訛りと方言(英単語一つで人生の本質が学べる 41)

2020年5月31日 02:21

訛り　accent

方言　dialect

日本語には訛り、そして方言と呼ばれるものがある。

まずは方言から解説しよう。

方言とは、ある特定の地域だけで使用される言葉、発音などの言語体系のことを指す。簡単に言えば、「北九州弁」、「博多弁」、「琉球弁」、「東北弁」、「関西弁」、「京都弁」である。「〜弁」と表記されるものである。「好きっちゃ北九州」「なんでやねん！」など、地域独自の言葉遣いや特徴を指しているのだ。

一方、訛りとは、「地域特有の発音」のことで、方言を特徴づける要素の1つである。言語体系を指しているのではなくあくまで発音なので、地域独自のイントネーションやアクセントということになろうか。

つまり、訛りは方言に包含される一部であることが分かる。

この違いは意外と知っている人が少ないので、社会学に興味があるという人は覚えていて損はないだろう。

ともかく、同じ日本語においても地域によって差異があり、時たま同じ日本語話者でも理解が及ばない時もある。例えば「掃く」という表現は、地域によって「はく」と「はわく」という異なる表現がある。

そして、英語にもaccent、dialectが存在する。

アメリカの「アフリカ系アメリカ人(黒人)」はAAVEと呼ばれる人種独自の英語を用いる。AAVEは"African American Vernacular English" の略で、元々、アメリカに奴隷制があった時代に、アフリカ人の奴隷が奴隷主との英語から学習した際に発展したという説と、言語を異にする奴隷同士がコミュニケーションを図るために英語をもとにアフリカ系アメリカ人が発展させたという説がある。

今でもアフリカ系アメリカ人の間では多用されており、社会言語学の題材にされることもある。

英語の文法における特徴を簡単に述べておきたい。

１、標準英語でbe動詞が短縮出来る場合、be動詞が削除される。
She cute.（She is cute./She's cute.）

２、習慣を現すのにbe動詞の原形を用いる。
He be runnin'.（彼はいつも走っている。=He is always running.）

３、be動詞の否定形としてain'tを用いる（但し、ain't gotのain'tは、haven'tの意。don't haveがhaven't gotからの変化によるものであるため）。

４、一部の動詞の過去形の代わりに、過去分詞を使う（did→done，went→goneなど）。

５、黒人英語特有ではないが、いわゆる「三単現の-s」は存在せず、主語の人称によって動詞が変化することはない。

６、二重否定が否定の意で用いられる（彼女は一文無しだ。=She hasn't got any money.もしくはShe has no money.→She ain't got no money.）。

７、基礎動詞のgetを多用する。

８、副詞のoutを多用する。

日本人が習うアメリカ英語路は違い、様々な見慣れない特徴がある。特に、二重否定の表現が否定のまま用いられるのは特徴的である。学校教育で散々教えられてきた「二重否定→肯定」はAAVEの間では意味を持たず、単なる否定の意味となってしまうのだ。

このように、日本語と同じように英語にも方言や訛りがある。日本人はよく絶対的な正解を追い求めがちであるが、絶対なんてものはこの世にはない。あなたの常識は海外では通じないかもしれないし、あなたが長年かけて習った英語は、ある地域では全く伝わらないかもしれない。

大事なのは正しさではなく、相手を思いやってコミュニケーションを取ろうとする意思。言語がなくともジェスチャーやピクトグラムがあるこの世界にとって、常に常識に囚われる必要はない。「海外で英語が必要」だからといって、英語がぺらぺらになるまで練習する必要はない。その足でまずは行ってみるのだ。足で大地を感じ、空気で風土を感じる。それだけで得るものはあるだろう。標準語に囚われて一歩を踏み出さないよりも、どんな言語だって方言や訛りがあり地域ごとに異なることを知り、絶対正解主義から開放されるのだ。

豆知識

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↑引用元のホームページ

あまり人種を表に出したくないのだが、アフリカ系アメリカ人である-ダニエル・カルーヤ主演のホラーサスペンスである。「出て行け」を意味する"get out"であるが、主人公が妻の実家に行くとただならぬ不信な気配を感じ、直感的にこの家を出るべきだと痛感する。ここに"get out"の意味が込められているのだろう。そして、お分かりいただけただろうか。AAVEではよく"get"と"out"が会話で多用される。この題名は、実に練られたものだ。

おさらい

訛り　accent

方言　dialect

See you!!!!

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