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劇場版ガンダムSEED FREEDOMの「主人公機」に関して

劇場版ガンダムSEED FREEDOM、面白かったです!

初日レイトショーで見たのですが、
一晩明けて冷静に考えてみると、主人公機まわりの繊細にコントロールされた扱いに、改めてグっときました。
覚えてるうちに書き留めておきます。



※※ 以下、本編のネタバレを含みます ※※





ここでいう「主人公機」というのは、SEED FREEDOMの主人公機(マイティストライクフリーダム)と、前作SEED DESTINYの主人公機(デスティニー)の2機のことです。

ガンダムシリーズは子供のころからずっと見ていたのですが、SEED/SEED DESTINYの本放送時はなんとなくネットの悪い評判を鵜呑みにして、食わず嫌いしてたんですよね。
大学に入ってロボアニメ全般を広く見るようになったあとで、「答え合わせ」的な感覚で本編を追いかけて、(とくに無印は)聞いてたより全然悪くないじゃん、という印象でした。

あとはスパロボとか各種ゲームでそこそこ親しんできたので、強烈な思い入れこそないものの、「ガンダムシリーズとして普通に好き」くらいの感覚です。

それくらいの思い入れの人間が見ても、今回の劇場版はかなり満足度が高かったです。

・「達観した賢者」になってしまったキラ
・「暴力で黙らされた狂犬」で終わってしまったシン

この二人を活きたキャラとして改めて描写した上でクロージングしてあげるのがおそらく今作の大きな狙いのひとつで、おおむねそれは達成されていたように思います。

そしてそのドラマを盛り上げる二人の愛機の描写・・・ロボオタとしてはシビれましたね。

■ストフリとかいう最強厨御用達MS

ストライクフリーダムガンダムと言えばSEEDの代名詞的な最強機体で、劇中の活躍っぷりもさることながら、各種玩具展開やゲームでの優遇っぷりから、20年の間ずっと人気を保ち続けている花形MSかと思います。

ちゃんと調べてはないですが、長いガンダムの歴史の中でもファーストのRX78、νガンダムに次ぐくらいの人気じゃないでしょうか。

その名門フリーダム一族の末弟であり今回の主役機であるライジングフリーダムガンダム、コイツの扱いがどうなるかが今回の劇場版で一番気になっていた部分でした。

アニメ8クール+20年の歴史で醸成されたフリーダム一族のブランド力に比肩するだけのインパクトを、2時間の限られた時間で残す必要があるわけで、ヘタな一手を打てば総スカンになりかねないわけです。

もちろん何かしらの隠し玉はあるだろうなと考える人が多かったと思いますが、個人的にはライジングフリーダムの追加武装的な何かか、デスティニーの後継機か、その辺だろうと予測してました。

ネットの事前の空気は、「ふーん・・・このライジングフリーダム?っていうの?なんか淡泊なデザインだけど・・・まぁ・・・イイんじゃない?ウン、悪くないよウンウン」

まぁ、おおむねこんな感じのテンションだったんじゃないでしょうか。

そして本編が始まる・・・
PVで見たライジングフリーダムのアクション・・・
SEEDらしいしょーもない痴話喧嘩・・・
うお、敗けた
どうなってしまうのか・・・

からの

ストフリどーん!
強化パーツどーん!
meteorどーん! マイティストライクフリーダムガンダム!


「え?今日はストフリ最強!!していいのか?」
「ああ・・・しっかり叫べ」
「おかわりもいいぞ」

\ストフリ最強!!/


俺は泣いた

ようは、ジェネシックガオガイガーに対するガオファイガーが、ライジングフリーダムだったわけですね。
そう思うと、ライジングフリーダムのあんまり強そうに見えないデザインも、「やられ役」として抑制の効いたナイスデザインだと思えるわけです。

マイティストライクフリーダムは、「ストフリ=最強」というパブリックイメージを大切にしつつ嬉しいサプライズとしても機能していて、そのあたりの事前の期待値コントロールが本当にお上手だったと思います。

参りました。
これには厄介オタクもバンダイホビー事業部もニッコリ

■デスティニーという不発弾

そしてもう一体の主役機であるデスティニー。こいつの扱いもまた、シビれました。

ストフリ同様、事前に登場が秘匿されていたこの機体、設定上は「SPECⅡ」として改良されてるようですが、デザインや武装はほぼもとのデスティニーのままです。(たぶん)

これは、「あの時に完全燃焼できなかった主人公」のシン/デスティニーに、改めて花道を作ってあげようという強い意志を感じました。

例えば「シャイニングデスティニーガンダム」みたいな新機体にすることもできたはずで、ビジネス面を考えればたぶんそっちの方が好ましいんだと思いますが、「当時のままのデスティニー」に「持てる武装を全て使って無双するという、あの時やれなかった活躍」をさせてやることが、ファンたちの怨念を浄化する一番のやり方だと彼らは分かっていた。

そしてシンとルナマリアのドラマを着地させるためにcv桑島法子の噛ませ猫も用意してあげる手厚さ・・・

ありがとうございます。感無量です。

何気ないようでこの采配って絶妙で、「みんなが大好きなストフリはそのまま登場させて、不遇だったデスティニーには強化形態を用意しました!」だったら、たぶんここまで盛り上がってないはずなんですよ。(だよね?)

個人的には「お前らこれが好きなんだろ?」的な作りってあまり好きではないのですが、今回は恐らく極めて繊細に熟慮を重ねた上でこういう扱いにしたと思われるので、全然アリです。

もうこれだけやられたら続編とかはヤボですね。
あまりにも綺麗に着地しすぎてます。
本当にありがとうございました。

■あと最後に

相対的にとくに何も背負ってないアスラン/ジャスティスがマジでやりたい放題だったのは爆笑しました。

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