回転軸偏差を使ったシンカー評価
SSW(シーム・シフテッド・ウェイク)を測る方法として変化量から推定した回転軸と実際の回転軸を比較するという方法がある。この方法を使ってSSWの効果を測る。
SSWについては下記記事参照
検証方法
MLB2020-2021のデータを対象に回転軸の偏差をとった。
観測された回転軸は2020-2021のbaseball savantのCSVデータを使用。Hawk eyeによる実際に観測された回転軸だと推測される)
変化量から推定した回転軸についてはAlan Nathanの式を使用して推定したものを使用。
シンカーの軸編差別成績
シンカー(ツーシーム)は軸の偏差が大きいほど、ゴロをよく打たせ失点リスク(RV/100)が低くなる傾向にある。実際の回転軸がそれほどアーム側に傾いているかは関係なく、回転軸の偏差(SSW)が重要になる球種のようだ。
表を見た限り、軸の偏差が大きくなった時の球質の特徴は縦変化が小さくなり回転効率が落ちる点だ。(逆に横方向の変化はそれほど関係ない)
この点からすると、そもそも縦変化が小さいシンカーが良いシンカーであるというだけにも思えてくる。だが、実際はそう単純でもないようだ。
縦の変化と軸の偏差でクロス集計
軸の偏差と縦変化でRV/100でクロス集計を行ったものが以下の表となる。(1000投球以上の組み合わせが対象)
縦の変化がドロップしていても軸の偏差が小さいとRV/100は0を超える。(平均より失点しやすいという意味)逆にドロップの量が小さくとも軸の偏差さえ大きければ得点を阻止する効果があることがわかる。
つまり、シンカーにとって何より重要なのはボールの動きそのものではなくSSWなのではないかと推測される。
ラプソードやトラックマンだけではSSWを測れない
ラプソードとトラックマン単体ではSSW効果を測ることはできない。なぜなら、両者の測定機器では回転軸の算出方法がそれぞれ1つずつしかできないからだ。
トラックマン:変化量を計測し回転軸を計算する。
ラプソード:回転軸を計測し変化量を計算する。
だが、両方を使い両者の差をとればそれは可能になると思われる。画像はその一例だ。
画像の両者の軸を比較してみると、大きく違うことがわかる。これはSSWの効果によって発生した差だと推測される。現状では、SSWを測れるシステムがどちらかに備わってない以上、良いシンカーを習得したければ両者を使うべきということになりそうだ。(手間とお金がかかるだろうが)
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