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【アスリート教育】指示待っ子の育て方

前書き

以前記事にも取り上げた指示待ちの子どもの育成について解説します。
前回は競技の内容ではなく、競技に関わるプロセスでしっかりと自発的な行動ができるようにするべきであるという内容と主に自己管理の話をしました。

今回はなぜ「指示待ち」の子どもが育まれてしまうのか?というところをメインに展開して参ります。

「指示待ち」の基礎

どうして指示待ちの子が育ってしまうのか?というところを個人的に調査しました。
個人的な見解ですが、今このご時世だから指示待ちの子どもが多いなんて議論がされていたり、巷で囁かれていますがそんなことはなく、どの時代にも指示待ちの子ども(大人)は存在します。
指示待ち人間の根本的なところにあるのはまず、「周囲に耳を傾けない(目を配らない)」ところにあります。指示待ちの子どもに共通していることは、「自分本位な考え方」「自己中心的な視点」です。さらに指示待ちの子どもは「ミスを恐る」傾向にあり、実は集団の中に紛れてしまうことが多いです。
おそらく学校の先生や学童など児童の集団と関わるお仕事をさせる方々は、こうした子どもの特徴に気付きやすい環境にいます。反対に、ご家庭ではあまり見せることのない姿とも言えるでしょう。
こういった子どもはまず、アンテナを外に向けてはっていないために思考が停止している時間が非常に長いです。
刺激をもらいづらいというのが第1ステップです。

「指示待ち」が身につける能力

そんな指示待ちの子どもが集団で生きていくために身につけていく能力に目を当てましょう。ミスを恐るというのが当てはまる子どもは、だんだんと発達段階(学年やカテゴリ)を登っていく過程において、責任がかかってきたり、成長が求められる場面で失敗をしないように成長しようとします。
しかし、この成長は内発的ではなく、あくまで外から押し付けられる形で子どもに降りかかってくる試練です。
根本的な成長にはつながらないですが、怒られないためになんとかしようとします。

集団に紛れることで、その場を凌ごうとします。
これは悪いことではありませんが、同調するためには集団を見ます。よく言えば洞察力が身につきます。
集団からそれないように・・・仲間外れにされないように・・・初めての自発的な行動かもしれません。
※こうならない子どもはおそらく悪目立ちという方向に走るかもしれません。他人とは違うという方面に固執する子どもも実は指示待ちの傾向が強いです。


どうして指示待ち?

指示待ちの子どもは外部への信頼感にかけるというのが私の印象です。そもそも人の話を聞かないという根本的な問題点を解決する必要があります。
人の話を聞いても行動に写すことができないタイプ(中学生くらいで見られる)や言われるまで何もできない子ども、言われたことしかできない子どもなどパターンは様々です。どうしてそうなってしまうのか?これは身近な大人の関わりにあると考えます。

子どもは生まれてから最初に母親を介して世界を見始めます。
まずは欲求という自分の中身からくる「声」を外に伝える、しかし言葉を発することができないために周囲の大人にアピールをしていきます。

最初のコミュニケーションの形は、
子ども→母親
このような一方通行になります。

まずここで大切なことは、
子どもの欲求をなるべく多くの人でキャッチすることです。


例えば、
子ども→父親
子ども→祖父母

当然ですが、子ども(新生児〜幼児)はまだ上手にコミュニケーションをとることができません。主に欲求を伝えることしかできないですが、
伝える相手は様々な人というような環境に身を置けるようにしましょう。
そのあとの環境づくりのための努力が大切です。

そして幼児期も終盤へ。
幼稚園や保育園など集団の中で様々なことを学び始めます。
その頃には、母親だけや父親だけとの双方向のコミュニケーションという形にならなように準備が必要です。


初めは、
子ども→母親(父親)という形態のコミュニケーションでしたが、
次第に、
子ども⇄母親
という構図に変わってくると思います。

この時期になるべく多くの多様性が子どもに関わる必要があります。この双方向のコミュニケーションは発語などの成長の段階で自然に身についていきます。

この時期に母親だけが育児を行うことで下記のような閉鎖的な環境が生まれてしまいます。
子ども⇄母親⇄他者

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これこそが指示待っ子生み出してしまう根本的な原因だと思います。
そもそも小学校1年生や2年生などの低学年の「幼児性」に甘んじて成長の機会を奪ってしまうことがのちに現れる課題なのですが、その前段階において「親の言うことしか聞けない」子どもを育んでしまうことに原因があります。
幼児が言う、「ママがいないとできない」と言うのは当たり前のようなことに感じますが、そんなことないよ!一人でやってごらん!をサポートするのは実はままではなく外の人間であるということです。

理想的な関わりは、
他者⇄子ども⇄母親

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と言う形で、子どもの成長に関与できる大人が増えるように育児をしていくと言うことが大切になります。


指示待っ子は父親が育ててる!?

