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【10巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る

こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは10巻の振り返り記事となります。

9巻までの記事はこちらから👇

記事は以下のフォーマットで進めていきます。

・この巻は何と何の戦いなのか
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク

多少のネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。

【10巻】陣内監督(笛子)の止まってしまった時間VS幸せを願う黒曜谷ストレイドッグス

10巻の表紙は陣内監督(春高時代の笛子)です。1〜9巻までは黒曜谷のチームメイトが表紙となっていましたが、10巻から表紙を飾るのは、真理と同じ黒曜谷OG世代に変わりました。

姉の事故死の真相を知り、自分の思い込みによる誤解を理解した練。目を覚ますきっかけとなった滋に礼を良い、笛子の為にも負けないことを誓います。

1巻では、姉の事故死の責任を笛子に負わせようとしていた練。そんな練が、笛子の幸せを願うようになったのは大きな成長です。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/作画監修:木内亨/講談社)10巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て9巻より引用しています)

真理の死をきっかけに時間が止まってしまったのは、練だけではありませんでした。笛子を含めた黒曜谷OG世代の時を進める為にも、強くなる理由ができたのが10巻です。

心に響く名言

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迷いましたが、響子が試合前に発したセリフを名言として紹介します。『少女ファイト』の中では、「死」は大きなテーマの一つです。それは「死」を描くことで逆説的に示される「後悔のない生」がテーマであるとも言えると思います。

黒曜谷の校章もメメント・モリ(自分がいつか必ず死ぬ事を忘れるな)をデザインしたものとなっています。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)6巻より引用

人は死から逃れられないからこそ、「今」という時間を大切に生きるしかない。終わりを思い描くことが、後悔のない人生を送る秘訣なのかもしれません。

注目のシーン

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練が思わず、姉の真理と見間違えた小田切の姿。舞台は偶然にも真理の事故と同じ交差点です。この交差点は多くの人生の分岐路となります。

小田切が差し伸べた手に救われた練と、笛子が差し伸べた手が間に合わなかった真理。

真理の事故から笛子は自分を責め続けますが、『少女ファイト』の基本は救いの連鎖。春高を無事勝利し、黒曜谷のメンバーが差し伸べた手が笛子に届けば良いと願うばかりです。

過去作とのリンク

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『G戦場ヘブンズドア 完全版』(日本橋ヨヲコ/小学館)1巻より引用

上述したメメント・モリで思い起こされたのが、『少女ファイト』にも登場する阿久田のセリフです。生き急ぐとは、「やりたいことや、するべきことを焦るように急いですること」を意味します。

続いて語られるのがこのセリフです。

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『G戦場ヘブンズドア 完全版』(日本橋ヨヲコ/小学館)1巻より引用

何も考えずに過ごす学校生活の楽しさは、生き急ぐとは真逆の、悠久の時間のように思えます。しかし、そこから一歩踏み出した先、終わりを意識して過ごす毎日の中に得られるものがある事を教えてくれます。

その道は険しく、楽な道では決してないけれど、自分の人生を振り返った時にも思い出すのはいつも、険しい道を進んだ時の事です。

と言うことで、10巻の振り返りはおしまい。

私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。

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