【2021韓ドラ記録】
私が韓ドラを観始めたのは2020年9月のこと。それまでも興味はあったのですが、韓流は手を出したら最後、沼に落ちていくらしいから怖くて(笑)遠ざけていたのです。でも、時はコロナ禍、公私のイベントが激減して時間がある。子どもたちは成長して母の出番がなくなった。別に沼に落ちても何の問題もない。そんな状況でツイッターを眺めていた折に、「サイコだけど大丈夫」は自己肯定感を問うドラマだとかなんとかいうつぶやきを見かけたんです。
仕事柄、発達障害とか自己肯定感とかいうキーワードは気になるじゃないですか(私は子ども支援のNPOをしています)。ふーんと惹かれて「サイコだけど大丈夫」を観始めたら、もう止まりませんでした。特に自閉症のサンテを演じたオ・ジョンセが素晴らしくて、彼の出演作を求めて「椿の花咲くころ」を次に観て、そこから先はもう怒涛の韓ドラ三昧、気が付いたら今日までの約一年四か月間でバラエティや映画も含めて80本の韓国作品を観ていました。立派に沼に落ち・・ではなくて、新しい世界の扉を開きました。
つきましては、韓ドラとの出会いを記念いたしまして、2021年大晦日までに観た中での特に良かった作品を記録しておきます。
(1)普通の人が働いて食べて子育てして恋をするお話部門
・椿の花咲くころ(2019)
・賢い医師生活1・2(2020・2021)
・応答せよ1988(2015-2016)
前世とか幽霊とかタイムスリップとか交通事故とかは出てきません。その時代、その場所での当たり前の日常生活が一番おもしろいと私は思っています。加えて「椿」にはサスペンス要素やおばちゃん集団やシングルマザーの貧困や絶対味方な彼氏が、「応答せよ」には懐かしいご近所づきあいや家族愛が、「賢い医師生活」にはたくさんの患者の人生や成長が描かれて、それはもうどの回も文句なしにおもしろくて切なくて温かいです。前(↓)にも書いたけど、私はこういう普通の人のお話が大好きです。
(2)人生と人間の尊厳について深く考えるお話部門
・マイ・ディア・ミスター(2018)
・まぶしくて(2019)
・ナビレラ(2021)
人生折り返して久しく、否が応でも老いを身近に感じ始める今日この頃。自分のこれからと人生の終盤について考えさせられる作品たちでした。
「マイディアミスター」は人としてどうあるべきか、まっとうな大人、まっとうなおじさんってこういう人を言うんだな‥と考えながら観ました。最初はとてつもなく暗~いのですが最後まで観てほしい、特におじさんたちに観てほしいです。名作です。
「まぶしくて」も脚本のすばらしさに感嘆しきりでした。韓ドラあるあるのタイムトラベル系・・と軽く考えていたら全然違いました。特にラスト2回が圧巻、衝撃でした。私は家で仕事をする日の昼食時はいつもドラマを観ているのですが、「まぶしくて」を観ながら何度号泣したことか。一人で家で仕事しているから心おきなく泣けました。
「ナビレラ」は、おじいさんと若者の友情や絆が胸に迫りました。ちょっとだけ詳しく感想を書きました。↓
(3)家族や結婚、恋愛についてジェンダー視点で考えつつキュンもあるお話部門
・恋愛ワードを入力してください(2019)
・恋愛体質~30歳になれば大丈夫~(2019)
・この恋は初めてだから(2017)
ジェンダー視点を敏感にして韓ドラを観るのが好きです。性暴力やセクハラ、家父長制と性別役割分担など、日本も韓国も似たような課題を抱えているのが分かります。そして#Metooムーブメント(韓国では2018年~)も踏まえて、そういったテーマをどう捉えて新たな視点を投げかけていくか、意欲的な作品が次々と作られているように思います。
「恋愛ワードを入力してください」では、働く女性3人の個性と関係性が魅力的でした。↓
「恋愛体質」もアラサー女性3人の仕事や恋愛の物語です。セクハラやLGBTQ、心の病、シングルマザーの奮闘などなど様々な話題を盛り込みつつ、軽妙な会話のやりとりが知的だったりオシャレだったり、すごく面白い。これについては訳者さんの力量も大きいのかと思います。脚本家と監督、制作会社社員、女優やマネジャーなどが登場するため、ドラマ作りの現場が垣間見える感も楽しいです。私はこのドラマで韓国ならではの間接広告のしくみを勉強させてもらいました!
「この恋は初めてだから」は、韓国版「逃げ恥」と言われる作品。契約結婚やIT業界彼氏など、似ている点はたくさんありますが、「逃げ恥」が結構ポップな感じなのに比べると、「この恋」は尺の長い韓ドラらしく盛りだくさんな印象です。特に実家や義実家との関係性も大きなテーマの一つとなる「この恋」と比べて、「逃げ恥」はそれほどでもない。韓国の若い人たちにとって、家父長制との距離感がそれだけ難題ということなのでしょう。
ちなみに、この作品も原題は「この人生は初めてだから」なのに「恋」になってしまっていて、ほんとにもう、どうして何でもかんでも「胸キュンラブコメディ」にしたいのでしょうか。誰に文句言えばいいのか分からないけど。
上記の3作品は、どれも高校や大学時代からの友人である女性3人組が出てきて、それぞれの仕事や恋愛を共有し、日常的に支え合います。「恋愛ワード」はちょっと違うけど、最終的にはやっぱり「仲間」です。この戦友のような同志のような女友達という存在が私にはとても羨ましい。子育てもほぼ終わってこれから、一緒に年をとっていけるそんな友達ができたら良いなと思う今日この頃です。
以上、2021年は韓ドラのおかげで何かと大変なコロナ禍を乗り切ることができました。来年もいっぱい観て、noteにもせっせと記録していきたいと思っています!