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My Best Metal Album 2020

はじめてのnoteの記事です。はじめましてアラフォーのメタラーです。今までもブログでちょくちょくメタルレビューを書いてましたが、ブログが廃墟状態なのでいっちょnoteを使ってみようかなと思い書いてみました。ではどうぞ。
※表記は(アルバム名 | バンド名)
※ジャケットをクリックするとBandcampに飛びます。

⑳Glow | COUNTLESS SKIES

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UKメロデスバンドの2nd。前作はデビュー盤ながらもINSOMNIUM、OMNIUM GATHERUM直系のメロデスでメロデス親父共がメロメロだったわけですが、2作目にして一気にプログレメロデスにシフト。元々バンド名もBE'LAKORからきているし前作でもその片鱗はあったけれど、ここまで化けるとは。しかも元々のメロディと楽曲センスは折り紙付きなのですでに風格も備わり、サビのエピックなクリーンボーカルや爽やかなメロディなど、他のプログレデスにはないエッセンスも味わえます。


⑲Violent Portraits of Doomed Escape | BLACK CROWN INITIATE

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USAペンシルベニア州のプログレッシブデスメタルバンド3rdフル。メロディの雰囲気、グロウルからクリーンボーカルへの展開、アコギパートなどOPETH(旧)の影響が強いですが、サビで朗々と歌い上げる様やメタルコア的モダンなヘヴィネスなど、独自のサウンドも確立。変なクセがなくいい意味で異常に聞きやすいのでプログレデス入門にも最適ですよ。もちろんOPETH(旧)を忘れられないおっさんにも。


⑱Misanthropic Breed | LIK

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スウェーデンのスウェディッシュ・デスメタルバンド3rd。DISMEMBERリスペクトのジャリジャリした王道ギターサウンドですが、「Death Metal」「Hate Campaign」のメロディ路線をさらに推し進め、よりツインギターを顕著にした音になっています。なんか久しぶりに「うお、かっけえ!」ってなりましたよ。メロデスもスウェディッシュデスも好きな人にはこりゃたまらん。


⑰Synæsthesia | CITY OF SOULS

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ニュージーランドのポストロック/プログレッシブメタルバンド1st。デビュー作とは言え結成は2015年ですでに大物とのツアーも経験し、今までのマテリアルを集めた作品ということでクオリティは新人離れしています。Djent的モダンなヘヴィネスもありながらゴシックとも言えるような耽美的メロディも随所で聞かせ、音を幾重にも重ねつつもどこか浮遊感や透明感のあるサウンド。ジャケットもMVもオサレ。オサレメタル。


⑯What the Dead Men Say | TRIVIUM

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アメリカのエクストリームメタルバンド9th。前作「The Sin And The Sentence」が従来のアグレッションとギタープレイを前面に押し出したまさに復活作でしたが、今作もその流れを汲んだ作風。スケールの大きさでは前作に及ばないものの、よりタイトにヘヴィに、俺が21世紀のヘヴィメタルだと言わんばかりの気概に溢れた1枚に。クリーンボーカル路線になってから離れてしまった人も、前作と合わせて是非。


⑮I Let In And It Took Everything | Loathe

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UKの新世代プログレッシブメタルバンド2nd。SikThやTHE DILLINGER ESCAPE PLANを彷彿とさせるカオスでエグいぐらいグルーヴィーなパートと歌ものエモパートが混然一体。そのクリーンボーカルパートの歌メロが同型バンドとは一線を画すエモっぷりで、本当に同じボーカルなのかと耳を疑うほど。またこの2つの要素が1曲の中だけではなくアルバム全体に曲単位で配置された構成力は圧巻ですわ。


⑭Stare Into Death and Be Still | ULCERATE

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ニュージーランドのデスメタルバンド6th。全編おどろおどろしく陰鬱なギターフレーズと異形のドラムがのたうち回るドロドロのデスメタル。しかしどこか神々しさや美しさまで感じてしまうのは何なんでしょうね。かなりキワモノ的扱いなようですが、デスというには多分にメロディアスだし全然聞きやすいですよ。と思ってしまうのも充分沼にはまっているのか。


⑬When I Die, Will I Get Better? | SVALVARD

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UKポストメタル/ハードコアバンドの3rdフル。女性差別など社会問題に対する怒りを、女性Vo&GuのSerenaが絶叫とギターメロディで紡ぐ激情のポストハードコア。DEAFHEAVEN由来のブラックゲイザー的エモーショナルなメロディの洪水と、CULT OF LUNAに通じる知性の混流がたまらなく心地いい。メタリックかつメロディアスなのでポストメタル入門にも最適。


