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【はじめての国会傍聴】令和5年3月15日参議院本会議傍聴記(ガーシー参議院議員に対する除名処分の採決)

(注)本記事は、ガーシー(本名:東谷義和)氏を批判・擁護する目的で執筆していません。その点をご留意の上、読んでいただけると幸いです。

第1 初投稿のあいさつ

 はじめまして。Bassyです。
 私は、裁判傍聴人として、いろいろな事件の傍聴してきました。
 私のnoteでは、裁判傍聴記や官公庁訪問記などを執筆していきたいと思います。
 本記事のように長文かつ稚拙な文章で読みづらいかもしれませんが、読みやすい記事を作れるように頑張りますので、よろしくお願いします。

(注)noteに記載する内容は、あくまで私の経験やそれを踏まえた私見であり、私の所属組織・親族・友人等は一切関係ありません。

第2 そうだ、国会傍聴しよう

1 国会傍聴の動機

 令和5年3月10日、裁判官弾劾裁判所から1通のメールが届きました。どうやら、3月15日に開廷される岡口基一裁判官(職務停止中)に対する弾劾裁判第4回公判期日の傍聴券抽選に当選したとのことです。

 そして、報道によると、15日午前に参議院本会議でガーシー(本名:東谷義和)参議院議員に対する「除名」の懲罰の採決が行われる可能性が高いとのことです。

 私は、1度は国会傍聴したいなと思っており、しかも、72年ぶりの国会議員除名の瞬間を生で見れるのは貴重な機会だと思い、「せっかくだし、弾劾裁判の前に参議院本会議傍聴しよう!」と思い立ちました。

 Bassy、人生初の国会傍聴です。

2 国会傍聴の方法

⑴国会はいつ開かれている?

 私達が比較的自由に傍聴できる「本会議」ですが、原則として、衆議院は会期中の火曜日・木曜日・金曜日の13時から、参議院は会期中の月曜日・水曜日・金曜日の10時から開催されるようです。例外的に、他の曜日や土日に行われることもあるみたいです。
 もっとも、上記曜日・時間に国会に行けば必ず本会議が開かれるわけではありません。事前に、各議院のホームページを確認(おそらく前日にならないとスケジュール公開されません。)したり、報道や議員さんのSNS等で確認したりすることをおすすめします。

⑵国会傍聴するためには?

国会議事堂及びその周辺のおおまかな地図(筆者作成)

【本会議の場合】
 本会議の場合、国会議事堂の裏にある各議院の別館の傍聴受付に行けば、先着順で受付してくれます。参議院HPによると、一般傍聴の場合、本会議開始時刻の30分前から傍聴券交付を始めるみたいです。
 また、各議院議員の紹介により傍聴できる場合もあるみたいです。

【委員会の場合】
 委員会の傍聴は、衆議院・参議院共に、傍聴する委員会の委員長の許可がなければ、傍聴することができません(国会法第52条第1項)。

国会法 第52条第1項
 委員会は、議員の外傍聴を許さない。但し、報道の任務にあたる者その他の者で委員長の許可を得たものについては、この限りでない。

e-Gov 法令検索「国会法」

 衆議院・参議院のHPによると、委員長の許可を得るためには、委員会が行われる議院に所属する議員の紹介が必要とのことです。

第3 ガーシー参議院議員について

 さて、傍聴記に入る前に、ガーシー議員の懲罰事犯について簡単に説明します。(※私は、ガーシー議員についてそこまで関心が無いので、もしかしたら間違った情報があるかもしれません。その場合は、ご指摘いただけると幸いです。)

ガーシー参議院議員の初当選から陳謝拒否までの簡単なフローチャート(筆者作成)

1 参議院議員選挙当選

 ガーシー議員は、令和4年7月10日執行の第26回参議院議員通常選挙に立候補し、「参議院に登院せず、海外で政治活動を行う」旨の公約を掲げ、当選しました。ガーシー議員によると、帰国したら不当な身体拘束を受ける可能性があるとのことです(ガーシー議員に対する被疑事実などは割愛)。

2 不登院

 ガーシー議員は、参議院に海外渡航届を数回提出しましたが、海外渡航許可が下りませんでした。なお、ガーシー議員は、いわゆる「Colabo問題」や「NHK郵便法違反」についての質問主意書を提出しており、全く議員活動をしていなかったわけではないとのことです(浜田聡参議院議員のブログによると、質問主意書の提出自体は招状発出前に済ませていましたが、受理に結構時間がかかったみたいです)。
 そして、令和5年1月30日、参議院議長は、ガーシー議員に対して、国会法第124条に基づく「招状」(簡単に言うと「登院の催告」)を発出しました。

