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500年前の釣り本

「釣魚論」という、つり人社から出ている本を読みました。
ジュリアナ・バーナーズというイギリス人(しかも女性らしい)によって書かれたそうで、初版は1496年との事。イギリス最古の釣り本と呼ばれているそうです。かの有名なアイザック・ウォルトンによる「釣魚大全」の初版が1653年だそうなので、それよりはるかに昔に書かれています。ちなみに日本最古の釣り本は「何羨録」で、江戸時代(1723年)に書かれたと言われています。

いやー、面白かった。
釣りはメンタルにもフィジカルにも最高だ!という釣り賛美に始まり、ロッドやラインといった道具の作り方、魚種別の狙い方など、今と基本は何も変わらないんだなというのが第一印象でした。その中で何よりもギャップを感じたのは、道具についてです。考えてみれば当たり前のような気もしますが、当時は釣り道具なんて売ってないんですよね。だから全部自作。もちろん釣り針も作るんですが「とりわけ大もの釣りには、靴屋の使うクギが最適」とか書いてあってくくくと笑っちゃいました。

釣りの最中に注意する事も、現代で言われている事と全く変わりません「釣りにおける第一の要点は、つねに岸から離れて魚に見つからないようにすることです。(中略)それからまた、できるだけ水面に自分の影をおとさないように気をつけましょう。」ね、一緒でしょ。こういった釣りの所作についての文章を丁寧に書いているあたり、著者のジュリアナ・バーナーズがもし現代に現れたとしてもめちゃくちゃ釣りウマなんだろうなぁと思わされました。正直、釣りの情報としてあまりに網羅されているので、本当に一人の釣人が書いたのかなと疑問が湧いてしまうほどです(もちろん釣り仲間は居たと思いますが、知識量がウィークエンドアングラーのそれではない)。

結びの言葉も最高でした。
釣り禁止の場所では釣りしないでね。この本に書いてある事を自分の金儲けのために使っちゃだめだよ。たくさん釣れば良いってもんじゃない、足るを知ろう。あらゆる方法で、できるだけ魚を増やすようにしましょうね。
意訳するとこんな事が書いてありました。
500年前の時点で、魚が居なくなることや、魚釣りが生むトラブルを危惧した発信をしてたんですね。釣りへの造詣の深さと、魚への配慮。著者のバランス感が私は好きでした。

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