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ある日突然、統合失調症になった友人の話

こんにちは、バスタニです。

私は友達が少ないのですが、それでも相手が困ったときにお金を貸せるぐらい心を許せる友達がいます。

2年前、そのうちの一人が統合失調症になってしまいました。

なんの前触れもなく、突然にです。

今回は、そんな友達の話をしようと思います。

付かず離れずの心地良い関係

その友達と最初に出会ったのは職場でした。

中途採用の同期として仲良くなり、その後お互い転職をしてからも定期的に会っていました。

彼女はルックスやスタイルが良いというわけではなかったけど、時代の最先端を生きているような人で、会う度にいろいろなことを教えてくれました。

私がフリーランスになったのも、FXや仮想通貨に興味を持ったのも、だいたい彼女の影響です。

彼女は私と同じように長時間人と一緒にいると疲れるタイプだったので、会うのは数ヶ月に1回、会ったときは出かけたり買い物をするわけではなく、ひたすら話をするというパターン。

そのほかにも、

・通勤の意味がわからないので退職
・絶対に無理をしない
・どんな時も自分の気持ちを最優先する
・自分への投資を惜しまない

などなど、一般的に見るとちょっと変わった人なのかもしれませんが、私の心の中をそのまま代弁してくれているような人です。

私はいつも彼女の話に圧倒されていて、すごいな、彼女みたいな生き方も好きだな、と思っていました。

彼女が家にやって来た

ある日の昼過ぎ、家で仕事をしているとインターホンが鳴りました。

私は「また宗教の勧誘か」と思って無視していたのですが、その後彼女からメールが届いたんです。

さっき家に行ったんだけと居なかったみたいだから、また今後ね!

今まで約束なしで会いに来ることなんてなかったので、どうしたんだろうととりあえず電話をしましたが出ませんでした。

そこでちょっと嫌な予感がしたんです。

仕事を中断して急いで彼女の家に行ってみました。

インターホンを鳴らすと彼女が出てきてびっくり。

声はガラガラで髪の毛は白髪だらけ、さらに変な痩せ方をしていたのです。

この家に何かいる…

一体何があったのかと聞いてみると、「この家、何かいるんだよ…」と。

私は思わずギョッとしましたが、その後も話を聞くと幻聴であることがわかりました。

最初は壁をドンドン叩く音や、パチパチという電子音のような音が聞こえるようになったので、不動産会社へ連絡してみたのだそう。

それでも音は聞こえて、そのうち人の声が話しかけてくるようになって、これは物理的な問題ではないと気づいたんですね。

そのおかげで彼女は極度のストレスを抱え、音に対して「誰だ」「いい加減にやめてくれ」と毎日泣き叫んでいました。

そのおかげで仕事ができる状態ではなくなり、近所からは変人扱いされ、不動産会社から退去願いを出されてしまったのです。

医師に統合失調症と診断された彼女は国から援助を受けることもできたのですが、「病院生活は嫌だ」と新たな住処を探しに沖縄へ旅立ちました。

少ない所持金とバックパック1つで。

沖縄での再会

しばらくうちで暮らせばと提案したのですが、うちには旦那がいたので気を使ったのでしょう。

退去時、彼女は借金もしていたのでクレジットカードや携帯電話などもすべて持てなくなっていました。

そんな状態で宛もなく沖縄に行くなんて、やっぱりすごいなと思います。

現在は国の支援を受けつつ、サポート団体と提携しているアパートで暮らしています。

Go To キャンペーンの時に会いに行ったのですが、幻聴は以前に増してひどくなっていると言っていました。

一緒に食事をしたり、レンタカーを借りて観光したりしたのですが、場所によっては体調が悪くなってしまい、途中で帰ることもありました。

同じアパートの住人やオーナーさん、サポートの人といつでも話せる環境だったので安心しました。

その後、私が帰ってからもしばらく連絡を取り合っていたのですが、いつからか電話に出なくなり、かけ直しもしてこなくなったんです。

何かあったのか、それとも連絡したくないだけなのか…。

私は後者であることを信じ、今も彼女からの連絡を待っています。

世間では幻聴が聞こえないのが普通ですが、彼女を見ていると「聞こえないのがおかしいのでは?」と思うことがあります。

本当は聞こえるはずの音や声が、多くの人に聞こえないだけなのでは…。

なんてね。



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