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絵が描けるようになりたくて、1年間お絵かきをやった話

自分には絵を描く才能もなければ、上手くなるためにがんばり続ける根気もない。
だから絵なんか練習しても時間の無駄だし、自分に何の利益ももたらさない。

そう思ってずっと避けていた「絵を描く」という行為を去年(2020年)の1月からやっていました。

よく考えたら人生一回しかない(だろう)し、そんなにコスパばかり追求しないといけないような人生でもなかったし、やらなかったらやらなかったで後悔しそうな気がしたので。

で、2021年の1月4日に始めてから一年経ったので、この辺で描いてきた絵を振り返ってみたいと思いました。本当の意味で0から絵を描き始めた人が一年やるとどれくらい描けるようになるのか(あるいはどれくらい描けないのか)の参考になればと思います。

2020年末

「もうモノにならなくて良いから、一年間は絵を描こう」と思い立って、2020年の仕事納めの後にビックカメラに行って、ペンタブ(Wacom Intuos Medium)を買う。ペイントソフトはCLIP STUDIO。
何もわからない状態なので、オーソドックスな物を揃えればいいだろうと思った。

買って家に帰ってきたものの、何も描かなかった。コロナ禍で実家にも帰れず、めちゃくちゃ時間はあったのに気が乗らなくて箱すら開けなかった。
まだなんか恐怖心というか敬遠する気持ちがあったのだと思う。

2021年1月

年が開けて3日経ったのに何もやらなかった。
4日、さすがにヤバいと思って以下のことをやる。

  1. ペンタブを取り出す

  2. CLIP STUDIOをインストールする

  3. オンライン講座の「パルミー」に入会する

  4. パルミーの「初心者向け ゼロから始めるイラスト講座」を見る

パルミーは「オンラインにしては高いな」と思ったけど、何がしかの指針がないと進められないと思ったので当面講座の通りに進めていくことにした。

(注意:ここからしばらく線が描けてないようなレベルの絵が続きます)

最初に描いたのがこれ。

ファイル名「パルミーちゃんにしたかったもの」

あと今となってはなにを思っていたのかわからないけど、アルミ缶の絵がフォルダー内に置いてあった。

アルミ.jpg


そこからしばらくは正面向きの顔や上半身だけを描いていたようで、こんな絵があった。

だいたいこの辺が始めた時点の最大画力だと思う。(模写でこれ)

そこから顔とか体の描き方を毎日練習していったけど、正面顔すら模写じゃないとちゃんと描けないので「これ本当に描けるようになるのかな」と疑問を覚え始める。

10日目にこんな絵を描いてた。

江尻が小久保にホームランを打たれたシーンをモチーフにしたと思われるもの

とりあえず、パターンがわかるようになるまでは同じキャラを描き続けた方がいいだろうと思ったので、ここから延々と艦これの時雨が出てくる。

漫然と描いていても上達しない気がしたので、
・平日は寝るまでの時間内で描けるものを描く
・週末は全身絵を描く
・月の最後の週末は何でもいいからシーンを1個描ききる
という方針を立てて、できるだけ毎日ペンを取ることにした。

1月の末に描いた絵がこれ。

いわゆる「自分の昔の絵」を貼っていく行為が1月目にして辛くなってきたが、がんばって続けたい。

2021年2月

本当に顔すら描けなかったので、延々と顔(正面)の練習をしていた形跡がある。

とりあえず9枚貼ったけど、実際はこれの3倍ぐらいあって、どうも3月半ばぐらいまでずっとやっていたようだ。(なおこれ以降も顔は安定していない)
今思うと、どういうモチベーションだったんだろうってなる。

パルミーではパースとか線画の講座を受けていたらしいが、あまり絵としての形跡がない。(とはいえ真面目に聞いてた)

