見出し画像

オススメのギャグ漫画発掘するまで帰れま10!「第1回推しギャグマンガプレゼン大会」

地獄の門を開くまで


「あっつ…どこだここ…でも最高だ。やっと…やっと出れた」


うだるような夏の暑さと容赦なく降り注がれる蝉の声。普段なら煩わしさを感じる地獄のような状況だが、今の自分にとっては天国だ。なぜなら、久しぶりにシャバの空気を吸えたからである。

時は遡ること約1週間前。一部界隈では極悪非道(!?)と名高い漫画ライターもり氏さんの口車に乗せられて、ダブルMCとして参加した「第1回推しギャグマンガプレゼン大会」

漫画ライターさんがお勧めのギャグ漫画をプレゼンするというこの企画は、我ながら想像以上に面白い大会となったと思う。

MC終了後、疲労感と達成感ですぐに眠りに落ちたが、起きたとき私は知らない部屋にいた。2畳ほどのコンクリート打ちっぱなしの独房のような部屋。あるのは机とPCのみ。

「大会に関するnoteを書け。さもなくばこの部屋からは出られない」

机の上にあった謎の書き置きを信じざるを得なかったのは、この部屋が完全にロックされて外に出られず、外界との通信が遮断されていたからだ。
MCとプレゼンとnoteという三重苦を笑顔で背負わせる極悪非道のもり氏を恨めしく思う。

さらに最悪の事態が私を襲う。突如PCの画面にこのnoteが映し出された。

恐る恐る読んでみると『第1回推しギャグマンガプレゼン大会』のレポート記事で各ライターさんの紹介作品と概要が面白おかしくまとまっている…
大会に関するnoteを書かないと出られない部屋に閉じ込められた私は、この狭い空間の中で天を仰いだ。

いや、これ以上何を書きゃいーねん

しかし、望まずも開いてしまった地獄の門。noteを書かなければ部屋から脱出できず命の危険が迫っている。

作品ごとのプレゼンに関しては、各ライターさんのプレゼンがとても素晴らしかったので、実際に音声で聞いてもらいたい。(StandFmのタイムスタンプ機能で飛べるようになっている)

そこで今回はプレゼン自体の感想と、どういうお笑いが好きな人にオススメか(超主観含める)という部分にフォーカスし、記載してみようと思う。

第1回推しギャグマンガプレゼン大会

第1回推しギャグマンガプレゼン大会レギュレーション

総勢10名のプレゼンターが、持ち時間1人最大10分で推しのギャグ漫画をプレゼンする。

※シンプルに笑った、面白かったという意味でギャグ漫画として紹介しているので、漫画のジャンル登録上、ギャグ・コメディとして登録されていない作品も紹介していることをご了承いただきたい。

『霧尾ファンクラブ』地球のお魚ぽんちゃん先生

プレゼンター:おがさん(30:49〜)

プレゼン自体の感想
まさか自分がトップバッターとは。ラジオ冒頭でもお伝えしたが、ギャグ漫画のプレゼンってマジで難しいのだ。言葉でギャグを説明すると、面白さが正しく伝わらない可能性があるから。
基準となるようなプレゼンにしたかったが後のメンバーのプレゼンを聞いて、もっと未読の方向けに詳細を伝えるべきだったと反省した。

さらにWボケ、Wツッコミと紹介してしまったことで、藍美(スタイルが良く綺麗系。発想はぶっ飛んでいる。)と(ショートボブで小柄な可愛い系。一見真面目で大人しく見えるが、かなりしたたか。)のキャラクターの差別化をうまく伝えられていないなと後から気づいた。猛省している。

二つ合わせて大反省スマッシュブラザーズ。は???

どういうお笑いが好きな人にオススメか
私は意味不明だったり、ぶっ飛んだお笑いが好きなので、そういうお笑いが好きな人には限りなくオススメ。後は推し活に夢中な人も共感しつつ笑えると思うのでどうぞ手に取ってみてほしい。

『サイコロまんちか』小出もと貴先生

プレゼンター:つじくん(マンガ大好き芸人)(40:05〜)

プレゼン自体の感想
つじくんさんのプレゼンを聞いていて、思い出したことがある。それは、島田紳助さんがかつて話していたリアリティに関するお話だ。下記の記事の中に記載があった。

以下、記事内より抜粋。

たとえば以前、島田紳助さんのお話で、とても印象に残っていることがあります。「道で1万円を拾った」というごく単純なストーリーだったんですが、紳助さんの表現力によって、ぐんと引きつけれるストーリーになっていました。
 再現すると、「このあいだ雨の日に、地面に紙が張り付いてんねん。なんやろなー、と思って見てみたら、1万円札に見えるんや。えっ、うそやん、と思って、傘の先でつんつんと突いてみたら、1万円札やねんこれが。誰も気づいてへんねん。すーっと破らんようにきれいに剥がしたらとって、よう見たら……やっぱり本物の1万円札や!」と、こんな感じで凄いリアリティがあるでしょう。