⑫A Romance With Violence | WAYFARER

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米コロラド州のブラック/フォークメタルバンド4th。西部開拓時代をテーマにしたバンドで、フォークと言ってもアメリカンフォークをブラックメタルにブレンドしたシリアスなもの。強烈なトレモロリフから一転して叙情性たっぷりのギターソロに移行する様はまさにタイトルそのもので、映画のような劇的でドラマチックなアルバムに仕上がっています。確かに西部開拓時代って”闇”だよなぁ。


⑪GODSPEED | VOLCANO

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日本の激泣きパワーメタルバンド8th。元AIONのNOVが唯一無二の魂の咆哮で歌い上げ、GARGOYLEの屍忌蛇(Gu)が泣きに泣いた至極のギターを紡ぐスタイルは変わらず、今回は新しい試みとして日本語歌詞の導入や歌謡曲調のバラードなどかなりバラエティに富んだ内容に。しかし普段より少し大人しめとは言え、ここまで泣きに徹したギターソロはやっぱり素晴らしい…。最近ギターソロなしの非メタル多いから余計沁みる…。


⑩Phanerozoic II: Mesozoic/Cenozoic | THE OCEAN

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ドイツのポストメタルバンド8th。地球の歴史を地質学の見地から題材にしていた彼ら、今作では顕生代(Phanerozoic)の中生代(Mesozoic)と新生代(Cenozoic)ということでいよいよ現代まで到達しましたよ。そんなとんでもないスケールのテーマを楽曲に落とし込めるのも、確固たる力量あってこそ。特に今回は恐竜滅亡、人類誕生など今までの作品群の中でも最もドラマティックかつキャッチーな内容に仕上がっています。結局凄いことやっていても聞きやすくないとわからんのです。


⑨Obsidian | PARADISE LOST

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UKゴシック/ドゥームメタルバンド16th。ここ最近「これぞゴシック、これぞドゥーム」と言った傑作を立て続けに出していますが、正直凄いのは分かるけどちと重くて胃にもたれるというのも本音。しかし今作では往年のメランコリックなメロディが大幅に復活、実に心地よく美しい音に身を委ねることができます。もちろん充分重い音楽ではあるけども。この年は多くのベテランゴシックバンドが良作を出していたけど、これがオリジネーターの意地か、頭一つ抜けたクオリティ。


⑧Of Truth and Sacrifice | HEAVEN SHALL BURN

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ドイツのメタルコアバンド9th。サビにクリーンボーカルはなし、徹頭徹尾メロディックかつブルータルなサウンドを貫いている彼らの今作はなんと2枚組100分近くの大作。とは言えよくあるプログレに舵を切ったわけではなく、いい意味で全く変わらないサウンドで従来のファンも安心。アルバム毎でも完結している構成なので単純にボリュームが2倍になったお得感もありつつ、ドイツらしいエレクトロ要素など邪魔をしない程度に新しい試みもあり、全く飽きさせない内容はさすが。信念を貫き通した強さが発揮された傑作。


⑦FLOPPY DISK OVERDRIVE | MASTER BOOT RECORD

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イタリアのシンセウェイヴ・プロジェクト8th。シンセウェイヴ(Synthwave)とはWikiによると、80年代の映画音楽やビデオゲームに影響された電子音楽のジャンル、とのこと。で、このバンドを聞いてみるとなるほど所謂8bitサウンド(ファミコンのBGMのような音)。ただ、音は違えど明らかにメタルのドラムのリズムとギターのリフが刻まれていて(思いっきりMETALLICAなフレーズが乱発されるのはご愛敬)、なるほど確かにこりゃメタルだ。しかもなんと今作からMETAL BLADEに移籍というのでこれはもうメタルだわ。ゲームのボス面などでやたら格好いいBGMって大体メタル風だったりすると思うんですが、まさにあの感じ。メタラー云々じゃなくておっさんゲーマーははまるはず。


⑥Aletheia | SUTRAH

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カナダのプログレ/テクニカルメロデスの1stEP。デビューから2作目とは思えないとんでもないクオリティです。テクニックを前面に出すよりも曲の緩急やドラマ性を重視したサウンドで、その静と動の振れ幅がとてつもなく大きい。またどちらもメロディが非常に充実していて、神々しいまでに美しいと思いきやまさに神の怒りのごとく荒れ狂う。4曲が組曲になっている濃密な30分。ジャケも神ってる。