国会法 第124条
 議員が正当な理由がなくて召集日から七日以内に召集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議又は委員会に欠席したため、若しくは請暇の期限を過ぎたため、議長が、特に招状を発し、その招状を受け取つた日から七日以内に、なお、故なく出席しない者は、議長が、これを懲罰委員会に付する。

e-Gov 法令検索「国会法」

 しかし、ガーシー議員は、参議院議長からの招状受領から法定期間内(7日以内)に登院しませんでした。そのため、参議院議長は、これを懲罰事犯として、参議院懲罰委員会に付託しました。

3 1回目の懲罰「公開議場における陳謝」

 令和5年2月21日、参議院懲罰委員会は、参議院議長から付託されたガーシー議員の懲罰事犯について、「公開議場における陳謝」(国会法第122条第2号)を科すべきであることを、全会一致で決定ました。なお、「公開議場における陳謝」は、4つある国会議員に対する懲罰の中で、2番目に軽い懲罰です。

国会法 第122条
 懲罰は、左の通りとする。
   公開議場における戒告
   公開議場における陳謝
   一定期間の登院停止
   除名

e-Gov 法令検索「国会法」

 そして翌22日、参議院議長は、参議院本会議の議決に基づき、陳謝の懲罰を宣告し、後日、陳謝を行う本会議の日程を3月8日に指定しました。

4 公開議場における陳謝を拒否

 2月27日、陳謝の処分が決定したガーシー議員は、参議院に対して、「本会議に出席して、院議に従い陳謝する」という旨の文書を提出しました。
 しかし、ガーシー議員は、陳謝前日の3月7日に、一転して「帰国しない」、つまり、「公開議場における陳謝に応じない」旨を表明した。なお、ガーシー議員は、懲罰委員会起草の陳謝文を朗読する動画(立花孝志氏のYouTubeチャンネルに投稿された分は削除されたようなので、SankeiNews投稿分のリンクを掲載)を参議院に提出するも、受理されませんでした。
 そのため、参議院議長は、翌8日の本会議において、「院議に従って陳謝しなかったことは、院内の秩序を乱す懲罰事犯である」とし、これを懲罰委員会に付託しました。

5 2回目の懲罰「除名」か…?

 3月14日、懲罰委員会は、全会一致で、ガーシー議員を「除名」(国会法第122条第4号)すべきと決定しました。ガーシー議員は、翌15日の参議院本会議において、出席議員の3分の2以上の賛成により除名されることになります(日本国憲法第58条第2項ただし書き)

日本国憲法 第58条2項
 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

e-Gov 法令検索「日本国憲法」

 なお、現行憲法下におけるこれまでの国会議員除名事例は2件であり、うち1件は、ガーシー議員の件と同様、「公開議場における陳謝を拒否したこと等を理由とする除名」です。

第4 人生初の国会傍聴(傍聴記)

1 参議院別館へ(傍聴受付)

参議院別館の出入口

 はじめに傍聴受付です。
 この日(3月15日)の本会議は、ガーシー参議院議員に対する除名処分の採決が予定されていることから、傍聴希望者が多くなると予想していました。そのため、私は、7時にホテルをチェックアウトし、参議院別館に向かいました。
 7時20分頃に到着すると、建物が閉まっていました。近くにいた警察官を通じて衛視に聞いてみたところ、「朝8時に開きますので、それまでお待ちください。」とのことでした(ご多忙のところ対応していただき、ありがとうございました)。

 近くのカフェで朝食を済まし、8時10分頃に参議院別館に到着すると、建物が開いていました。中に入ると、警備員(もしかしたら衛視)に「どのような用件ですか?」と尋ねられました。
 「本日10時からの本会議の傍聴です。」と伝えると、警備員は「9時30分から傍聴券交付を始めるので、それまでベンチに座って待っていてください。」、「本日の本会議は、傍聴希望者が多くなるかもしれません。その場合は、整理券番号1番で受付します。」と丁寧に案内してくださいました。どうやら私が一番乗りのようです。

