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おもんなくて滅入った映画

Netflixで視聴したEverything Everywhere All at Onceの話です。「エブエブ」と略されることがあるようですが、その略し方は好みではないので “この映画” と呼びます。他にも「ポテサラ」や「オートマ」などの略語も私は使いません。「インフル」も苦手な類いだったのですが、最近はあまり気にならなくなり、今では油断をすると私も使ってしまっているかもしれません。

さて“この映画” の話に戻します。2023年アカデミー賞にて作品賞を含む7冠による最多受賞となった映画で、トマトメーターでも十分にフレッシュです。視聴する前から賛否がある事は知っていたのですが、そのレビューには「マジで過去最高」「この映画の良さが解らないやつはクソ」といった過激なもの少なくなく、まるでこちらが試されているように心持ちになりました。そして、いざ見てみたところ「これがオスカーか?」と思わせるクソ映画でした。クソ映画の中では面白い方だし、A24の映像的な魅力もあったけど、オスカーはないだろう…全然なしだと思う。

私にとっては「サウスパーク/無修正映画版」や「ビッグ・リボウスキ」なんかと同じような分類の色物映画で、これはメインストリームではなく、一部の人(決して少なくはない)が、ニヤリとさせられる類いのものではなかろうかと思いました。そう「ウィリーズ・ワンダーランド」みたいに。アレはなかなにいい映画だぞ。

それとも、アカデミー賞ってこんなにパンクな感じなんでしたっけ?もしくはアレですか、中国への忖度ですか?「パラサイト」で韓国が授賞しましたし、それだったら理解出来ますよ。

なお、この映画に関することで私が唯一良かったなと思ったのは。キー・ホイ・クァンの助演男優賞のスピーチです。

グーニーズ世代の私にとっても感慨深いものがあります。そして、このスピーチ映像は、スピーチの内容だけでなく、プレゼンターの女性(アリアナ・デボーズ)が、その受賞者名にアジア人であるキー・ホイ・クァンの名前を見て、思わず感極まるところがまた感動を誘います。本編の映画よりもずっと素晴らしい。

でも、この授賞スピーチにも水をさす話があります。1つは、本当はジャッキー・チェンのために書かれた脚本だったのに、オファーを断られたためにキー・ホイ・クァンが演じたという話と、もう1つは2024年のアカデミー賞での人種差別問題について。

これらのエピソードが全部セットになっての色物オスカーというなら納得です。

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