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「ベイトマンニュース」スコットランド生活㊽スコットランドの初冬越え

私たちがスコットランドに移住してきたのは、昨年の1月の末のことです。
そう。引っ越してきたときは冬の真っ只中でした。それでも1月の終わりというのは、あちこちに春の気配が見え始め、気持ちが前向きになるいい時期なんです。(寒いけど)毎日少しずつ日が長くなってきている。(まだ寒いけど)スノードロップとかクロッカスなどの花があちこちに咲き始める。(ほんまにまだ寒いんやけど)農家が農地を耕し始める。
春がすぐそこだ!と嬉しくなる時期なんですね。

ということで昨年は半分だけスコットランドの冬を体験したわけです。まぁそれ以前に引っ越ししたてのあの頃は、季節を感じるような心の余裕もなかったんですけどね。笑。
ということで、今年は初めてまるまるスコットランドの冬越えを体験しました。
いや〜、想像以上にキツかったです。何がキツかったかというと「暗さ」なんですよ。10月末に冬時間に変わったとたん、とにかく暗い時間が長い。朝も夕方も暗くて、短い昼間時間までなんとなく薄暗い。
スコットランドの人たちがクリスマスや大晦日に、町中を電飾でキラキラに飾りつける気持ちがわかります。この暗さの中で毎日暮らしていると、気持ちまで鬱々してきますからね。
現実の話、スコットランドの大きな問題の一つにアルコールと薬物があります。鬱で精神的に病む人も多く、きっとそれは日照時間が極端に少なくなる、この長くて暗い冬に関係しているんやないか、と感じます。
実際スコットランドでは観光客が来ない冬の期間は仕事も少ないので、人々が家にこもってアルコールや薬物に溺れてしまう、という状況も理解できますね。
スコットランドで暮らす人たちの中には、長くて暗い冬を乗り越える方法として、冬の間に暖かくて日差しの強いポルトガルやスペインへのホリデーを計画する人もいるようです。少しの期間であってもこの暗い土地から離れて太陽の光を浴びる時間をとる。それは身体的にも精神的にも、かなり大きなメリットになるんじゃないかな、と思いますね。
ちなみに私自身は「寒さ」は大丈夫でした。イギリスと同様に、こっちは家の中がとにかく暖かいですからね。寒さはそれほど問題ではなかったです。

今年はまた異常に雨が多い冬でした。もうずーっと雨。特にようやく春の気配が見えてきた3月4月の雨の多さったら、ほんまにびっくりするほどでした。あちこちが洪水になり、多くのゴルフ場が閉鎖になったほどです。
風もものすごかったです。あまりの強風に、森の大木がバタバタ倒れるほどでした。

でも(日本も似たようなもんやと思うんですが)、スコットランドのような気候が厳しく自然災害が多い場所というのは、生命力というか、自然の力がたくましくなると思うんですよ。
厳しい寒さ、太陽時間が短い、強風などを耐え忍ぶ自然はほんまに強くなる。というか、厳しい自然に耐えられるものしか残らない。そうしてできあがる自然の風景は、息を呑むほど壮大で美しい。
逆に言うと、この自然の厳しさに耐えられないものや人は、どんどん病んでいくのだと思います。

先日私たちが雨の合間に庭に敷いた(植えた)芝生は、その後雨があんなに降り続いたのに、強風が吹きまくり、厳しい冬の寒さが戻ってきたのに、それに負けずに地面にしっかりと根を下ろしているようです。普通以上に更にしっかりと。生きるために。
昨年植えた桜もなんとか花を咲かせてくれました。一方で初花を楽しみにしていた藤の苗は、残念ながら冬越えすることができなかったようです。泣。

私たちもスコットランドの厳しい冬越えを体験し、ちょっとたくましくなったでしょうか。この地に根を張ることができているでしょうか。
スコットランドの厳しい冬の期間も、寒さに震えながら、そして強風に吹き飛ばされそうになりながらも夫婦でゴルフをしていた私たちは、この地で楽しく暮らしていける気がします。(アホやけど。笑。)
これからの数ヶ月は厳しい冬を越えることができたご褒美として、スコットランドの短く美しい夏を思いっきり楽しみたいと思います。そして来年の冬越えに備えて、今から冬の間の暖かい国でのホリデーを計画しようかなぁ、と思っています。笑。


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