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お客様の要望にただ応えるサービス、ではない

何でも対応してくれる都合の良いサービスのように思われているかも知れないBLUE B NOSE(以下:BBN)ですが、どちらかと言うと正反対なサービスでもあります。
お客様の要望に応えないどころか、ネガティブなこともご提案する理由、求めていないこともご提供する理由について、お伝えしています。

月額制の制作系サービスなら、料金の範囲内で何でも注文し放題だと思われそうですが、BBNは一般的な月額制サービスとは異なり、「何でも注文できる」サービスではない上に、お客様のご要望に必ず応えるサービスでもありません。

月額料金のうち実質半分近くはサーバ代、残りの半分で制作費用等を賄っている関係で、「何でもできる」体制ではない事情もありますが、お客様の求めにただ付き合う、振り回されてあげることがサービスとして適切だとも思っていないから、という理由もあります。

今回は、BBNのスタンスについて、改めてお伝えします。


顕在化している課題へ対症療法を繰り返しても、問題は解決しない

お客様から「これをやって欲しい」という要望が出ている場合、お客様がハッキリと認識している課題、顕在化している問題が発生していると思われます。例えば痛みや痒み、暑さや寒さ、その他の各種不快感に対する要求だったり、「あれが欲しい、これが欲しい」と不足や不存在を解消するお願いだったり。主にペインポイントを取り除くタイプの問題解決、「不」や「負」を解消する取り組みが該当するでしょう。
(承認欲求を満たしたり、何らかの願望を叶えたり、ゲインポイントに対するお願いの可能性も十分あります)

しかし、顕在化している問題への対処、いわゆる「問題解決」を主にしてしまうと、その都度の対症療法、一時的なその場しのぎに振り回されることが多く、計画的な予防治療や根治が目的のリハビリのような取り組みを提案しても、「それは要らない」となるケースも多々あります。
例えば定期的な健康診断や歯のホワイトニング等を通じて、大きな疾病の早期発見、病巣が小さいうちに簡単な処置で対応できたり、予防接種で早めの対策が有効だと理解していても、根気や定期的な追加の出費、僅かな痛みを伴うとなれば、積極的に「やりましょう」とならないのも自然です。

突発的な対症療法に付き合うスタイル、それで収益を上げる方法も否定はしませんが、お客様のことを本当に考えるなら、必要なのは予防治療や根治を目的とした計画的な取り組みの方であり、場合によっては痛みが伴うことをきちんと説明した上で、合意を形成して一大プロジェクトを実行すること、成功させることであり、目先の痛みを誤魔化して、その場凌ぎを繰り返すことではないはず。

「これをやって欲しい」という対症療法にも付き合いつつ、本当の課題、真の病巣、宿痾を探す。
根治を目指すために必要なら、本人から苦い薬は求められていなくても、「飲まなくていいですよ」とは言えません。猛烈に嫌がったとしても、強引な処置が必要になる場合がある。イメージとしてはそういう意味合いで、「お客様の要望に応えない」場合もあります。

「自転車置き場の色」問題で時間を食い潰すかも

「自転車置き場の色」といえば、パーキンソンの凡俗法則

で取り上げられやすい事例で、自分の理解が及ばない問題に介入することは少ないが、自分が理解していることに対しては些細なことでも意見、要望を挟みがちになる法則があるとして、自転車置き場をどうするかについては誰もが意見を出しやすくなる、という例え話です。

当然、自転車置き場をどんな色にするかとか、屋根の素材は何にするかなんて、瑣末な話であり、どうでもいい話のはずが、専門知識の少ないお客様の注目はどうしても自分が分かりやすい領域に集中することが多く、根本的な課題とは無関係なところに予算や時間を費やさせてしまう可能性があります。

「そういうサービス」として設計しているのならそれでも構いませんが、BBNはそういうサービスではありません。お客様の御用聞きとして無理難題を解決し、少しずつ気に入られて関係を強化していくようなやり方は、竹取物語だけで十分です。

BBNはお客様個人の課題を解決したり、お客様に気に入られることを目的としていません。
お客様一人一人の問題解決を通じて、より大きな社会的な課題、市場の問題を解決するために、一つ一つ自分たちの手で問題に取り組むやり方を選択しています。

お客様の根本問題を解決することに繋がらない対症療法や、瑣末な問題に対する要求というのは、無理のない範囲、必要だと思う範囲までしかご対応していません。その都度のコミュニケーションも大切にしており、できること、できないことに対してご理解いただくことも忘れないようにしています。

単なる「業者」ではなく、専門家、パートナーとして関与する

ただの制作事業者、いわゆる「業者」として関係を結ぶのなら、お客様の要望は絶対で、朝令暮改であっても絶対的にお付き合いしなければならないでしょう。お客様が求めていないことには対応せず、要望=仕事=お金という構図でしょう。その方が分かりやすくて良いとも思いますが、その関わり方でお客様や市場が良くなっていく事例は見たことがありません。
お金や仕事はグルグル回るものの、関わっているクリエイターや企業を含め、「三方よし」どころか、最初の段階である「自分よし」も叶えられているか怪しいやり方です。

Web制作の世界でも、依頼を受ける以上は専門家として業務を委託してもらう。そこから先はプロフェッショナルとして、基本的にはやり方に口を出させない。専門家として、依頼主が見えていないところもケアをして、望まれていないこと、要求されていないことが途中で出てきても、「こういうことなので」と説明した上で対応する可能性もあります。