2月末に描いたのは下の絵。

中日の荒木と井端をモチーフに描いたものと思われるもの

2021年3月

パルミーの「身体の描き方 練習講座」を見ながら絵を描いていた頃だと思う。

キャラクターのポーズと印象

この月は、ある事情により過去二ヶ月に比べると比較的絵を描いてない。

ある事情

2021年4月

パルミーのジェスチャードローイング講座を中心にやっていた月。

30秒~2分以内の短時間で体を描ききることで、「全体の流れを捉える目」を養う効果があるらしい。

実際これはかなり効果があって、「全身を描くの難しいしイヤだな」という気持ちがだいぶ軽減された。

この月の段階では「手と脚が全然描けない」という課題意識が強く、下の絵みたいに、柔らかさのない変な線で手足を描いていたのを何とか克服したかった。

どう描けばいいのかわからないの図(模写)

2021年5月

4月からのジェスチャードローイングを継続しつつ、模写を中心にやって「正しい形」を覚えようとしていたらしい。

この辺では停滞期に入っていたらしく、「これ以上は上手くならないのでは……?」という疑念を抱き始める。

2021年6月

新しい知識を入れるよりも今までの知識を実践していく方に比重を置いた方が良さそうだったのでパルミーを解約し、困ったときはYouTubeのお絵かき講座系の動画を見る、という方針に切り替える。

みにまるコミックさんの動画を見ながら手の描き方やアングル変更の練習をしてたようだ。

人体の構造がわからなかったので美術解剖学の本(ソッカの美術解剖学ノート)も買ったが役に立っているかは微妙。

6月末の絵からは人以外の部分も描くようにした。

Papers, Please

2021年7月

6月の方針を継続。

相変わらず手足の苦手意識が強いけど、全身図を中心にいろいろ描いていた。

2021年8月

この辺から「時間をかけて1枚の絵を描く」、というパターンが増えてくる。

とはいえ、「線を増やす」とか「深みのある色」にするとかいう作業で時間をかけていくわけではなくて、
描く(メチャクチャ下手)

描き直す(多少マシになる)

描き直す(多少マシになる)

描き直す(多少マシになる)
みたいに、繰り返すことによって何とか品質を上げていく感じ。

さいとうなおきさんの動画やディープブリザードさんの動画を見始め、構図を意識し始める。

レ・ミゼラブル観劇記念

あまりテーマを定めず描きたいものを描いて、「ここ変だな」「思った通りに描けなかったな」って感じたところを学び直す感じの月。

Return of the Obra Dinn

上の絵の「ネオンの裏側」もそうだけど、絵を描くためには今まで興味がなかったことも観察しないといけないので、物に対する解像度がかなり上がってきている気がする。

2021年10月

相変わらず好きに描いていたが、塗りがイマイチ上達しないという悩みを抱えながら描いていた。

マンガっぽいコマ割りもやってみたけど、なんかよくわからなかったなという感じ。

2021年11月

全体としては上手くなってるんだけど、やればやるほど苦手なところばかりが気になるようになる。というか線も色も手足も背景も全部課題だらけなので、どこから直していいかわからなくなる。

とはいえ、気にしてばかりだと描けないので、だいたい時間を区切って描くようにする。

街の背景が必要だったので写真をトレスしたんだけど、トレスしてもあまり良い感じにならない。どうすればいいんだ。

マンガも描きたかったので、このタイミングでトーンも試してみる。

2021年12月

マンガを描いてた。
コマごとに角度や縮尺を変えて、かつ違和感のないように描かないといけないので、難しいところもあるけど単純に楽しい。

2022年01月

これでちょうど一年だから集大成的なものを描こうと思ってましたが、結局描きたいものを描いてしまった……。

シロナガス島への帰還

一年間やってみて

成長目標を立てたり、毎日がむしゃらに描き続けたりみたいなことは全然してこなかったし、「先天的に描く能力がない」ぐらいに考えていたけど継続していれば(それなりには)上達はするんだなと思った。

