「ベイトマンニュース」とりあえずやってみよう③

イギリスに来てからは、夫が以前から続けていた合気道の稽古にも一緒に行くようになっていました。実は私は日本の武道である合気道のことを全く知りませんでした。柔道とか剣道、空手は知ってるけど、合気道って何？という感じでしたね。私は特別武道に興味もなかったし、自分でやってみたいと思っていなかったんだけど、こっちに来てからはとにかく暇で、友達もいなくて寂しくて、夫が週3回も楽しそうに通う合気道とやらに、私も行って時間をつぶそう、と思ったのが始めた不純なきっかけです。いやぁ、実際に始めてみて後悔しましたね。何がおもしろくて汗だくになって床に転がったり、立ち上がったり、を繰り返すのか。私は腰が悪かったので、始めた頃は何度もギックリ腰を繰り返したし、全身の筋肉痛も半端なかったです。人と対面して稽古を繰り返すことが怖かったし、何度動きをやってみても、全然上達しなかったですね。それでも稽古を続けたのは、稽古を重ねるうちに少しずつ、ほんまに少しずつ動けるようになって、ちょっと面白くなってきたこと、合気道には試合がないので、勝ち負けとか、上手下手を考えないで稽古できたこと、週に3回、一緒に汗を流す稽古仲間と仲良くなったこと、があるのかな。稽古に真剣に取り組めば取り組むほど奥が深くて、姿勢や呼吸、宇宙や自然に通じる動きや考え方にも、どんどん惹かれていきました。

そんな風な暮らしを何年も続けてきたことで、50歳を迎える頃には、以前よりもずっとたくましく、本物の自信を持った日本人になっていったのかな、と今振り返れば思います。