⑤Nija | ORBIT CULTURE

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スウェーデンのエクストリームメタルバンド3rdフル。メロデス、メタルコア、デスコア、ゴシック、etcのいいとこどりなんだけど、その「いいとこ」の「とり」っぷりが実に上手い。野獣のようなグロウルとグルーヴで畳みかけるパートもあれば、メランコリックなパートは実に泣けて、その静と動、緩急が見事。随所で聞けるエピックなオーケストレーションも絶妙なさじ加減で楽曲を盛り上げていて、とにかくバランス感覚がいい。メロデス好きは直球として、あらゆるジャンルのメタルファンに刺さる内容じゃないでしょうか。


④Endarkenment | ANAAL NATHRAKH

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UKブラックメタルバンド11thフル。今回はいつも以上にメロディアスで、そのメロディもパワーメタル的な実にエピックなもの。名曲「Idol」を彷彿とさせる勇壮なサビのカタルシスがたまりません。残虐性抜群のブチ切れっぷりは相変わらず健在で、そこに垣間見える美しさが一層際立った形になっています。ここに来てまだこんなアプローチがあったのか。ここまでくるとワンチャンパワーメタル好きにも訴求できるのでは。


③Splid | KVELERTAK

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ノルウェーのカオティックロックンロールバンド4th。3本のギターが紡ぐサウンドはブラックメタルなど様々な音楽の要素をぶち込んだまさにカオス極まりないものだけど、1本筋の通ったロックンロールサウンドはある種新線。レトロ、というより古臭いフレーズも何もかもかっこよく昇華していてただただクールなんですわ。新Voのブチ切れシャウトもはまっていて、これが昔ではありえないモダンな要素を演出している。聞く人を選びそうでその実幅広いロックファンに受けること必至。あと個人的にはこの年のベストアートワークです。


②Moment | DARK TRANQUILLITY

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スウェーデンのメロディックデスメタルバンド12th。もはやメロデスと一括りにできない孤高のサウンドを打ち出し続けている彼らですが、今作はミドルテンポ主体でムーディーな作風。ここ数作が少しじめっとした空気感だったのに対し、メランコリックだけどどこかポジティブでキャッチーなアルバムです。即効性はあるけど聞くたびに好きな曲が増えるというのはさすがの一言。特に今回はChristopher Amott(元ARCH ENEMY)とJohan Reinholdz(ANDROMEDA)のギターチームが正式加入したことが大きな変化ですが、技巧に走らずしっかりダートラサウンドに溶け込んだ素晴らしいギターソロを披露しています。むしろMartin Brändströmのアルバムと言っていいほど過去最高に彼のキーボードが曲の雰囲気を支配している。正直地味な印象も否めないですが、聞くたびにやっぱりいい。いい…。


①Palimpsest | PROTEST THE HERO

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カナダのプログレッシブメタルバンド5thフル。聞いてビックリ、パワーメタルになってる!そう、これは「スクリーモ版DRAGON FORCE」とまで言われたデビュー当時の衝動なのだ。元々プログレと言うにはとっつきやすいバンドではあったけど、今作はとにかくキャッチーで華やか。しかしお家芸の高速テクニカルプレイももちろん健在。そして今まで以上に派手なオーケストレーションを導入することで音全体がとにかくポジティブに、たまらない高揚感を味わえます。あっけらかんとした明るさではなく、何かこう笑顔で逆境に立ち向かっているような、まさに2020年に突き刺さる音楽。


個人的に2020年に入ってBandcampとSpotifyを導入したことで、単純にアルバムの購入数が増えたこともあるけれど何より聞くバンドの幅が一気に増えたなぁと。そのせいか今回の20枚のうち半数近くは初めて買ったバンドだったりして、結果このようなジャンル雑多で最近プログレやポストメタル聞き始めてイキってるキッズみたいなラインナップに。

さてその20枚ですが、正直上の2枚以外はかなり流動的です。ただこの2枚は別格。個人的最強バンドのDARK TRANQUILLITYが最強ラインナップで趣のある良盤を出した時点で1位でもよかったんですが…あまりにも、あまりにもPROTEST THE HEROがかっこよすぎました。文句なしの1位。

最近変わったバンドを聞くのが楽しくなってきたんですけど、一方でファーストインパクトで「うおおおおかっこええええ!!」という衝動も減ってきた気もしますね。それもあってこそのメタルだと思うので21年は王道もしっかり聞いていかないとなと思った次第です。それではまた今年もいいメタルライフを。

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