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バスケなめんなよ 9話

バスケが強くなりたければ、バスケ以外をきちんとやれ!

家に帰り風呂から上がった涼を呼びました。

私「全部言うから明日から全部お前がちゃんとやって、周りにもやるように伝えろ!」

涼「………?」

  • まず駐車場やどこで会っても必ず俺や他の保護者に挨拶する事!

  • 体育館のおじさん達にも大きな声で挨拶する事!

  • 練習が始まる前に必ず俺の所に集合して挨拶する事!

  • 練習が切り替わる時などにダラダラ歩かずダッシュで準備する事!

  • 練習中に声を出す事!

  • 練習はどんな時でも全力でやる事!走るのも全力!シュートも外さない!DFも全力

  • 疲れてもそれを絶対に顔に出さない事!

  • ミスしたら不貞腐れないで、取り返すために全力で切り替える事!  

私「こ明日から全部やれよ!やらないなら明日から俺練習に行かないから」

涼「………分かった」

私「練習中なら分かったじゃなくて、ハイだからな

涼「……」

私「とにかく酷過ぎる…ここまでとは思わなかったよ…はっきり言うけどさっきの練習は部活のバスケの練習じゃないよ。あれは遊びとか授業のバスケだよ。2個上の先輩がいた時はこんな練習じゃあなかったんだろ」

涼「……あの人達がいた時はもっとハードだったし、ちゃんとしてた…」

私「1個上の先輩達がちゃんとやらなかったから、自分たちもそれでイイやって感じになったんか?あれだけ1個上の先輩の事言っておいて、お前らもやってる事が一緒ってヤバくないw一番ダサい奴がやる事じゃんww」

涼「………ちゃんとやりたかったけど、やり方が分からなかった」

私「言い訳するな!ツーメンとスリーメンをあんなスピードでやっていいかどうかなんて、ミニバスやってた奴なら誰でもわかるだろ!お前さ、バスケ舐めてんなら辞めれば?別に誰も損しないし、誰も悲しまないだろ?だって歩くスピードでスリーメンやってんだよ?そんな奴にバスケして欲しくないし、俺は教えたくない!関わりたくない!」

涼「………ちゃんとやる」

私「明日、涼が出来なかったら俺は終わりにするからね」

涼「…ハイ」

これはある意味賭けのようなものでした。

うるせぇー!俺らのやり方に文句つけるな!とか言われたら終了でした。
おそらく涼は、この状況がヤバイ事を理解はしていたのだと思います。
でも、自分じゃどうしようも出来ないと思ったが、誰にも言えないし、言ったからと言って誰かが手伝ってくれて、解決してくれるものでもないと思っていたのでしょう。

顧問が悪いと言う訳ではありませんが、明日の練習は顧問も来る予定です。
明日顧問に色々と聞いてみる事にしました。
※鳥川中学校男子バスケ部の顧問はか「中川先生」

キャプテンの責任

翌日の練習は涼がきちんと私の前に集合をかけ、練習前の挨拶を行ってから始めました。

そして涼から

涼「今日からちゃんと挨拶や返事を全員がやる事!聞こえない返事や挨拶はしてないのと一緒だから、特に1年生は気を付けるように!それと、集合や練習の切り替え時の動きを早くするよ!絶対に歩かないし、私語を禁止してダッシュで次の練習に向かう事!最後に練習で走らなくちゃいけない所は全力で走る事!ダラダラ走ってたらもう一回やるとかのペナルティつけるから!以上!」

顧問の中川先生はびっくりした様子で涼の事を見ていました。

私「昨日、涼と話をしたんですよ。挨拶する事、練習中ダラダラしない事、走る練習は全力でやれ!って。もしできないなら今日から俺は来ないからってww」

中川「えっ!かなり強く言ったんですね!涼はどんな感じでしたか?」

私「ハイ、ちゃんとやるって言ってましたよww」

中川「そうですか…私がもっと言わなくてはいけないのに…申し訳ございません。バスケ全然分からなくて…でも、彼らには特に2年生には何もしてあげれないけど、全力でサポートしてあげたいと思っております」

中川先生は自分が休みにしてしまった日に保護者会練習が入った事をヤバいと思っていたのかも知れません。

しかし、話していると熱意があり部員たちの事を何とかしたい!と、言う気持ちが伝わってきました。
とは言え、いくら熱意があってもバスケを教える事が出来なければ涼たちは強くなることはできません。

