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投手に必要なのは 球速?コントロール?

投手の能力として、球速とコントロールはどちらも注目されます。それでは、どちらがより重要なのでしょうか?

プロ野球選手や解説者でも様々な意見があり、大きく意見が分かれる2つの能力ですが、結論としてはある程度ストライクゾーンに投げる事ができれば、球速の方がより重要です。

まず第一に、投手の目的は、失点を最小にすることであり、そのために必要な事は、アウトを取ることです。アウトを取る方法はいくつかありますが、基本的には打者を打ち取ることがメインと言って差し支えないでしょう。そして、打者をアウトにする為には、

・ストライクを取り三振にする
・打たせてアウトにする

以上の2種類が考えられます。ストライク取るには以下の3種類があります。
・見逃し
・ストライクを空振り
・ボールを空振り

ここで球速とコントロールについて考えます。すると、どれもが球速が重要であることが分かると思います。なぜなら、遅い球であれば、ストライクかボールかの見極めに時間を掛けることができ、また、バットに当てることも容易だからです。これは、コントロールよくコースぎりぎりに投げたとしても同じです。つまり、コントロールが良く、ストライクゾーンに投げることが出来ても、球速が遅いとストライクカウントを増やすことが難しくなります。さらに、球速が速いとボール球を空振りさせる可能性が上がります。これは、見極める時間が少ない為ですが、ボール球を振らせられるとストライクを取れるゾーンが大きくなります。つまり、球速が速いほど、ストライクを取れるゾーンが広くなるのです。これは、よりコントロールの重要性が低くなることを意味します。

それでは、もう一方の打たせてアウトにするについてですが、これも球速の方が重要性は高いです。確かにコースぎりぎりの球はヒットになる可能性が低くなります。しかし、野球の成り立ちとして、打てる球をストライクとした歴史があります。つまり、ぎりぎりであってもストライクであれば、それなりにヒットにすることが可能です。また、レベルが高くなれば、苦手なコースであっても、待っていれば打てたり、得意なコースであれば待っていなくても打てたりする打者が増えます。そう考えると、コントロールが良いから打たれないということはありません。

それでは、コントロールに意味は無いのかと言えばそんな事はありません。コントロールを良くすることで、配球の幅が増えます。インコースを意識させて、アウトコースに投げるなど、配球の幅は増え、思い通りになった時にはバッテリーの喜びは大きいでしょう。しかし、これは中毒性の高い危険な症状です。本来の目的は配球通りに投げて打ち取るのではなく、失点を最小にすることのはずです。配球の魔力に吸い寄せられ、配球に取り憑かれたてしまうと、本来の目的を見失い、狙い通り詰まらせたから結果はヒットだけど納得するとか、追い込むまでは良かったとか、裏の裏をかいて抑えてやろうとして打たれたという事態になりかねません。配球は手段であり、目的ではありません。取ったアウトが全て思い通りであっても、アウトを取るまでに失点をしていては仕方がありません。

ここまで、球速が重要であると説明してきましたが、球速さえ速ければ、ノーコンでも大丈夫かと言うとそんな事もありません。目的が失点を最小にすることですので、四死球絡みで失点を増やしてしまう投手は優秀とはいえません。コントロールと同様に、球速もアウトを取りやすくするための手段の1つです。球速が速く、見極める時間を短くすることが出来たとしても、上記3通りのストライクが取れなければ優位ではありません。四死球で被出塁率が高くなってしまえば、バットの芯を外し、振り遅れさせる事があっても優位ではありません。

結局はバランスが重要です。ただし、多くの方が思っている以上にコントロールは、それほど重要ではなく、球速は重要性が高いと言えます。そして、球速が速ければ、ボール球を振らせる確率も上がり、結果として球が遅い投手よりもストライクを取りやすくなります。

この様に球速の方が重要であるというと、山本昌さんや上原さん等の平均球速が140km/h前後の一流投手の名を挙げて反論する人がいると思います。しかし、彼らはストレートの回転数や回転軸が異常な例外です。プロの平均と比較して1割以上回転数が多いのです。彼らのストレートはもはや変化球や魔球と言って差し支えない領域です。さらに、彼らは変化球も超一流です。変化球を含めた話は、また機会があれば書きたいと思いますので少々お待ち下さい。

それでは今日も良いBaseball lifeをお送り下さい。

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