DIAMOND online掲載記事より引用

つじくんさんのプレゼンは本当にこの通りで、リアリティと臨場感に満ち溢れていた。だから想像力に頼らずに、未読の方でも伝わるようなプレゼンだった。すぎょい。

どういうお笑いが好きな人にオススメか
下ネタなどくだらない笑いが好きな人に刺さりそう。パロディも多いことから共感の笑いも多い。学んだ心理学を周りの人たちにすぐに披露したくなるような漫画だなと感じた。

『ひとりぷれい』火鳥先生

プレゼンター:たけのこさん(動画内59:08〜)

プレゼン自体の感想
これは小さいお子さんたちがいない環境でプレゼンをぜひ聞いてほしい!笑い転げた。
ただこのプレゼン実は高難易度で、プレゼンターが笑ってしまったら途端に面白く無くなってしまう。だからこそ、このプレゼンを成功させるには淡々と語ることが必要不可欠で、たけのこさんにバッチリはまっていた。

「後崎歩里雄(しりざきほりお)は、最終的には武装した一個師団すらア⚪︎ルに収納できるだろう」と言われているんですけど…とかなぜ淡々と語れるんだ…
「この人真面目な感じでずっと何言ってんねん!!」とどのタイミングでも突っ込める、たけのこさん無双となっていた。はー、笑った。

どういうお笑いが好きな人にオススメか
多くは語らないが、以下の収録作品の書かれた書誌情報を見てビビッと(肛門括約筋が)来た人は買うべし。(私はきました。)

Kindle 作品の書誌情報より引用

『お父さんは心配症』岡田あーみん先生

プレゼンター:Ato Hiromiさん(動画内01:14:04〜)

プレゼン自体の感想
どのプレゼンにおいても順番の妙みたいなものがあるが、たけのこさんの後は本当にやりづらかったと思う。それでもそのプレッシャーを感じながらも、堂々とやり切っていた!胆力!
ギャグ漫画が特別好きというわけではないが、漫画の魅力に気づかさせてくれた作品という紹介が個人的にとても好きだった。
背後に入るお子さんの声も癒されたし、自分の根幹となった作品の紹介となり、人生観すら感じるプレゼンだった。

どういうお笑いが好きな人にオススメか
ほっこりするような笑いが好きな方にオススメ。子をもつ親となった世代の人たちには根底に流れる家族愛に共感する部分もあり、より刺さりやすいのかもしれない。

『この復讐にギャルはいらない』まの瀬 先生

プレゼンター:西本沙織さん(動画内01:32:49〜)

プレゼン自体の感想
オタクに優しいギャル
という空想上の生き物に振り回される、疑心暗鬼ラブコメという表現がめちゃくちゃわかりやすい。
初めてのプレゼン参加となりながらも、ポイントを絞った解説と台本の事前準備をすごくしてきたんだろうなという努力の跡をとても感じた。
そして、後から聞き返したら合間の感想戦でプレゼンで伏せていたとこを私が簡単に話していた。本当に申し訳ないと思い、焼き土下座しながら追記している。

どういうお笑いが好きな人にオススメか
プレゼン内でもあった、アンジャッシュさんのようなすれ違いコントが好きな方には是非。偏見強めの結構シュールな笑いが好きな人にも刺さるはず。当然俺たちのようなオタクにもオススメ!(オタクに優しいギャルがいることを信じたい)

『接客無双』鳩胸つるん先生

プレゼンター:みっちーさん(動画内01:44:15〜)

プレゼン自体の感想
プレゼンが進んでいくほどに、接客アクションバトルという聞き慣れないジャンルに興味を惹かれた。視聴者に少し疑問を抱かせるようなワードで注目させるというプレゼン手法がお上手!
クレーマーという配慮を欠いた人たちへの対応なのに、接客だからこそ誰も傷つけない笑いというところも印象深い。

どういうお笑いが好きな人にオススメか
プレゼンにもあった誰も傷つかない笑いが好きな人にオススメ。1話の中でのボケ数も多く、ハイスピードな漫才が好きな層にはたまらないのでは!

『HIGH SCORE』津山ちなみ先生

プレゼンター:Michaさん(動画内02:04:10〜)

プレゼン自体の感想
あらすじを語らずに、作品と津山先生の凄さを語るプレゼンスタイルだった。正直、最後まで優勝候補で迷った良プレゼンだと思った。別作品例えで申し訳ないが、強キャラの武勇伝を一般人に語らせる『範馬刃牙』シリーズを彷彿とさせた。
デビューからずっと28年間りぼんで連載を続けている
なんて凄すぎる…時代の変遷や読者層の変化もあるだろうから、それに適応させ続けることの難しさやネタを出し続けることの難しさは想像に難くない。私が気軽に語っていい作品ではない。

どういうお笑いが好きな人にオススメか
ぶっ飛び系のボケが好きな人はもちろん、28年もの連載なので親子二世代で楽しめる作品であること間違いなし。
本当に同シリーズですか?と言いたくなるぐらいの書影のインパクトとキレのあるボケに痺れる。1巻、2巻と続いて3段オチかと思わせて、3巻でスカして4巻に再び持ってくるところが最高!