私「昨日練習を見させて頂いたのですが、とにかく全部ダメなので今日修正と指摘をバンバン入れて行こうと思っておりますがよろしいでしょうか?」
中川先生「…そうですか。強くなって欲しいのでよろしくお願い致します!」

保護者会練習2日目がスタート

そうこうしているうちにアップのランニングが終わり、相変わらずストレッチ兼フットワーク的な事をやっていますw

多分、私が提案するフットワークをやったら走れなくなると思い、今日はフットワークの改善は辞めておきました。
それと、関係性があまりにも無い中でキツイ事をやらせると不貞腐れる可能性もかなりありそうだったので辞めましたww

アップが終わったので集合を掛けました。

練習前に涼から指示があったダッシュで動く事!を実行していたのは涼だけでした。

ゆっくり走ったり…いや、ほとんどが歩いて私の所に向かってきました。

私「涼が言った事忘れたの?このチームのキャプテンが決めてみんなに伝えたのに誰もできないんだなw2年の大翔、槙野、金剛、三井は意味分かってるの?まぁ、ずっと弱いままでイイならそのままやりなwチームは個人の見栄とかくだらないプライドとか、家庭のルールとか関係無いからな。どんな風に育てられてきたとしてもそれは家の中での話だから。チーム=団体にそんな事は関係ないし、通用しないから。親がこう言ったからとかねww
もう一回集合する?」

涼「やるぞ」

部員「ハイ!」

やり直しましたが、ダラダラ走る槙野と三井と1年生…

時間を掛けて教えて行こう……

次にハンドリングとドリブル練習です。

私「ハンドリングはプロでも毎日やってる本当に大事な練習です。嘘だと思うけど、ハンドリングをきちんと練習するとボールが手に吸いつくようになるからw失敗してもいいから、早いスピードとしっかり音を出してボールを掴む事!ドリブルも失敗していいから、強く早くボールを付く事!」

昨日とは違い、早く強くハンドリングを行っていましたが、握力や腕の筋肉が限界にきたらしく、遅く弱いハンドリングになろうとしていました。

私「ここからだぞ!疲れるのなんか当たり前なんだよ。疲れた時に疲れた顔とかしんどい顔とか、態度に出したら相手チームにバレるじゃん!だから、ここからが失敗してもいいから全力でやろうって事なんだよ!頑張れ!!」

気合いを入れ直し、全力でやり始めた金剛、大翔、涼。
三井、槙野は変化なし……1年生は絶賛ファンブル中…
1年生はともかく、三井と槙野は出来ないのか?やらないのか?どちらなのか全く分かりません。家に帰ったら涼に聞いてみようと思いました。

ドリブルは酷いものでした…今まで全力でドリブルをした事が無かったので仕方ありませんが、強く付く事に慣れていないのでミスが多発しています。

イラつく部員たち
私「イイから!今までのドリブルは忘れていいから!今日からこの強くて速いドリブルがみんなの標準になるから!だから、ミスしても前のドリブルに戻さない事!」

ミスをしながらも何とかやり遂げましたw
2年生は全員腕がヤバいと言いながらスポドリを飲んでいました。
でも、嬉しそうな表情をしていたので安心しましたw

次はレイアップです。
私「レイアップなんだけど、全力でパスを出して全力で走って、全力でリードパスを出して、スピードを緩めないでシュートに行く事!」
部員「ハイ!」

昨日よりはマシですが、金剛と槙野と三井のパスが遅すぎますし、この3人のダッシュがランニング程度なのがかなり気になりました。

1年生はパスミス、キャッチミスでレイアップの練習になりません……

レイアップが終わった時に金剛、槙野、三井を呼んで私がパスを出すからもう一回やってみようと提案しました。

金剛から来たパスをワンタッチで金剛に返しました。
私「話聞いてた?パスは全力ね」

金剛から鋭いパスが来たのですが、私が出したリードパスに追いつけず…
私「話聞いてた?全力ダッシュね」

金剛から早いパスを受け、私は全力でダッシュしてきた金剛にリードパス、金剛はスピードを緩めずレイアップ、シュートは決まらず…
3度目くらいに成功!

