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柳宗悦日記2020/10/08

柳宗悦を読み、抜書きし、記す。

『民藝四十年』
 「利休と私」p.286

利休とか遠州とかいうような歴史に著名な人たちと肩を比べて賞められて見ると、有難くもあり冥加に余るとも思われ、これに過ぎた名誉はないともいえようが、実は正直にいって、どうも有難迷惑なのである。
(中略)
私の仕事を価値付けようとして、全くの好意からそう評してくれたのではあるが、実は引き合いに出された利休や遠州を、常々そんなにも有難い仲間だとは思っていないのである。何か不遜の言い方をするようですまぬが、彼らぐらいの程度の仕事に止まってはならぬというのが、私の予々(かねがね)の希いなのである。

この一文に出会えただけでこの『民藝四十年』は自分の人生にとって大きな一冊になったといえる。

自分がかねがねより思っている不満、日本の伝統文化やものづくり文化への語り方、日本の美が脚色されるときの正しさここにあり!という空気感、そういったものを音もなく両断するような一太刀。

やはり柳こそ読むべきであるいう心に響いてきた知らせ、その予感は間違いではなかった。

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