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【12巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る

こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは12巻の振り返り記事となります。

11巻までの記事はこちらから👇

記事は以下のフォーマットで進めていきます。

・この巻は何と何の戦いなのか
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク

多少のネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。

【12巻】レギュラーを辞退した寺沼VS悪役を演じる覚悟

12巻はチームメイトの成長を大きく感じられる巻となっています。全日本から帰ってきてより強くなった練の覚悟。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/作画監修:木内亨/講談社)12巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て12巻より引用しています)

雨宮の策にハマり、レギュラーを辞退した寺沼。その寺沼がいる万全な状態での朱雀高校と戦うことを諦めない黒曜谷メンバー。

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寺沼の気持ちを察し、意思を尊重する志乃。

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父親の暴力から逃れ、辛い生活を送ってきた(響子によって救われたが)にも関わらず、父親のことを思い、寺沼と戦うことを望むサラ。

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中学の時に救われた恩義を忘れず、寺沼の復帰を望む延友。

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悪役として、春高で勝つことを宣言する練。

ああ、どうして黒曜谷のメンバーはこんなにも寺沼の為に一生懸命になれるのか。寺沼のいない楽な道を選ぶこともできるはずなのに、あえて困難な道を進み続けるメンバーたち。

自分が批判されることも恐れず、悪役として臨むことになる春高。チーム全体の心が強くなったと感じられます。

心に響く名言

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由良木コーチが語る、練に対する評価。天才ではなく、孤独の中で立ち向かい続けたからこそ得られた力であると説きます。

そもそも、練がバレーを続けてきた理由とはなんだったか?それは、姉の事故死を忘れる為の現実逃避でした。それでも、チームメイトとの交流により、その目的はやがて形を変えていきます。

姉が見た全てが溶け合うような瞬間を味わいたい、自分がその姉が見た景色へと、チームのみんなを連れて行きたいという意志に変わります。

そして、その過程で気づいたのは、純粋にバレーが好きという気持ちでした。バレーという課題に人より長く取り組めたのは、誰よりも好きだったからこそ。

これは練に限ったことではなく、現実の私たちにも言えることだと思います。人より長く付き合える課題というのは、自分が好きなことでないと続かない。

けれど、好きだからこそ苦しむことも辛いこともある。その辛さと孤独を超えた先に、新しい景色は広がっているのでしょう。

それは、自分の好きとか嫌いとかを超えた、それこそ全てが溶け合うような瞬間なのかもしれません。

注目のシーン

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練が陣内監督に約束をするシーン。姉の死を受け入れられるようになった練の強さを表現しているセリフです。

私が気になったのは、その直前の陣内監督が発した「大石が事故っても勝てるかもしれんぞ」というセリフです。

真理が亡くなってから、常に喪服を着続け、毎日お墓の掃除を欠かさない陣内監督。そんな陣内監督が真理の事故に絡めた冗談を言うのです。

思うにこれは誰よりも真近で、練を含めたチーム全体の成長を見届けてきたから生まれた心の余裕ではないでしょうか。きっともう大丈夫なのだと。

陣内監督は、監督になる前から練を見守ってきました。それは、真理から託されたものでもあり、一種の贖罪のようなものかもしれません。

そんな陣内監督が気を抜いて冗談を言えるくらい、練たちは強くなった。

そのことを端的に表しているシーンではないかと思い、注目のシーンに選びました。

過去作とのリンク

『G戦場ヘブンズドア』の主人公、町蔵が描く漫画『エドガワ排球団』。その漫画を愛する元漫研のメンバーたちが作中の人物に憧れてバレー部を作り、春高に出場します。

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漫画が人生を変えるきっかけとなった、山吹矢高校のバレー部員たち。キャラクターたちはコミカルに描かれていますが、その戦いは真剣味に溢れています。

練たちが得るものも多く、私はこの山吹矢高校との対戦が大好きです。戦いの行方は13巻に続くので、また次回。

と言うことで、12巻の振り返りはおしまい。

私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。

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