 ベンチで待機して約1時間が経過した9時10分頃、傍聴希望者が私含め5~6人くらいになったところで、「傍聴整理券」の交付がありました。傍聴整理券は、名簿に氏名(カタカナフルネーム)・性別・年齢を記入し、警備員からの体調チェックが行われた後に交付されました。

傍聴整理券(参議院別館の敷地外で撮影)

 私の傍聴整理券番号は1番。この番号が何となく嬉しかったので、記念撮影しました笑(参議院別館内は写真撮影禁止だったので、外に出て撮影しました。)。

 9時30分、傍聴受付がはじまりました。一番乗りで窓口に行くと、傍聴の申請用紙が手渡され、「また番号でお呼びします。それまでに申込書を記入し、お名前がわかるものを用意してください。」と言われました。
 申請用紙の必要事項の記入が終わった頃、「1番の方は窓口に来てください」とアナウンスがありました。窓口で申請用紙を提出し、運転免許証での本人確認が終わると、「次は隣の窓口から名前でお呼びしますので、少しお待ちください」と言われました(待つの多いなと思いました笑)。

 1分程たった頃、「(私の姓)さん~」と声がかかりました。窓口に行くと、職員の方から「傍聴券に必要事項を記入し、建物を出て左に行ったところの通用門で傍聴券を提示してください。また、傍聴券裏面の注意事項はしっかり読んでください。」と指示を受けました

参議院傍聴券(傍聴券の右側は後で回収)
参議院傍聴券裏面の注意事項(裏面にこれ以外の記載はなし)

2 所持品検査から本会議場前まで

参議院西側通用門(見学や傍聴の時は、ここから入る)

 通用門で傍聴券を提示すると、はじめに所持品検査を受け、手荷物をロッカーに預けました。
 参議院に持ち込めるものは、筆記用具や腕時計などの必要最低限の物に限られ、スマホや飲食物を持ち込むことはできません(ミンティアを持ち込もうとすると止められました😅)。また、ノートを持ち込もうとした際、衛視から「中に印刷物が挟まってないか確認してもいいですか?印刷物も持ち込めないので」と聞かれる等、手荷物にはかなり厳しかったです(※ノートに書いている内容まではチェックされていません。)。
 これらが終わると、所持品検査をクリアしたことを証する「赤いリボン」が手渡されました。

 その後、衛視の案内に従い、中庭を通って国会議事堂内に入りました。国会内を少し歩いたところのカウンターで、傍聴券への検印と、住所等を記入している券の右側の回収がなされました(赤いリボンもここで回収)。これが済むと、2回ほどエレベータに乗って上に行き、本会議場前の傍聴人待合室に着きました。

 傍聴人待合室には、黒色のソファがいくつか設置されていて、すぐ近くに自販機やお手洗いがありました。また、待合室には、9人ほどの衛視が警備などにあたっており、かなり厳重な警備でした。

 はじめに待合室に到着したのは私でしたが、後からぞろぞろと他の傍聴人がやってきました(最終的には2~30人くらい?)。見た感じ30代~60代の人が多かったですが、大学生っぽい人や、制服を着た中学生or高校生もいました。

3 本会議入場

 9時55分、衛視の指示で本会議場の扉に1列で並ばされました。その後、目覚まし時計のようなベルが鳴り響き、本会議場の扉が開かれ、順に入場しました。

 私は、傍聴人の中で最前列の席に座りました。目の前には衛視が常時立って警備していました(ちょっと怖かったです…笑)。なお、見た感じ、傍聴席は満席ではなかったです。

 傍聴人の入場と同時に、参議院議員も本会議場に入ってきました。テレビなどで見たことのある議員さんもいたので、ちょっとテンション上がりました。なお、おそらく国務大臣は出席していませんでした。

 尾辻参議院議長が入場してきたときは、出席議員による拍手がありました。私もつられて拍手しかけましたが、「拍手禁止」という傍聴ルールを思い出し、ギリギリのところで思いとどまりました(前に立っていた衛視に睨まれた気がしました)。

4 開会(傍聴)

↓本会議の中継のアーカイブ動画はこちら↓


⑴開会・懲罰委員長報告・ガーシー議員側の弁明

 10時00分、尾辻参議院議長がガベル(木槌)を叩き、本会議開会と議題「議員ガーシー君懲罰事犯の件」について審議する旨を宣言しました。なお、参議院規則第240条本文によると、ガーシー議員は、この会議に出席することができないみたいです(そもそも海外にいるので出席のしようがありませんが😅)

