見出し画像

[MITSUBISHI GALANT AMG]について

三菱より6代目(E30系)ギャランの追加として、1989年にマイナーチェンジの際に設定されたモデル。

画像1

出典:https://en.wheelsage.org/amg/mitsubishi_galant/pictures/ye338a/

1987年に6代目としてE30系が販売開始されたが、マイナーチェンジの際にAMGがチューンしたバージョンとして追加設定された。AMG(1999年にダイムラーに吸収される前の独立チューナー)とは、86年にデボネアに外装を中心に依頼した実績がすでにあり、今回ではEG、足廻り、外観、内装の全般でAMGによるチューンが施されている。

画像3

外装ではAMGがデザインした、専用バンパー、サイドエンド、リアスポイラー、15インチアルミホイールを装着し、ボディ色はAMGが提案した専用色が選べる。また、前後バンパーには大きく[AMG]のロゴが施されている。


画像4

EGは4気筒DOHC16バルブの4G63型であるが、VR-4で採用されたターボではなくNA仕様となっている。しかし、ポート経の拡大やピストンの変更、可変吸気管の採用、触媒排気抵抗の低減や、プレミアムガソリン仕様化等の変更が施されており、出力はノーマルの140馬力から170馬力まで引き上げられており、トルクバンドも広げられている。このエンジンを製造するにあたり、先ずベースEGをAMG本社に送り、そのEGをAMG側でチューンした『指標エンジン』を基に、三菱で再度組み直す方式が採られており、AMGが手を加えたといえる内容となっている。

ローラー式DOHCーEG

『指標エンジン』では、ロッカーアーム・バルブの軽量化(削り込み)、チタン合金リテーナーなどの採用により、慣性重量を約10%ほど軽減させて高回転時のカムシャフトへの追従性を上げている。このことにより、高回転域における連続使用での耐久性や、フリクションロスの低減による軽いふけ上がりが追及されている。


画像5

足回りでは、フロント部のブレーキを2Podキャリパーに変更、ステアリングのレスポンスの改善、ガス入りショックなどが変更されている。このことにより高速やコーナーでの操作性が向上されている。

ギャランでは、VR-4などの240馬力を発生させる2Lターボエンジン+フルタイム四駆も存在しているが、AMGではFFのNAを採用している。4WDによる重量増加を嫌い、EGは高回転域を改善、運転では操作時のレスポンスやブレーキを改善していることからも、パフォーマンスよりツアラーとしての機能を追求していたことが伺える。


画像6

内装では、AMGデザインによる革巻きハンドル、AMGロゴがヘッドレストに刻印されているエクセーヌ(スエード人造革)の専用シート、 本木目+エクセーヌのドアパネルなど上質感がアップされている。

バブルの絶頂期に販売されたギャランAMGの販売台数は、約1,400台と全くもって芳しくなかった。これは、当時のパワー主義の時代にNAのFFというこのクルマのキャラクターが国内では全く支持されなかったことが大きいであろう。しかし、AMGが目指した「気持ちよくふけあがり、当時のターボでは不可能であった広いトルクバンド・それらを感じられるEGや排気音」、「ロングドライブに適した運動性能(セダンとしてノーズダイブやFFとしての特性を消すのではなくいなす味付けや、軽くてクイックなハンドリング)」、「上質な空間」などを考えると、運転を楽しむことについては欧州に一日の長があることを思い知らされる。
このクルマを想うと、ツアラー車が少なく・支持されない日本が少し寂しくも感じる。(信号のないロングドライブを楽しめる環境が、国内では少ないこともあると思うが…)また現在では、メルセデスの傘下となり、マッスルなEGばかりを作っているAMGが、EGサウンドを大切していることが知れ、ツアラーとして日本にはない基準で考えられている事が伺える。チューンとは、馬力を上げるだけではないことを教えれくれる良い手本である。

「良いクルマとはどのようなものか?」の基準を、ツアラーとして考えさせられる価値あるクルマである。

現在では、DINデッキの位置からナビの視認性がヤバいとおもうが…

この記事が参加している募集

私の作品紹介

観ていただけているだけでも大変嬉しいです。 もし、いただけたら恐縮しながらもとっても感動します。 今後とも覗いていただけましたら有難いです。