憶にしかない」

私は今まで生物学的な死ばかりに気を取られていたがやっぱり少し考え直す必要があるのか。死してなお覚えてくれる人がいる事は幸せなのか。この映画は先祖を大事にして忘れない事の大切さを説いているが家族という関係性に限った話ではない気がする。コスパでは考えられないものがきっと我々を支配している。

【第6位】Woman talking

ボリビアのメノナイトというコミュニティで実際に起きた強姦事件を元に作られた作品。これは100年前の出来事でなく21世紀に起こった事件なのだ。女性達は男性が村に戻ってくるまでの数日、逃げずに戦うか去るかで話し合いをする。ほぼその対話だけで成り立っている作品である。

宗教的で男尊女卑で文明とは程遠い彼女らの会話にはっとするような知性が宿っている。「愛はなぜ暴力に変わるのか」「遠くを見れば足元が安定する」「離れれば赦す事が出来るかもしれない」「去る事と逃げる事は違う」宗教、信念、感情、法、生活。色々な側面からの議論は複雑で本質的でハラハラさせられる。

それにしても何故男性の性暴力が可能なように神様は設計されたのだろうか。

【第7位】カレとカノジョの確率

さらっと90分で見られるラブコメなんだけど真面目に見るとこれは「直観と偶然」の映画だと思う。

思えば人生は「直感と偶然」に支配されている。偶然は数字の世界で一部表せるが因果関係や個別性は表せない。恋愛は直感しか有り得ない。

直感や偶然は予見したりデザインできないが重要なファクターであると認識した時、世界は又変わって見えてくるのだろう。計画どおりにいかないそれが人生の醍醐味なんだぜ。

【第8位】帰れない山

北イタリアやヒマラヤの壮大な景色を見られるだけでこの映画は価値があるのではないだろうか。自分は山歩きはそこまで好きではないが周りには山歩きが好きな人は沢山いる。

前半の少年期は山好きな父親の回想、青年期は離れ離れになった2人の男の将来への葛藤、中年期は自分の生き方や居場所をどう求めていくかが描かれている。そして山は静かにいつもそこにある。

少年期のピエトロの父親の話が好きだ「氷河は冬の思い出を記憶している。それは昇らなければ触れる事も出来ない」。ブルーノの最期は悲しくも美しくある。9種体癖とも言える拘り、職人気質が現実と折り合いをつける事を拒んでしまう。ピエトロが語ったチベットの鳥葬のように人に見とられる事なくこの世を去ってしまう。

山を渡り歩くものと山に住むもの、どっちが山について知る事になるのだろうか?その問いは簡単に答えを出せない程深い。

【第9位】Hydra

メロドラマ風の作りとえっ?これで終わりなん?という物足りなさ。
ただ格闘技は総合格闘技や実践格闘技のエッセンスを孕んでおり、そこだけは異常なクオリティの高さだった。

役者は演技達者でかなりの雰囲気。皆んな良い顔立ちなんだよね。そういう意味では昭和にタイムスリップしたストーリー仕立てではある。

特にタカシ演じるジャルジャル福徳そっくりの俳優さん(三元雅芸)は典型的な6種体癖で夜の街が良く似合っていた。

そのアンバランスさがクセになる人には堪らないだろう。

【第10位】26世紀青年

何というか設定とかは好きだし26世紀のアホ過ぎる大統領はノリが良くて好きだし、でも笑えないし心から良い映画とは思えない。

知能指数と遺伝子をメインで人間を推し量る
描き方はどうなんだろう?とまず最初に思った。
その捉え方すらギャグなんだったら良いのだけど「笑えそうで笑えない」が感想だ。

この映画を知ったのはちょっと退廃的な6種体癖っぽいダンサーのインスタだった。彼はこの映画を絶賛していたがちょっと世界を斜めに見ている人には局所的に刺さるのかもしれない。踏み絵みたいな映画だな。

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