『働かないふたり』吉田覚先生

プレゼンター:みやおさん(動画内02:20:33〜)

プレゼン自体の感想
普段コンサル業をするみやおさんが、ニートを題材とした本作を選定したのは意外だった。ただプレゼンを聞いていくことで、選定された理由が明らかになっていき非常に納得感のあるものとなっていく、尻上がりになっている良プレゼンだった。
働くこと、働き続けることの過酷さを知っているみやおさんだからこそ、心の逃げ場があることの重要性を感じられた。

どういうお笑いが好きな人にオススメか
心が疲れきった時、お笑いを見ても笑えなくなったり、読むことにカロリーを消費する読み応えのある漫画を読めなくなる時があると思う。そんなときこそ、マイナスな感情を肯定してくれるような本作はいかがだろうか。

『田舎暮らしの若美さん』原作:うどんまんぼう先生、作画: ヤキガシタロウ先生

プレゼンター:とらいさん(動画内02:38:47〜)

プレゼン自体の感想
ギャグ×BLというジャンルで冒頭から非常に興味を惹かれた。実体験に基づいたプレゼンで地元愛に溢れており、地元をレペゼンする姿勢がHIPHOP魂を感じた。(とらいさんがHIPHOP好きかは知らない)
最後に紹介していたONE先生の笑いに関する言葉「シリアスとギャグにどれだけの摩擦熱を生み出すか」はかなりのパワーワードだと感じた。シリアスな展開との振り幅と緩急をつけることでより大きな笑いが生み出されるというのは納得だった。

どういうお笑いが好きな人にオススメか
この作品も完全にぶっとび系。かつ地元愛に溢れているので、都会の喧騒に疲れ田舎暮らしに憧れる人、田舎から都会に引っ越してきた人達はぜひ読んでみてほしい。

『NKJK』吉沢緑時先生

プレゼンター:おこめさん(動画内02:49:36〜)

プレゼン自体の感想
ギャグマンガという括りにおいて医療というシリアスな要素も含む
作品紹介に意外性があり、プレゼン冒頭から引き込まれた。紹介された書影も気になるし、冒頭を読んだだけで正直泣きそうになった。
一つ前のとらいさんのプレゼン内容をアドリブで入れる柔軟性もすごい!
お笑い芸人ですらない普通の女子高生が、友達を笑顔にするためだけに様々なお笑いに挑戦していく姿勢を描くことにより、人を笑わせることの大変さと、その裏側に隠された努力を感じ取れるような内容であることが伝わってきた。

どういうお笑いが好きな人にオススメか
漫画やお笑いだけでなく、全てのエンターテインメントが好きな人にオススメしたい。人を笑わせるということの意義を考えさせられるような作品。

ギャグ漫画って最高だよな

全体のプレゼンを通して感じたのは、本当に多種多様なギャグ漫画が集まったなということ。一人一人面白さの価値観が違っているからこその結果だと思うし、参加いただいたライターさんには本当に感謝しかない。

人間の感情において、人を笑わせることは一番難しいとされている。それは、上述したように笑いの価値観は人それぞれで、笑わせようと思ったら、その人のことを深く知らないといけない。お笑いの根底には、誰かを幸せにしたいという愛がある。

そしてどうか理解して欲しい。1番難しいとされる人を笑わせる裏側には、笑えない程の努力と産みの苦しみが隠されていることを。ギャグ漫画家さんを心の底から尊敬している。

初めての大会なのに「第1回推しギャグマンガプレゼン大会」としてすでに「第1回」を銘打っているので、いずれ第2回もあるのでしょう。

その時がくるまで「マンガライターもり氏の好きなマンガを誰かと語りたラジオ」をフォローして全裸待機しましょう。

地獄の門の正体…

よし!終わった…ついに書き終えた…
おい、どこだ。書き終えたぞ!!早く外に出せ!!

叫ぶやいなや、私は強烈な眩暈を覚えた。
次の瞬間、気づいたら私は炎天下のアスファルトの上で横たわっていた。地面に触れている左頬が火傷するくらいに熱を持っている。

「あっつ…どこだここ…でも最高だ。やっと…やっと出れた」

ここで話は冒頭に戻る。ここがどこなのかも検討がつかないし、先ほどまでいた独房らしきものは見る影もない。私は今までどこにいたんだ。

財布や携帯もなくどうやって帰ろうか悩んであたりを見渡すと、おじさんが一人で立っていることに気づいた。事情を説明すると、なんと1万円を貸していただけた。なんていい人だ!本当にありがたい。ありがたいのだが…
財布をお尻から取り出したように見えたのは、夏の蜃気楼のせいだと思いたい。

親切にしていただいたお礼と返金対応のためにお名前を伺った。
しりざきほりおさんと言うらしい。

-浣-





この記事が参加している募集

マンガ感想文

よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはお菓子に変換されます。(お菓子がないと死んでしまいます。)飽食の時代、餓死するかどうかの生殺与奪権はご覧いただいたあなたに委ねられています。