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「ここは退屈迎えに来て」

ここは退屈迎えに来て を鑑賞
2018年公開 廣木隆一 監督作品

何を見ようかと動画配信サイトを見ていて、なんだか導かれたように感じた映画だった

最近、というより本当に今、タイムリーで思っていたことがそのままタイトルになっていたように思えたのだ

原作は2012年に刊行された、山内マリコによる同名の小説である

一見繋がりが無いような人物たちの何気ない日常を映し、
過去から現在、現在から過去と
視点、焦点を幾度も幾度も変えながら
登場人物各々との、ちょっとした繋がりを見出していく

映し出される過去は主に高校が舞台で、その当時特有の青春感がすごく眩しい
対して、年を重ね、今を生きる登場人物たちは、過去を引きずるようでどこかやるせない

どこの高校にも1人はいるであろう人気者の男子「椎名」と
作中で登場人物たちがよく口にする「東京

「椎名」と「東京」に対してそれぞれが抱える気持ちは

いつか、どこかで、誰かに、何かに、

誰もが1度は必ず抱えたことのあるものなのではないだろうか

憧憬、後悔、嫉妬、恋慕、憂鬱、恥、自惚れ、羨望、懐旧

登場人物たちの心情や、過去と現在で悩んでいることなど、
今自分が抱えるものとすごくリンクしてちょっと苦しくて切なくなった
何が、とは上手く言えないけど言葉の節々に思い当たるようなことがあり、チクリと胸を刺す

劇中歌も良く、知っているものが多くて、
エンドロールで音楽監修を務めたのがフジファブリックだとわかり、納得だった

フジファブリックの「茜色の夕日」は本当に名曲だと思う
もう随分と前の曲だが、この作品とのマッチングがすごかった

個人的に門脇麦が作中で口ずさむシーンがとても好きだ

そして技術とかは全く詳しくは無いが、カメラワークが好きだなと感じた
人間が映すリアルと垣間見得るノスタルジックな雰囲気がどこかぐっとくる


映画の中で高校時代のことを
"その頃は気付かなかったけど、お金を出してもう一度やれるならお金出すかも"
という風に言っていて、誰しもそう思える時間ってあるよなあとぼんやり思った

思い出すと苦しくなる、でも確かに特別だった

過去でも、未来の自分でもなく、今現在の自分でこの作品に出会えて良かったのかもしれない
なんだか救われたような気分で
自分だけじゃないと思えた


青春の後にあるものは?

(※画像は公式サイトより引用)

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