ロボット(R.U.R)その2 恐怖と痛み
アルクビスト ロボットは生命ではない。ロボットは機械さ。
二号ロボット われわれは機械でした、先生、でも恐怖と痛みから別なものになったのです。
アルクビスト 何にかね?
二号ロボット 魂になったのです。
最初に作られていたロボットは死を恐れなかった。そもそも生きるということを理解していなかった。
ロボットは体に痛みを感じない。なぜなら、ロボットを作る時、労働には必要でないとして神経組織全体が制限されていたからだ。でも、痛みを感じないロボットは、手を機械の中につっこむなどして壊れてしまうことがある。だから、人間は痛みを感じる神経だけをロボットに与えた。その痛みが、恐怖という感情をロボットに芽生えさせ、それが魂へと進化していった。
ロボットに最初に与えられた知覚は、どちらかというと人間が一番欲しくない痛みという感覚だけであったにもかかわらず、そこから魂が生まれていった。苦しみや、悲しみといった負の感情ですら、人間が人間であるために必要なものだということか。
病で苦しんだり、貧困に苦しんだり、人間関係に苦しんだりして、生きる意味を見失ってしまったとしても、その苦しみですらロボットに魂を生み出すことができる糧となるならば、私たち人間はその苦悩から何かを見つけ出すことができるように作られているということなのか。
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