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#好き020 コカ・コーラ

私の父はお酒が飲めなかった。
その代わりにコーラが好きで、私が子供のころ、実家の勝手口の脇には、漬物樽と並んで、酒屋から仕入れた瓶コーラのラックが置いてあった。だからと言って、日常的にコーラを飲んでいたわけではなく、おそらく月に数本程度しか飲んでいなかったと思う。また我が家では、その瓶コーラは”父のコーラ”という共通の認識があった。勝手に飲んではいけないと言われた記憶はないが、そのコーラを取り出して飲むのは、父か、または父の了解があった時だけだったと記憶している。
そして父は、小さなご褒美としてよくコーラをふるまった。子供たちに「コーラ飲むか」と声を掛けるのである。そして私たち兄弟は喜んで父と一緒にコーラを飲んだ。

特にエモい話でもなんでもなく、今でも実家に帰れば父はコーラを飲んでいて、毎回それを私にも進めてくる。ただし瓶ではなく、小さな缶のコーラだ。そんなこんなで、コカ・コーラは私にとって身近で、大好きな飲み物だ。

また、私にはコーラを飲むときの小さなこだわりがある。
まずコーラは赤くないとダメで、カロリーオフの黒いコーラはいただけない。合成甘味料の後味がダメだったような気もするが、そういう問題とは別に、とにかくコーラは赤くないと気分が上がらないのである。また、コーラはたくさんの氷が入ったグラスに注いで飲みたい。それが流儀だ。
私は職場でもそうやってコーラを飲んでいるので、珍しがられる。

今思えば、実家の瓶コーラは冷蔵庫には入れていなかったので、その都度氷入りのグラスに注いで飲んでいた。また、当時は赤くないカロリーオフのコーラなんてなかった。もしかしたら私のこだわりは、子供のころの体験に影響を受けているのかもしれない。

話の腰を折るようだが、そんなコーラ好きの私も、マクドナルドではスプライトを頼む。何故かというと、パルプ・フィクションという映画で、サミュエル・L・ジャクソンが、バーガーをスプライトで一気に流し込むシーンがあって、それが強烈に印象に残っているせいだ。
ちなみに、私はシェイクも大好きで、お店のメニューで見かけたらほぼ確実に頼む。その時にも頼むのはいつも必ずバニラと決まっていて、何故かというと、同じくパルプ・フィクションジョン・トラボルタがそれを飲んでいたからだ。
つまりは、マックでスプライトを頼む(そして、音を立てて一気飲みする)のも、バニラシェイクを頼むのも、特に誰にも言いはしないが、こっそりと一人パルプ・フィクションごっこを楽しむためだというのは、秘密である。
ついでのついでだが、バーガーは包装紙から取り出して素手でつかんで食べる。これはOCEAN'S ELEVENブラッド・ピッドの影響だ。


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