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[HONDA S2000 Type-S]について

本田技研工業の創立50周年記念に企画され、1999~2009年の間に販売されたFRオープンスポーツ。ホンダのSシリーズに倣い後輪駆動で、エンジンをフロントミドシップに搭載している。Type-Sはモデル末期に設定された。最終モデルのAP2 110系より、専用のフロント、リアスポイラーを装着し、サスペンションはチューニングが施されている。インテリアは、専用色のシート及び内装を採用し、軽量化の為スペアタイヤを廃止している。

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外観のデザインはシンプルに纏められ、ボディの塗装は深みのある3層の特別コートで仕上げられている。モデル抹消までの10年間で、一度形式変更を受けていることは有名だが、実は年次改良も結構受けている。2000年は可変ギアレシオステアリング(VGS)を搭載し、専用にダンパー・スタビライザー・トルクセンシング式LSDにチューニングを施した「タイプV」グレードを追加設定。2003年はエクステリアに変更を加えるマイナーチェンジ。2005年の形式変更では、エンジンを2Lから2.2Lに変更し、スロットル制御を電制ワイヤー(DBW)にするなどを行っている。2007年からは、VSA(横滑り防止装置)を標準で搭載している。

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「エンジンより、シャシー性能が上回ること」。ホンダのスポーツカーに対する理念より、ボディは「ハイXボーンフレーム構造」採用している。これは、前後2本ずつのサイドメンバーを、フロアトンネルを介してX字状に水平に連結する構造であり、サイドシルを組み合わせることにより、高いボディ剛性と低重心を確保している。サスペンションには、4輪ダブルウイッシュボーンが採用されており、トランスミッションは新規開発された6MTのみとなる。

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エンジンは2.2L 直列4気筒 DOHC VTEC  F22C型。このEGは、従来搭載されていた2.0LのF20C型より、シリンダーのストロークを84.0mm ⇒ 90.7mmに延長し、許容回転数は9,000rpm ⇒ 8,000rpmに下げられている。このことにより、最高出力や(250PS ⇒ 242PSに低下)、最大出力・トルク発生回転数も下がっている。F20C型は、かなりの高回転特性であり、VTECが作動するまでの低~中回転域のトルクが少なく、高回転域が使用できる機会が少ない市街地では難があった。高回転域ではVTECらしく最高のレスポンスの加速感が味わえるが、普段使いではモッサリする。そのような評価を改善すべく、F22C型では許容回転数を犠牲にして、パワーバンド域を広げている。実際、DBWの効果と相まって、通常での使い勝手は幾ばくかは改善している。これは、北米市場からの要望によるものといわれている。

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室内空間は、オープンカーとしては結構ゆとりがある。内装は、全体的にシンプル、悪く例えると平凡に纏められおり、インパネ廻りの質感も質素となる。シートは専用に設計され、クラスとしては大きめに仕上げられているが、ホールド性は悪くない。ソフトトップは、電動開閉式となる。年次改良毎にオーディオ廻りに改良が加えられ、最終的には、4スピーカー+運転席/助手席のヘッドレスト後方にサテライトスピーカーを装備していた。メーターはデジタル表示を採用している。

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高い剛性、それに伴うサスペンションの鋭い働き、エンジンのレイアウトを工夫し、車体の前後重量バランスを50:50にすることや後輪駆動、低重心、超高回転特性のエンジンなどS2000は、オープンカーであることより、スポーツドライビングに重点が置かれている。気持ちよく走る為には、高回転域で操作することが求められ、鋭いレスポンスはシフトチェンジに常に気を遣う。ステアリングはクイックで、操作は常にタイト。まるでゴーカートのサイズだけをそのまま拡大したような操作性であった。限界域は高いが、越えると即スピンモードに突入するといわれていた。常に運転に集中を要するこのクルマは、スポーツドライビングを楽しむ観点では最高に楽しいが、オープンカーとしてのゆとりは皆無に等しかった。最低でも、隣に乗って楽しいクルマではなく、景色を観ながらゆっくり流すなどには不向きである。

スポーツカーの黄金時代である、90年代の最後に販売されたこのクルマは、EG・ミッション・ボディなどのほぼ全て専用で開発され、スポーツドライビングだけを追求されていた。現在のメーカーでは、先ず実現できないコンセプトであり、乗れば現在でも十二分に唯一無二で楽しめる。実際、人気はかなり高く20周年記念として現在でもアクセサリーが開発、販売されている。ボディサイズやデザインなどは、かなり好みであったが、個人的にはメータのデジタル表示だけが絶対的に気に入らなかった。

観ていただけているだけでも大変嬉しいです。 もし、いただけたら恐縮しながらもとっても感動します。 今後とも覗いていただけましたら有難いです。