【真心が届く】オ・ジョンセがいちいちおもしろい。
ということなんだけど、トッケビの死神とサニーが生まれ変わって出会ったとしか思えなくて(思いたくて)、二人のハッピーエンドを強く強く願いながら一気見した。
でも、トッケビのスケールの大きさと比べると、お話は小ぢんまりしてる。同じ演出家の「この恋は初めてだから」には、ラブストーリーの奥に「家族とは」「結婚とは」をしみじみ考えさせる深さがあったが、「真心が届く」では特に新鮮な設定もなく、ありきたりなラブストーリー感は否めない。DVやストーカー被害、いじめ、ネット空間における悪質な中傷やデマの拡散といったテーマもとりあげてはいるが、さらっと流れていくのでそれほど印象には残らない。それでも一気に観てしまったのは、俳優さんたちの演技力がやっぱりすごいから。
若くして芸能界に入り、世間知らずで不器用でピュアなジンシム(オ・ユンソ)を演じているのはユ・インナ。30代も後半らしいのに、こんなにも初々しさを演じられるなんて!可愛く振舞う時に喉の奥から漏れる笑い声なんか幼児みたいで、しかもそれがあざとくもない。大根役者を演じるときのセリフ棒読みや酔っ払いの演技もすんごい可愛くて笑える。
堅物で正義感の強い弁護士ジョンロクを演じるイ・ドンウクは、最初のほうは死神に見えて仕方がなかったが、回が進むにつれてどんどん普通のまじめなサラリーマンに見えてきた。ジョンロクは「この恋は初めてだから」のナム・セヒとイメージがかぶる。どちらも仕事はできるが空気は読めず、しかしいざという時に頼りになる彼氏である。現実の社会で正義感や信念と「空気を読む」は両立しない場合が多々ある。韓ドラに出てくるコミュ下手で不器用な人たちは、信念を貫くからこそ魅力的だ。
さすがだったのはオ・ジョンセである。「サイコだけど大丈夫」では自閉症の役、「椿の花咲くころ」では見栄っ張りな小心者の役だった。このドラマでは、目立ちたがりでちょっと情けない感じの法律事務所代表を演じている。オ・ジョンセがしゃべったり動いたりするたびにいちいち面白い。私が韓ドラにはまったのは、初めて観た「サイコだけど大丈夫」での彼の演技がきっかけである。やっぱりすごい。リスペクト。
それから、同じく「椿の花咲くころ」でフンシク役を怪演したイ・ギュソンも発見。こちらでは打って変わってお調子者の法律事務所インターンである。脇役でも印象を残す役者さんだと思った。
そのほかメモ。同僚弁護士のパク・ギョンヘはトッケビで幽霊役だったから、この方も最初のほうは幽霊に見えたが、最後は恋する弁護士で可愛かった。マネジャー役のオ・ウィシクとユンソの所属する事務所代表のイ・ジュニョク、ヤン秘書役のチャン・ソヨン・・も、これまでに観たいくつかのドラマに出てたからなんとなく注目、安定の脇役陣であった。
全体的に、スリリングでもなくものすごく号泣するほどでもない、普通のラブコメディなんだが、十分おもしろいし観終わったときの印象は温かい。観ていて疲れない。タイトルの通り、心が通い合う感じが残ってほんわかする。気軽に楽しめるドラマだった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?