NPBで活躍する投手は大学時代どんな成績を残していたか。

NPBで活躍する大卒の選手たちは大学時代のリーグ戦でどんな成績を残していたのだろうか。基本的にサンプルサイズが少ないので参考にならないかもしれないができる限り迫ってみたいと思う。

検証

ドラフト・レポートで大学生のリーグ戦データの収集が始まった2008年から、K/9とBB/9を集計。対象の選手は3年生以降のプレーで3季以上のデータが揃ってる選手とする。(3年以降に限定するのは選手として未成熟な下級生の頃からプレーしてた選手と、選手として完成してから投げ始めた投手とを比較するのは公平ではないと考えたため)

またドラフトレポートで救援登板時の成績が明記されるほど救援登板が多い投手は対象から除外している。NPBでの研究だが救援投手は奪三振を稼ぎやすく先発メインの選手と混ぜるのは公平ではないと考えたからだ。

対象の選手のK/9、BB/9を算出し、大学時代のこれらの指標からNPBでの活躍する選手の共通する要素を探る。今回はリーグレベルの違いを考慮するため、六大学と東都1部、それ以外のリーグでグループ分けをしている。

なお、K/9とBB/9は近いシーズンから4:3:2:1と加重をして出した加重平均を使用する。

巽投手

上記の巽投手の例で例えると、例えば巽投手は07春に非常に優れたスタッツを残している。だが、シーズンを経るごとにスタッツは低下していき、08秋にはK/9が6.2まで低下している。しかし、単純平均すると巽投手の通算K/9は8を超える。この単純平均のK/9は巽投手のプロ入り前の状態を表しているとは言い難いと思われる。そこで、近いシーズンから4:3:2:1と加重をかけたうえで加重平均する。こうすることで近いシーズンの影響をより強く反映した指標を算出可能となる。上記の巽投手のK/9の例だと

(11.3*40*1+7.5*22 2/3*2+7.3*49*3+6.2*40 2/3*4)/(40*1+22 2/3*2+49*3+40 2/3*4) =7.3 となる。

活躍の定義

「プロは3年活躍してこそ一流」という定義にのっとる。救援投手は1年通して活躍しても1.0程度のWARしか稼げないことが多い。よって1×3=3を活躍の定義とする。

WARは2019年まではNPB STATSのものを使用し、2020年以降は1.02 Essence of Baseballのものを使用した。

六大学と東都1部

東都1

六大学、東都一部でWAR3超えを記録してる選手の多くは加重/K9が7.5を超え、BB/9は3を下回っている。大卒選手がプロで活躍するには、ある程度三振を獲れて、四球を出さない完成度をプロ入り前の時点である程度備えなければらないようだ。今季のドラフト候補では西垣雅矢と山下輝がこの基準に到達している。

六大学と東都1部以外

東都以外2

六大学と東都1部以外では条件が更に厳しくなり、加重K/9が9超え,BB/9が1.75以下とかなり素晴らしいピッチングを記録しなければならない。今季のドラフト候補で達成しているのは北山亘基、近いところで椋木蓮、桐敷拓馬がいる。

また左腕投手は成功ラインをクリアしてない選手でもWAR3以上を残している選手が多くいる。左腕投手はスタッツより良い成績を残しやすいのかもしれない。

まとめ

プロでWAR3以上記録している投手は大学時代、

・六大学と東都1部ではK/9が7.5以上、BB/9で3以下を記録している。

・六大学と東都1部以外ではK/9は9以上、BB/9で1.75以下を記録している。

・左投手は以上の条件をクリアできなくてもWAR3以上を記録できる例が多い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?