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【5巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る

こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは5巻の振り返り記事となります。

4巻までの記事はこちらから👇

記事は以下のフォーマットで進めていきます。

・この巻は何と何の戦いなのか
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク

多少のネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。

【5巻】八百長試合を疑われる伊丹vs素直になれない自分

伊丹は祖父がヤクザという家庭環境の為、試合で勝っても八百長の疑いをかけられることがたびたびありました。そんな状況の中、チームメイトに迷惑をかけてはいけないという思いで黒曜谷を受験した伊丹。

伊丹の実力と努力は元チームメイトも認めているところではあるのですが、素直になれない性格が災いして、キャプテンの響子に辛辣な言葉を投げかけてしまいます。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)5巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て5巻より引用しています)

伊丹に足りなかったのは、チームメイトに向けての歩み寄りです。

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素直になって本音で語ったからこそ、相手も本音で返してくれる。伊丹にとって、とても大切な気づきを得た巻だと思います。

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ちなみに、この巻から黒曜谷ストレイドッグスは悪役(ヒール)として名を轟かせるようになります。

心に響く名言

15巻特装版についてくる名言カレンダーには、31もの名言が掲載されています。その中に惜しくも掲載されませんでしたが、伊丹の父親が志乃に語るこのセリフを推したいです。

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娘への愛情が見て取れる、父親としての優しさにあふれた言葉。ストイックで甘えることが苦手な伊丹の性格を理解しているからこそのセリフです。

そして、大人になれば、仲がいい人ほど頼れなくなるという所にも私はとても共感してしまいました。迷惑をかけてしまうかもしれないと、相手の事情や立場を考えて相談できないことは多々あります。

人に甘えたり、甘えられたりできるのも相手のことを信用しているから。相手を信じる思い出が、実は貴重な経験であることを教えてくれます。

注目のシーン

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祖父が危篤になるも強行出場を決めた伊丹。焦ってプレーに精彩を欠く伊丹は「あんなおじいちゃんなんて 死んじゃえばいいのよ!!」と叫んでしましいます。そんな伊丹に対して、練がわざとスパイクをぶつけるシーンです。

姉を亡くした練にとって、また会える保証もないのにその言葉をぶつけるのは許せないこと。かつての自分のような後悔を味わって欲しくない練の気持ちが伝わります。

もう一つ、このシーンは練がチームメイトを信頼し始めた証でもあります。

本気を出して他人とぶつかることも、友達を作ることからも逃げ続けていた練。そんな練が嫌われることも覚悟で、人と向き合い始めたのです。

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信頼できるチームメイトの存在が練を大きく変えました。

練だけでなく、全メンバーの心の成長が見られるのは、本当に『少女ファイト』の大好きな部分です。

過去作とのリンク

今までも少し片鱗がありましたが、この巻でも出てくるルミのシーンについて触れます。

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過去のトラウマから「あきらめる」というワードに過剰反応を示すのですが、自分の許せないことに対して一瞬で沸騰するような怒りは『G戦場ヘブンズドア』でも登場します。

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『G戦場ヘブンズドア 完全版』(日本橋ヨヲコ/小学館)1巻より引用

これは、鉄男が描いた漫画を、堺田が破り捨てた時のシーンです。バットを持って机を破壊しているのが、久美子(少女ファイトで出てくる女優の組子)です。

ルミは久美子の娘である為、この怒りも血筋なのかなーと感じます。でも、それだけでなく、愛するものに対して一途なところも非常に母譲りです。少女ファイトで語られる堺田とルミとの恋愛模様も見逃せません。

と言うことで、5巻の振り返りはおしまい。

私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。

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