参議院規則 第240条
 議員は、自己の懲罰事犯の会議及び委員会に出席することができない。但し、議長又は委員長の許可を得て、自ら弁明し、又は他の議員をして代つて弁明させることができる。

参議院HP 参議院のあらまし「参議院関係法規等 参議院規則」

 はじめに、参議院懲罰委員会の鈴木宗男委員長から、本件懲罰事犯に関する懲罰委員会における審査の経過及び結果について、演壇での報告がありました(懲罰委員会での審査の一部始終の中継のアーカイブ動画はこちら)。
 内容は割愛しますが、鈴木委員長の声が高く力強く、少し離れた傍聴席にもその迫力が伝わってきました。また、鈴木委員長の報告中、「そうだ!」などの賛同の声がチラホラ飛んでおり、登降壇時は拍手が沸き上がりました。

 次に、ガーシー議員に代わって、ガーシー議員と同じNHK党(現:政治家女子48党)の浜田聡参議院議員による弁明がありました。こちらの内容は、懲罰委員会での弁明と大体同じでした。
 浜田議員による弁明は、早口で淡々としていましたが、憲法上の根拠を挙げながら除名の違憲性を訴えていて、理知的だなと思いました。もっとも、「除名となったら国家賠償請求訴訟を提起する」という旨の発言の部分で、「議院の自律権的に厳しいのでは」と思いました(参考判例:いわゆる「警察法改正事件」)

警察法改正事件 最高裁大法廷判決 判旨(一部抜粋)
「・・・両院において議決を経たものとされ適法な手続によつて公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重すべく同法制定の議事手続に関する所論のような事実を審理してその有効無効を判断すべきでない。」

裁判所HP 最高裁大法廷昭和37年3月7日判決民集16巻3号445頁

 なお、浜田議員が登降壇する時、拍手は一切無く、弁明中は一部議員による野次や嘲笑が聞こえてきました。

⑵表決

 浜田議員による弁明が終わると、いよいよ表決が始まりました。
 参議院における表決の方法は、次のとおりです。

① 起立採決(参議院規則第137条)
 議題に賛成する議員を起立させ、着席議員(議題に反対している議員)との数を比べて、議題の可否を判断する方法

② 記名投票(参議院規則第138条~第140条)
 議題に賛成する議員は「白色票」、議題に反対する議員は「青色票」を投票する方法

③ 押しボタン式投票(参議院規則第140条の2~第140条の3)
 各議員の議席にある投票ボタン(賛成or反対)を押して投票する方法
 この方法は、参議院のみで採用されており、衆議院では採用されていない

④ 異議の有無(参議院規則第143条本文)
 議長が、議員に対して、異議があるか否かを問う方法

参議院HP 参議院のあらまし [国会キーワード 押しボタン式投票] [参議院関係法規等 参議院規則]

 ガーシー議員に対する陳謝処分の採決を行った時の表決方法は、「起立採決」でした。しかし、今回の表決方法は、除名の重大性に鑑みてか、「記名投票」となりました。

 投票に伴う議場閉鎖の後、参事による氏名点呼が始まりました。「(議員のフルネーム)く~ん」と呼ばれた議員から順に、「白色票(賛成票)」又は「青色票(反対票)」を持って演壇に上がり、参事に票を手渡して投票する感じでした。投票終了まで体感で十数分くらいかかったかなと思います。 
 なお、投票の際、多くの議員が、投票前後に議長席等に向かって一礼していました。

⑶集計

 投票が終了すると、議場解鎖の後、参事による票集計が行われました。集計は3人がかりで行われ、数分かかりました。その間、本会議場は、静寂に包まれており、また、筆舌し難い謎の緊張感が走っていました。単なる傍聴人である私自身、何故か心臓の鼓動が早まっているのを感じました。

⑷投票結果報告・懲罰宣告

 ようやく参議院議長が、「投票の結果を報告いたします」と口を開きました。投票結果は次のとおりでした。

投票総数
  236票
賛成票数
  235票
反対票数
    1票

※本件において除名要件(出席議員の3分の2以上)を満たす票数は158票以上

 傍聴席から見える投票箱の様子から、賛成票が3分の2以上であることは確実だと思っていましたが、反対が1票であったことには、少し驚きました(参議院HP上の投票結果によると、反対票を投じた議員は、ガーシー議員の代理で弁明を行った浜田議員のみ)。