最初の頃は「ちゃんと線が引けない」「同じように描いてるのに同じようにならない」「何をどうやればちゃんとなるのかわからない」ような状態で、「上手く描くための方法」みたいな動画もいろいろ見たけど結局よくわからないし、全然上達しないって状況が続いていたから「これやってて無駄なんじゃないかな」と思ってたけど、色々やっていくと何となく「正しそうな方法」がわかっていくのは不思議な感覚だった。

ずっと続けていても、「2ヶ月前より下手になってる……」みたいに感じることがザラにあるので、下のグラフみたいな画力上達曲線(折れ線?)を早い段階で知ってなかったら挫折していたかもしれない。

あと、絵を描き始めてから、普段の何気ない生活の中で「あ、こんな風になってたんだ!」っていう発見がめちゃくちゃ多くなった。

服のシワもそうだし、影の付き方、体の関節の可動範囲……。

床に置いてあった消火器の反射光で真っ白な壁が少し赤くなってるのを見つけた時は「自分はこんなことすら気づかないで生きてきたのか」と少し衝撃を受けた。

こういう世の中にある色々なものの見え方が変わっただけでも、絵を描き始めて良かったなと思う。

去年アニメ化もされた「ブルーピリオド」というマンガで、美術に目覚めた主人公が「絵を描くようになって 見えてたはずの景色が今までよりはっきりと見えるようになった」って心の中で語るシーンがあるんだけど、「あー! ほんとそれ!」ってすごい共感した。

あと、絵を描く前まではなんとも思ってなかった人の絵が本当に片っ端から「この人上手っ!」って思えるようになった。それに自分が課題だと思っている部分(自分だと手とか脚)にいの一番に目が行くようになって、絵の見え方自体もだいぶ変わったんだなって思う。

何か取り留めがなくなったので、最後に特に参考になった動画や買って便利だった物を挙げて終わる。

パルミー

イラストはじめてコース

何もわかってないときはここからやると安定すると思う。

身体の描き方 練習講座

「中級者向け」になってるけど、絵の上達の仕方みたいのが頭に入るので最初の方に見た方がいいと思う。

はじめてのジェスチャードローイング ヌード編

全身描くのがダルい、描き方わからんと思っている時期にやると抵抗感がなくなる。毎日短時間でもやると良さそう。

YouTube

YouTubeで講座動画を上げてる人の多くはVTuber型だったりするので、最初はビックリするかもしれないけど、見てれば慣れる。

みにまるコミックさん

ほぼ毎日(月~土?)朝ドローイングをやってくれているので、一緒に描きながら習慣化するのに良かった。(ちょっと隙間時間があったらPCにペンタブつないで動画見ながら描いてる)

ディープブリザードさん

イラストを描く技術的なところをわかりやすく端的にまとめてくれているので、とても参考になる。
(何か調べたいことがあったら真っ先に探しにいくチャンネル)

さいとうなおきさん

「上達するまでの道筋」を示してくれるので、中長期的に効く動画が多い。(自分の練習方法に疑問を感じたときにここに行くと、「次にやるべきこと」が見える)

焼まゆるのお絵かきちゃんねるさん

バッドプラクティス(やらない方がいいこと)を直裁的に指摘してくれるので、「こんなもんでいいか」って妥協しちゃってるときに見ると刺激になる。
(成長が停滞している時に見ると効果あると思う)

アプリ

イージーポーザー

いわゆるデッサン人形アプリ。
いったんこれでポーズ作ってから参考にして絵を描くことが多い。
(って言うかこれがないと描けない)

CLIP STUDIOでもできるのかもしれないけど、慣れてるのでこっちで。

ただ、関節が変な方向にも曲げられるので、人体の構造は気にした方がいいかも。

その他

スマホ用の三脚

自分でポーズを取って写真を撮るために便利。
アオリとか描く時に「もっと大きいの買えば良かったな」って後悔している。(一回これで写真を撮って、それをもとにイージーポーザーの人形を作ることが多い)


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