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【アブ】詩。

私はやれるだけやつた
-音樂も文學も
それで得たものはなあに?
おつとゝ、危ないアブない
危うくゲロしさうになつた!
だが嘘だつて悲しい
一つつけば二つ三つと
悲しみを数へなければならぬ、
そんなの
耐へらるか怪しいもんだ。
そして再生への意思は
泪で濡れた顔をしてゐる-
音樂はもう自ら潰した
ギターが弾けぬ、
だからと言つて文學が容易だと
思つたら大しくじりだ
だいたい昨今何を書くのか、
書けない事を書くのか
大正文學宜しく…
それでも何も残らぬよりマシか
まあ答へはないだらう、
そんな大神秘 眞面目に取り組む
だと、お願ひだからさう
裏ぶれた演技はやめてくれ!
スウェデンボルグ詣りでもして
物事の内奥について
霊感でも
得るんだな。
どうだい見事に何も物体の
出てこない詩だ、
私の得意ワザなんだ、
そして最後の最後に
萎んだゴム風船、そつと仄めかして
消える。
©都築郷士

筆者近影。〈再生産ソフビのやうな雪人形 くにを〉-再生産なところ、自作ながら氣に入つてゐる。アデュー。

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