育児における多様性が重要であることとその多様性を受け取る準備をしましょうと言う話をしましたが、子どもにとって最初に受け入れなければいけない多様性は実は『父親』にあります。
残念ながら父親はどんなに頑張っても母親にはなれません。
子どもからしたら最初の外部の人間だと私は思っています。子どもが最初に身につける能力は、愛情から学ぶ『愛着(アタッチメント)』と言われる能力です。


子どもは、
「僕(私)は生きていいんだ」と言う根本的なところから、自分を愛してもらえるように自分を磨いていく(笑顔でいる)ことから人生をスタートさせます。


教育というのはずっと子どものこれ↑を守ることにあります。
そこで、一番初めに、
「あ、お母さん以外にこの人も僕(私)を守ってくれるんだ」
と思わせる必要があるのです。
成長を重ね、子どもは母親と父親の話を聴けるようになればOKだと思います。
その二人が、だんだんと外に教育を委ねていくことをすると子どもは外部の大人に目を向けるでしょう。
まずは、この人は自分にとっていい人なのか?というテストから、この人には信頼を置いてもいいだろう、話をしっかり聞こうと、いろいろな大人と関わっていく上で人を好きになったり、憧れを抱いたりするものです。

『マンバメンタリティ(コービー・ブライアント) 』にも描かれていましたが、父親としての役割は父親にしかできません。父親が頑張るステージというのは実は父親になりたての一番最初かもしれないですね。
働き過ぎの日本人にとっては非常に難しい課題かもしれませんが、子どもの発達段階というのはあっという間に過ぎ去っていきます。
最初が肝心という言葉がありますが、子どもの人生を考えると、お父さんが一番頑張らなければいけないということが分かりますよね。
コービーも言っています。


指示待っ子に対面したら

前述のように、指示待ちというのは長い成長の歴史の中にある成功体験で形作られています。
指導者がどのように解決できるか、というのはとても難しいところですが、
まず一つ目のできることはその子どものルールを壊すことです。

ブレイクザルール
子どもの中にすでにあるルールを壊していくことです。矯正をし手壊すのは簡単ですが、それでは成長に繋がりません。
ルールを壊すためには、まず必要な知識から教えます。ルールの壊し方、ルールを壊す理由を教えてあげましょう。
例えば、自分で水筒を準備してもってきなさい。というのは簡単ですが、それだけでは子どもはできません。
自分が使うものは自分で準備をする。それがコートの中でも役に立つと教えてあげましょう。そして準備する方法を教える(または親に教えを請うように)のがいいでしょう。
自然に、水筒は親が準備するものというルールが上書きされます。
これがブレイクザルールです。

親が変わればいいというのは間違い
はっきり言って指導者や教師目線では指示待っ子=親が過保護と思いがちです。というか思ってしまいますよね。でも、それでは話が進みません。
過保護な親に育てられる子は自身の「トライ」機会が減ります。
過保護なのはいいことですが、よくないことでもあります。
指導者が「君の親は過保護だ」と子どもに当てつけたところで何も状況は変わりません。
この考えは捨てて、親がやってくれる自分のことは、自分でやろうに変えていきます。ブレイクザルールと変わりません。
『外の世界ではなんでも自分でやる』を定着させ、それを家庭内でどこまでできるようになったかという点がその子の成長です。
つまり、外でできるようになっても家でできなければ成長とは言えない。
これが理解できればOKです。


オープンクエスチョンという処方箋

指示待っ子の外に目を向ける機会をたくさん作ります。
自分の感想を発表するのでもなんでもいいのです。とにかく、思考が止まらない工夫をします。
YESもしくはNOで答えることのできる質問は一切やめましょう。
必ず頭で考えて文章にして答える形でコミュニケーションをとります。
これはあくまで処方箋です。子どもの成長にはアウトプットの機会が必要です。たとえ分からなくてもやらせることが大切です。


まとめ

主に家庭で行うアプローチと外部が行うアプローチについて述べました。
その全ては子どもを取り巻く「多様性」によるものです。
子どもの成長いおいて一番大切なことは「多様性」です。
多くの存在が子どもに関わり、そして子どもが成長していくというところを忘れずに関わっていきましょう。
結論としては、子どもを取り巻く環境は大きく変化していて、子どもを取り巻く環境の比重が家庭に傾きすぎています。
(コロナ自粛では学校にもよりますが、家庭比重100%でしたね。)
子どもの中で親の存在が強くなりすぎるのはよくありません。親に依存しても何も成長しません。
外部が参画できる教育環境づくりと準備、外部は家庭に信頼してもらえるような関係づくりが大切です。


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