次は槙野
私「今見てたよね?全力で」
槙野から山なりパス……槙野がスタートした位置へボールを返す…を5回繰り返した後にやっとまともなパス、そしてリードパス、ゆっくり走ってるため追いつけずラインアウト…

私「全力で走る事」
槙野は不貞腐れていましたw私は、あぁ中学生にバスケを教えてるんだなぁ~と、何だか嬉しくなってきましたw
しかし、そんなことは言っていられません。何回か槙野と続けましたが、OKは出せませんでした…

次に三井
私「2人の見てたよね?全力で」
三井から明後日の方向にパス……もう一回
三井から早いパス、そしてリードパス、ゆっくり走っているためキャッチミス…

何度も繰り返しましたが、OKは出せませんでした。

私「涼と大翔やってみようか」
涼から鋭いパス、全力ダッシュの涼へリードパス、スピードを緩めずレイアップ、ゴール。

大翔から鋭いパス、全力ダッシュの大翔へリードパス、スピードを緩めずにレイアップ、ゴール。

を、5回ほど繰り返したあと
私「これが普通のスピードだから、今後このスピードでレイアップを行う事!失敗してもいいから、早いパス、全力ダッシュ、パサーはリードパス、スピードを緩めないでレイアップ、そして決めきる事!何度も言うけど、失敗してもいいから!正し、全力やっての失敗はOKって意味ね。ダラダラやっての失敗は周りから指摘する事!チャレンジした失敗はみんなで盛り上げよう!」

部員「ハイ!」

じゃあもう一回レイアップやるよ!

部員「……ハイ」

私「一年生はドリブルレイアップにしよう!」

教えた甲斐もあり、前よりは良くなっていますが、まだまだスピードがありません。

あと数日中に徹底的に体に覚えてもらうよう教えて行かなくては…

しかし、レイアップ1つ取ってもここまでなのか……

彼らが全力で走った事があるのは、体育の授業の100m走とか、記録会とか、運動会しかないのではないでしょうか?全力で走る!と言う事の意味や理由が分かっていないのだと思います。
言葉で伝えるのは簡単ですが、おそらく明日には忘れていると思います。
なので、まずは練習のルールとして教える事にしました。

基礎練習が必要だった…

次はスクウェアパスです。

私「昨日もやったし、レイアップの時に話したけど、全力で走って、全力パスね、そしてリードパス!」

部員「ハイ!」

返事が段々と良くなってきました。
でも、これを継続するのも結構難しいんですよね。

2年生のパス交換はそれなりに出来ていますが、そこに1年生が絡むと止まってしまいます。う〜む…これでは2年生の練習にならないな…

そしてもう一つの問題は、涼のパスをまともに取れるのが大翔だけなのです…

さらに、三井、金剛、槙野はボールをキャッチしてから自分がパスを出すまでの時間が掛かりすぎています。

これは基本のパス練習をやらないと無理だと判断し、スクウェアパスを中断し、チェストパスをやる事にしました。
2人1組になってもらい、基本のチェストパスを教えました。

1.ボールをキャッチする前にステップを1.2と踏む事

2.キャッチしたらボールを持ち替えたりせず、すぐに相手の胸目掛けて全力パス

3.キャッチをしっかり強くすること

4.腕だけでパスをするのではなく、ステップの力を利用してパスをする事

この4つを必ず守ってパスをするように言いました。

出来ているのは涼だけです……マズいな…

まず、ステップが出来ていない…よし!ステップのみを意識させよう!

私「キャッチする人はパスを出さなくていいから、キャッチするときにステップを踏む事だけ意識して!こんな感じで(私がやってみせる)」

思いのほか出来ていたので、すぐに
私「じゃあ、キャッチしたらすぐにパスを出してみよう!腕だけ前に出すのではなく、体を使って強いパスを出してみよう!」

まぁまぁ出来てる。

1年生はほぼ出来ていなかったので、2年生より距離を縮めてやってもらいました。
1年生は毎日やらないと手遅れになるかも……

私「2年生!もっと早くパスを出そう!そして、相手の胸にパスね!」
2年生はあっという間にチェストパスが出来るようになりました。

私「じゃあ、ちょっとしんどいかもだけど、中川先生と俺も入るから7人でスクウェアパスをやってみよう!1年生はそのままチェストパスを続けて!」

1年生「はい!」
……妙に返事がいいなww楽だからやる気が出てるのかww

2年生とのスクウェアパスは想像以上に上手くいきました。
ただ、長く続けていると槙野、三井、金剛のキャッチミスとパスミスが目立ってきます。

まぁやり続ければ、すぐに良くなるだろうと、この時は安易に考えていました。

次回は
まだまだ続く保護者会練習2日目!
そして地獄のスリーメン!
ぜひご覧ください!!





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