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青色のノスタルジア9

「はぁー何とか助かった」
 ここはどこか分からない。
 東京?何となくそんな感じがした。
 裏の路地と言うこともわかる。
 安堵と共に息を呑んだ。
 目の前にはバケモノ。この世のものとは思えないほどの外見と気迫。図体は2メートルをゆうに超える。人の姿を成しているものの頭部からはツノが2本、目をギラギラさせ充血したような目。裂けた口と鋭い八重歯。黒と赤の服を身に纏っている。稲荷は膝を打つ。
「こいつは」
角に見覚えがった。
(幼い頃の記憶に残っている。我が家はいつも母と弟と3人家族。母親は子供2人を女手一つで育て上げてくれた。弟は1歳差でよく遊んでいた。だが、3年前行方不明になり、生死も不明だ。母は父の話を一度もしてくれなかった。しない理由ははっきりとは分からなかった。でも1つだけ父に関する遺品の様なものは家で見かけた事がある。
それがあの赤いツノだ。)
思い出しただけでも目頭が熱くなってくる。

「悪魔だ」

 急に口から出た言葉は目の前の悪魔には届いてはいなかった。
 ひたすらにこちらへ向かってくる。目の前にいると言うのに。
 稲荷は息を飲み、脱帽する。
 しかし、こちらの発言は聞いていなかったのか、反応する様子がない。
 てっきり殺されるのかと思っていた。
悪魔は
「はぁ」っと
面倒臭そうに
ため息を漏らす。

 悪魔の視点からでは自分は1人。
そう、石田稲荷の姿は見えていない。
胸を撫で下ろしたのもつかの間、悪魔は両手を横に大きく広げ、腰を入れて、全身に力を込める。
 赤く、丸いベールに包まれ、高い効果音と共に爆発し出す。
 ここを吹き飛ばす気だ。
 この近くにはたくさんの人が住んでいる。
 被害は相当なものになるだろう。
 ものすごい轟音とともに半径数十メートルにわたって荒地となった。

「どういうことだ」

 1番近くにいたはずなのに稲荷は爆発を全く受けていない。稲荷は首をひねる。

「やっぱりこれは夢かなんかなのか」

 すると、土煙の中から1人の男が見える。

 男が言う。
「やっと見つけた」
 白いタンクトップに筋骨隆々な肉体。
とても美しい体型をしている。

「貴様が使い手か」

「使い手?何のことか知らんけど、お前を倒しに来た。」
 コイツが恐らく街を破壊した張本人
生かしておくはけにはいかない。
 見た目もやべー
 これまで出会った相手の中で1番強えーかもな

「この惑星には使い手が数人いると聞いている、それともただのアホか?」

「さっさとベルゼブブ様に献上しなくては、捕まってもらうぞ人間」

「やれるもんならやってみやがれ」

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