明確な免許や資格を有する人材ではありませんが、心持ちとしては独占業務がある〇〇士のようなつもりで、お客様やお客様が求めるWebサイトと向き合っています。
そんな専門家、あるいはお客様のビジネスパートナーとして関与するのに、全ての要望に従順に付き合うでしょうか? 専門家なら、お客様が「面倒臭いから」と嫌がることでも要求する場合があるでしょう。

ネガティブなことを要求したり、恥ずかしいことや痛いことを指摘したり。
専門家という自負があるから、またお客様のパートナーであるという自覚があるからこそ、望まれていないこともやる。だから、優先順位によっては「お客様の要望に応えない」場面も出て来ます。

本当に提供すべきものは、顧客の要望には存在しない

第三者の立場で客観的に物事を判断できれば、「適切な回答」は意外と簡単に見つかることもありますが、当事者やそれに巻き込まれている立場の場合、客観的に突き放して考えることが難しく、適切な答えを導き出せないことはよくあります。
(例えば、レストランや居酒屋で隣の席から聞こえてくる悩み相談に対して、自分ならこうするのにとすぐ答えが出ることとかありません?)

同様に、市場や顧客が本当に求めているもの、本当に必要だったものというのは、顧客の要望をどれだけ深掘りしても分からない、というのもよくある話です。特に、Webサイト制作を広義のシステム開発に含めるなら、要件定義の難しさを示す「顧客が本当に必要だったもの」

のイラストなんかはよく見かけることでしょう。

自動車が生まれる前には「足の速い馬が欲しい」と要求するでしょうし、iPhoneが生まれる前に「カメラがついてネットワークに繋げられる小型パソコン」は要望しにくいでしょう。

顧客が自覚していること、見えている世界だけでは、顧客が本当に望むもの、本当に提供すべきものは見つけられないなんて、よくある話です。Webサイト制作でも、そうでないと言い切れますか?
ましてや、「良薬口に苦し」でわざわざ高くて苦い薬を望む顧客は稀有でしょう。大抵、効きもしない安価なプラセボに手を出すはず。

つまり、顧客が「欲しい」と自覚しているもの、歓迎するものばかりを提供することが必ずしも正しいことではない、ということです。BBNは、「本当に提供すべきもの」を模索し、カスタマーサクセスや問題発見を重視しているので、顧客が求めていないものや、顧客が嫌がるものであっても提供すべきと判断したことは提供するというスタンスを取っています。

「新しいもの」を作りたいから、顧客の要求外も模索する

これは単純に我々のワガママに過ぎませんが、どうせ作るなら、どこにも存在しない新しいもの、新しいWebサイトを作りたいと考えています。それを実現するためには、お客様だけでも、我々だけでもダメで、お互いの共創でないと不可能だとも考えています。

何故ならば、「誰か一人の頭の中にあるもの」を形にしたところで、個人がそれまでにインプットしたものの組み合わせの範疇を超えることはほぼないから、です。何らかの閃きがあったとしても、想定外のもの同士が結びついただけであって、知らないもの、頭の中にないものは結びつけようがありません。

組み合わせ方は斬新であっても、世の中に既にあるもの、すなわち過去の延長に収斂しがちです。
過去の延長の枠を少しでもはみ出すためには、別の誰かの考え、インプットも掛け合わせる必要があります。一人ではできない限界突破を、二人以上で達成するために、お客様が求める「これを作って欲しい」を少しでも逸脱していかないと、「新しいもの」には至らない。

お客様に届けなければならないのも、お客様の承認欲求や満足を満たすものでなく、新たなお客様に相応しい「今までにないモノ」のはず。お客様の要望をただひたすら叶えるだけでは、逸脱の提案は難しいでしょう。

お客様が知っていること、あるいは我々が知っていることを飛び出して、掛け合わせて、より一層新しそうなものを生み出す。それがお客様のため、さらには市場、世の中のためでもあると信じています。
どうせ手を動かすなら、少しでも新しいと思えるものを。クリエイターとしての細やかなワガママもあり、「お客様の要望」に応えない場合があります。

お客様の要望を毎回検討する

お客様や事業の状況、Webサイトやマーケティングの現状を踏まえ、その要望を本当に実行すべきかどうかを毎回検討し、お客様を喜ばせるだけなのかとか、お客様が目先の苦痛から目を逸らすための要望なのかとか、たまには喜ばせるために一肌脱いでもいいとか、ワンクッション置くことにしています。

ちょっと手を動かしてみた結果、あるいは検討してみた結果、応えるか応えないかをきちんとお伝えし、応えないなら応えない理由もきちんと説明、ご理解いただくコミュニケーションを大切にしています。

お客様が解決すべき問題をきちんと把握して、直すべき悪癖、宿痾は嫌がられても解決する方法を模索する。子供達に嫌われる厳格な父親や教師や、力尽くで苦い薬を飲ませる母親のように、お客様のことを思ったネガティブな実力行使、必要悪を買って出ることも必要だと考えています。

必要なら嫌われる覚悟も持ってお客様と向き合う、月額制Webサイト制作サービス。
それも、BBNの特徴です。

今後も「お役立ち情報等」をお届けします

BBNは利用料金をいただきながら、必要に応じて諫言や愛の鞭を振るうこともある月額制Webサイト制作サービスを提供しています。苦行や心の痛みも厭わないBBNと、本当に必要なWebサイト制作やカスタマーサクセス、問題発見に取り組んでみませんか?
またBLUE B NOSEでは今後も、経験を通じて得たナレッジやノウハウ、独自視点でのお役立ち情報等をお届けします。サービスの詳細や事例はHP上でも発信中なので、もしよろしければ当アカウントのフォローや、HPのチェックもお願いします。


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