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【7巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る


こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは7巻の振り返り記事となります。

6巻までの記事はこちらから👇

記事は以下のフォーマットで進めていきます。

・この巻は何と何の戦いなのか
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク

多少のネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。

【7巻】チームを救いたい響子vs響子を含めたみんなを救うと決めた練の覚悟


秋の新人戦が始まる中、黒曜谷の理事長である響子の母が練に接触を図ります。それは、白雲山高校への移籍の為でした。

移籍を止める為に突きつけられた条件は、新人戦で優勝すること。さらに練の白雲山高校への移籍が決まれば、雲海の留学先も斡旋する交換条件になっていました。

響子は、練が白雲山高校に移籍することを止める為、仙石雲海との密会を既成事実にし、交渉するつもりでした。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)7巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て7巻より引用しています)

しかし、個人的な事情にチームを巻き込んだことを叱責する雲海。

そして、練は覚悟を決めます。それは、自分だけでなく、響子を含めたチーム全体を自分が救うということ。

それは、練が自分の気持ちに気づいた瞬間でもありました。

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心に響く名言

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幼い頃からの付き合いである響子のことを誰よりも理解している雲海。お調子者のようにふざけたりしながらも、チームの空気を作り、鼓舞し続けている響子の孤独を救ってやって欲しいと伝えます。

一流のアスリートと芸人の共通点は、空気を読む力と、空気を変える力を持っていることだと考えます。

流れを掴み、的確なポイントで相手を攻めること。ムードが悪くなってしまった時に、チーム全体の士気をあげられること。どちらも、キャプテンに求められる資質であるとも思います。

そして、響子がおどけられるのも、自分のことを理解して包みこんでくれるような雲海の存在があるからこそ。

お互いに好意を持ちながらも、家柄の事情ですれ違う二人の恋愛の行方はどうなるのか。ただただ幸せになって欲しいと願うばかりです。

注目のシーン

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私はこのシーンが『少女ファイト』の中で一番好きです。今までの積み重ねられたきたものを考えると、練がこのセリフを発していることがたまらなく嬉しいからです。

「試合中、極限までいくと人との境目がなくなる」と言っていた真理。1巻での練は、姉が見たその景色をみる瞬間は一生こないと諦めていました。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)1巻より引用

4巻になると、練はチームメイトが今までのメンバーとは違い、自分が全力でぶつかっても受け止めてくれることに気づきます。そんなメンバーと、姉ちゃんが見た景色を自分の目で見たいという意志を持ちます。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)4巻より引用

そして、紹介したシーンに繋がります。

姉ちゃんが見た景色へと自分がみんなを連れて行くという、意志から覚悟へと変わっているのです。

練は思い出を映像として記憶してしまう映像記憶能力があります。だからこそ、残り続ける辛い過去を塗り替えたいという気持ちが人一倍強いのでしょう。

姉の死、チームメイトに裏切られたという思い込み、相手に頼れない自分。いくつもの試練を乗り越えた練がチームを信じ、チームの為にこのセリフを発したその過程を思うと、涙なしには見れらないシーンです。

過去作とのリンク

7巻では理事長との駆け引きで新人戦に出場しなかった響子に、練はこう答えます。

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過去作『G戦場ヘヴンズドア』でも、同じような状況がありました。連載をかけた漫画の締切が明日に迫った状態で、堺田が久美子を動物園のデートに誘い、リタイアしたシーンです。

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『G戦場ヘブンズドア 完全版』(日本橋ヨヲコ/小学館)3巻より引用

今しか感じられないその瞬間の心情に寄り添うこと。漫画を描くことよりも、落ち込んでいる久美子を励ますことをとった堺田。

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そんな人に寄り添うことができる堺田が描いた漫画が、『少女ファイト』でも多くの人の心の拠り所になっているのは感慨深いものがあります。

と言うことで、7巻の振り返りはおしまい。

私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。

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