僕は君の嘘を守る。

深夜の2時。泣き続けるきみを抱きしめた。
どうしたの?と聞いてもきみは何も言わずに首を横に振る。

ごめんね。実はとぼけてみせたけどぼくは知っているんだ。たぶん。
きみは昔愛していた彼のことを思い出して泣いているんだね。

なんで、なんで?と言いながら泣くきみを少しだけ強く抱きしめる。
ぼくは何も知らない。きみがなんで泣いているのかも知らなくていい。
だから早く泣き止んでほしいな。きみが泣いてるとぼくも悲しいよ。ごめんね、彼になれなくて。

あんまり言わないけど、ぼくはきみが大好きだよ。
きみが笑った顔とか。鍋を作ったら輪ゴムが入ってるところとか。
毎日仕事から帰るとおかえりって手紙を書いてくれたりとか。
いっしょにお風呂掃除したら真っ先にシャワーをかけてくるとことか。

こんなにも幸せの数が多いんだよ。夜だれかのことを想ってぼくの胸で泣くくらい、なんてことないよ。

きみがぼくに嘘をついてたって、なんてことないよ。
きみを守りたいと思うのはぼくの勝手でしょ。ぼくはきみが大好きだから。
だからきみの嘘だって守ってやるさ。

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