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スキーマの修正

先日、記号接地のことを記事にしました。概念を形成するためのヒントがたくさんあり、記号接地にヒントがあることがわかりました。
今井(2024)は、次のようにまとめています。

抽象的で記号接地が困難な概念は、実践ー失敗ー修正のらせん状のブーストラッピングの過程を経て、徐々に接地し、コツをつかみ、最終的に直観的にすぐに取り出して使えるところまでもっていく。それが「身体化」された、「生きた知識」になるということである。難しい抽象的な概念を「生きた知識」にするにはそれ以外の方法はない

「学力喪失」(2024)今井むつみ,岩波新書

また、「生きた知識」を身につける方法も詳しくまとめています。

①基本概念の記号接地をすること。
②ブーストラッピング・サイクルによって事例からの一般化、抽象化を自分で行うこと。その際、質の高いアブダクションを行うこと。
③基本概念のスキーマが誤っている場合には修正できること。
④「システム2思考」で「システム1思考」をコントロールすること。
⑤知識が身体の一部になっていて、様々な状況で自在に使えること。

「学力喪失」(2024)今井むつみ,岩波新書

私はこの5つの段階の中で「スキーマの修正」が最も難しいと考えます。スキーマはこれまでの生活経験などに基づいて形成されます。自分と隣の友達のスキーマは異なります。だからこそ、学校という場で友達と交流し学ぶのでしょう。交流の場で誤った考えをどのように取り扱うか、志田(2024)の取組が参考になります。

子どもが誤って答えてしまったとき、その場で無理に修正に向かわせず、一旦受け入れることにしています。そして場面を変えて適用させていくのです。

「算数授業のパーパス思考」(2023)志田倫明,東洋館出版社

スキーマの修正は容易ではありませんが、自分の考えが通用しないとなると、間違っていることが受け入れやすくなるのではないでしょうか。

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