 参議院議長は、投票結果(可決)に基づき、若干語気を強めて「国会法第122条第4号の規定により、ガーシー君を除名する!」と懲罰宣告しました。
 なお、除名の瞬間、一部議員による「よーし!」という声が、耳に入ってきました。

⑸散会・退場

 参議院議長は、懲罰宣告が終わると、散会を宣言しました。
 参議院議長が本会議場から退場した後、行きと同じルートで国会外に向かいました。

第5 傍聴を終えて(感想など)

1 はじめて国会を傍聴した感想

 今回はじめて国会を傍聴しましたが、今まで持っていた国会に対する印象とのギャップがあり、面白かったです。
 今回傍聴した本会議は、野次などはあったものの、思ったより淡々と議事手続を進行している印象でした。よくニュース等で流れる国会での「苛烈な論争」「議場での乱闘」などを観てきた身としては、この点はすごくギャップを感じました。
 そういう意味では、国会の傍聴は、「普段は法規に従い粛々と手続を進めていても、時に人間らしさが垣間見れる」という裁判の傍聴とは、ちょっと違った面白さがあるなと思いました。

 もっとも、傍聴ルール等は裁判傍聴以上に厳しく、議員が一斉に拍手した時に反射的に拍手しないように気を付けるのが大変でした笑

2 ガーシー議員除名採決を傍聴した感想

 あくまで感想ですが、ガーシー議員に対する一連の懲罰手続は、「出る杭は打たれる」によって進められた感は否めませんが、選挙結果や除名処分の重大性等を鑑みてか、思ったより慎重に進められていたなと思いました。

 また、ガーシー議員の除名に賛同するか否かは別として、過去に陳謝を拒んで除名された例(衆議院)があったことから、ガーシー議員に対する除名処分も、過去の除名ケースとの均衡がとれていないわけではないと思います。

 もっとも、一部議員が、浜田議員が発言している時に野次・嘲笑をとばしたことや、除名が決まった瞬間「よーし!」と喜びの声をあげていたことは、少なくとも良い気分にはなれなかったです。そういう意味では、国会内に「ガーシー憎し」の空気があったことは否定できないかなと思いました。

(そもそも、自分自身、野次が苦手というのもありますが…😅)

3 除名されたガーシー氏の今後について(余談)

 (ここからは、ガーシー議員のことを「ガーシー氏」と言います。)
 除名処分の翌日、警視庁は、ガーシー議員が著名人に対して常習的に脅迫したこと等の被疑事実により、裁判官に逮捕状を請求し、裁判官から逮捕状の発付を受けました。
 また、数日後には、外務大臣が、警視庁からの通報を受けて、ガーシー議員に対して、旅券返納命令(パスポート返納命令)を発出しました。

旅券法 第19条第1項第2号
 外務大臣又は領事官は、次に掲げる場合において、旅券を返納させる必要があると認めるときは、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。
  一般旅券の名義人が、当該一般旅券の交付の後に、第十三条第一項各号のいずれかに該当するに至つた場合

旅券法 第13条第1項第2号
 外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。
  死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者

e-Gov法令検索「旅券法」

 捜査機関(警察)は、今後、ガーシー氏の逮捕に向けて全力を尽くすと考えられます。この記事でガーシー氏に対する被疑事実に対する私見を記載しませんが、いずれにせよ、法令等を遵守し適正な刑事手続が行われることを願います。

 ところで、ガーシー氏は、浜田議員による弁明の中で「再び選挙に立候補する」旨を表明していました。参議院議員を除名されたガーシー氏は、再び参議院議員になることはできるのか?
 この点について、国会法第123条には、次のとおり規定しています。

国会法 第123条
 両議院は、除名された議員で再び当選した者を拒むことができない。

e-Gov法令検索「国会法」

 つまり、もしガーシー氏が参議院議員選挙で再び当選すれば、参議院議員になれます。もちろん、公職選挙法に規定する被選挙権の欠格事由に該当しないことや、当選できるだけの票を獲得することができればの話ですが。

第6 おわりに

 以上が、ガーシー議員除名採決の傍聴記です(長くなってしまいすいません)。

 72年ぶりに国会議員が除名される瞬間に立ち会えたことは、本当に貴重な経験でした。次は衆議院の傍聴に行ってみたいですね笑

 最後に、国会前で記念撮影したので、その写真を載せて終わりにしたいと思います。

傍聴記念にパシャリ

※記載内容に誤り等があれば、ご指摘いただけると幸いです。


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