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ファシリテーター体験プログラム(こえび隊)

この記事では、ベネッセアートサイト直島が学校や団体、企業の様々な目的やテーマに応じて実施した、2022年度の教育プログラムについてお伝えします。

プログラム概要

瀬戸芸オフィシャルツアーのガイドなどを担当されている方々が対象のため、対話型鑑賞の体験とファシリテーションスキル習得に焦点を当てて設計した。

■開催日時
2022年7月22日
■参加者
9名※全員リピーター
■対象
こえび隊
■問い合わせ日
2022年6月29日
■認知経路
福武財団との打ち合わせにて提案

カードワーク

スケジュール

12:00 ベネッセハウスミュージアム
    (対話型鑑賞、カードワーク)
13:00 ファシリテーター養成講座
14:00 ファシリテーター実践
15:00 ラップアップ
16:00 終了

特徴

参加者の声

・同じ作品でも印象が違うのが面白い。アート鑑賞から性格や人の特徴も分かるのは発見だった。普段英会話講師をしているのでそこでも活用できそう。

・最初に2分間鑑賞するところだけでも、普段いかに見ていなかったか実感した。日常にもその姿勢を取り入れていきたい。

・流木の作品から自分を探すワークでは、身ぐるみはがされたような気分。現代アートが分からないというゲストによく出合うので、鑑賞の入口として対話型鑑賞は機能すると思う。

・ファシリテーターがどう声をかけるかが重要。見方を提示したり、同じ場所からでも見方がガラッと変わる。ツアーではゲストから「どう見たら良いかわからない」という空気を感じることがあり、なかなか「正解はない」ということが言葉や説明では伝わらない。簡単な問いかけだけでも取り入れて体験してもらえるようにしたい。

・自分を見つめ直すほどではないかもしれないが、ファシリテーターが自分の良い面も悪い面も認めてくれるような経験だった。自己肯定感に繋がると思う。

・普段のガイドでもいきなり説明するのではなく、まずは鑑賞する時間をとろうと思った。

・対話型鑑賞を経験すると、細部まで見れるようになる。普段話さないことを話すきっかけになるし、作品を介してふと出てきた言葉から相手を知れる手法だと思った。ファシリテーターをしてみて、参加者から思いもよらない考えがでてきて自分も気づきを得ることができた。参加者から視点をもらう感じ。

・とても楽しかった。どうして楽しかったのか考えたら、いままで現代アートは分からないと思って答えや背景にあるメッセージを知ろうとしていて「自分は間違っているのかも」と思っていたのに対し、今日は間違ったという意識が全くない鑑賞ができたからだと思った。肯定してもらえることで、心の中にある壁を取り去ってもらえたような感覚。自分はどこかに解を求める意識が高かったのだと気づいた。

・ファシリテーターをしてみると聞く力が鍛えられ、とっさに質問を考える訓練にもなるので脳が活性化した。


・瀬戸芸ではツアー以外のアプローチも検討したいが音声ガイドは合わないし、時間も限られている中、人数が多いと対話型鑑賞は難しいが、外部から新しいノウハウを入れないとツアーやプログラムも育たないし、自分たちがまずは体験してみないと学びにならないと思うので良い機会だった。

参加者からの評価

■満足度

5/5点

■再利用意向

4.5/5点

・じっくりと作品を見る方法を知ることができただけでなく、自身の思考を深める・広げる方法を発見したように思えた。また、これを今後、作品を見るときにも活用でき、同行者と一緒に楽しい作品鑑賞ができると思った。

・対話型鑑賞のみにならず、従来の案内型(作品ガイド)での鑑賞と、バランスよく取り入れられると、個人的にはより嬉しい内容になると感じた。


・対話型鑑賞の参加者側の体験も楽しかった。オリジナルのアクリルカードワークはまたやりたい。

・楽しかったのと同時に、他者との違いを受け入れる感覚を身をもって実感できた。色々な方に味わってほしい。

・以前別の場所で参加者として対話型鑑賞法を受けたことがあり、その時、果たして万人受けするのだろうかという疑問があった。しかし今回研修を受けてみて、テクニックによって幅が広がるのだということがわかった。

・ガイドだけではなく、広い分野に適用できるため

・非常に楽しい研修だったが、この対話型鑑賞法を実践するにはモデレーターの技量が重要になってくると感じた。

■良かった点

・リチャード・ロングの作品での対話型鑑賞。じっくりと作品を見る方法を知ることができただけでなく、自身の思考を深める・広げる方法を発見したように思えた。

・ファシリテーター体験と座学。専門に行っている方から学べる機会はなかなかないので、勉強になった。なにより楽しく参加できた。

・カードワークの文字の書かれた透明のプレートを使って、景色を切り取るという手法

まとめ・考察

・ 対話型鑑賞を体験したことのある方が9名中7名と比較的多かったが、応用や活用場面の幅の広さを感じていただくことで本研修の価値が作れた。
・普段ツアーを担当されている方より対話型鑑賞の活用について意見をお聞きできたこと、ツアーへの具体的な活用提案も挙がったので、瀬戸芸への対話型鑑賞の普及の期待が作れた。
・ファシリテーターが主観も織り交ぜるがそれも楽しさになるのがこえびさんの個性豊かなガイドの強み。
・ファシリテーターのコミュニティへの参加希望もあったため、今後の関係性構築も検討したい。(藤原)

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