ヤクルトスワローズの戦力分析

今回はヤクルトスワローズの戦力分析を行いたいと思います。
見ていくのは一軍戦力の強みと弱み・デプスです。

強みと弱みの判断基準

強みと弱みを判断する基準としては「得失点を何点増やしたか(減らしたか)」を用います。
プロ野球のチームの得失点と勝率には非常に強い相関関係があります。そのため各ポジションで何点得失点を増やしたかを見ればそのポジションがどれだけチームの勝利を増減させたかを判断することが可能になります。
またこの手法はあらゆるプレーを得点という同じ単位で評価できるというメリットもあります。

野手

ヤクルト 野手 訂正

各ポジションの得失点の収支状況を見てみると強みポジションは一塁手、二塁手、左翼手となっています。レギュラー格の村上、山田、青木の活躍が大きいと言えそうです。特に村上は三塁を兼任したうえで一塁の貢献を1人でプラスに持ち上げています。

一方、弱みとなっているポジションは捕手、遊撃手、中堅手、右翼手です。

捕手は正捕手の中村が故障で長期間離脱した影響が大きいです。

中堅手は得失点状況を改善させることが期待された塩見が稼働している間はリーグ平均程度の働きを見せたものの故障もあって安定した働きを見せることができませんでした。

右翼手はここ数年で大きな弱点となっているポジションです。レギュラー格の雄平の打撃・守備貢献共にここ数年は大きく落ち込んでいます。右翼手は穴埋めが比較的容易なことから即急な穴埋めが必要となっています。

遊撃手も右翼手同様、ここ数年弱点となっているポジションです。短期的な穴埋めを狙ってエスコバーを獲得したのでしょうが打撃・守備共に奮わず(特に守備)弱点の改善には至りませんでした。


短期的なチーム強化を狙う場合どこを補強していくべきか。


基本的に短期的にチームの強化を狙う場合は弱点のポジションを補強することをメインに考えた方がよいでしょう。

例えばリーグ平均と比べてマイナス20点のポジションがあったとします。
このマイナス20点のポジションに±0点の選手を補強した場合、チームの得失点を+20点増やす効果があります。これは±0点のポジションに+20点の選手を獲得したのと同じ効果があります。一方で両者の獲得の難易度には大きな差があります。±0点レベルの選手は必要なコスト(年俸)はそれほど大きくありませんし見つけることは比較的容易でしょうが+20点レベルの選手を獲得するには必要なコストもそのような選手を見つけることも容易ではありません。それを考えるとマイナス20点のポジションに選手を補強する方が補強成功のハードルは低くなります。

ヤクルトの場合、短期的なチーム強化を狙うなら一塁手か三塁手を守れる選手と右翼手の外国人選手を獲得するのがよいのではないでしょうか。三塁手は一見大きな弱点となっていませんがこれは村上が三塁を兼任することでマイナスを小さくさせているのが要因であり一塁手と三塁手のどちらかを補強すれば両方で大きなプラスを作ることを狙えます。阪神のマルテが枠の関係で放出された場合などは狙ってみてもいいのではないかと思います。

また右翼手はここ数年大きなマイナスを抱えがちなポジションであり±0点の選手を獲得するだけでチームの勝利数を1.5(貯金3相当)増やすことが狙えます。(1勝あたりに必要な得点数は約10点です)

遊撃手や中堅手も弱点ですが外国人選手を補強する場合には基本的にセンターラインの選手は避けた方が無難かと思われます。というのもセンターラインは守備で差がつきやすいのですがMLBでは守備の年齢のピークは20歳前半という研究結果があり助っ人としてNPBに来る外国人選手は多くが20代後半以上であり守備のピークを数年以上過ぎていて高い貢献を期待できないからです。

外国人選手 守備


実際にMLBからNPBへ移籍した守備が得意だった選手やセンターラインの選手のUZRを見てみるとエルナンデスを除くとほとんどの選手がMLB時代より守備指標を悪化させています。

以上のことを考えると助っ人外国人選手は打撃型ポジションの強打者を獲ることを基本とした方が良いでしょう。遊撃手の穴埋めを狙いたい場合、即戦力選手を(いるなら)ドラフトで獲得するのが無難でしょう。

投手

ヤクルト 投手 訂正

投手を見ていくと特に先発に大きな弱点を抱えているようです。大きなプラスを作れる選手がいない一方でこれまで好成績を残してきた原が今期に入って調子を落としたことと新外国人のイノーアが思ったほど活躍できなかったことが原因のようです。

対策

イノーアに代わる先発ができる新たな助っ人外国人選手を獲得すると共にドラフトで即戦力として期待できる先発投手を獲得した方がよいでしょう。投手は野手と異なり早期から戦力になりやすく即戦力選手を積極的に狙っていきたいです。

5年後を見据えたドラフトの補強ポイントはどこか。

ヤクルト デプス

ドラフトでの優先順位は以下のようになると思います。

1 ドラフト上位に値する大卒・社会人の遊撃手がいるなら遊撃手
2 完成度の高い先発投手
3 5年後に27歳前後になる中堅手候補
4 若い捕手

まず1についてです。現在野手の弱点ポジションとなっているのは遊撃手です。1年目から即戦力としてリーグ平均並の活躍をできる選手がいるのならば大型補強をしたのと同じ効果があります。とは言ってもそんなにすぐ活躍できる選手など簡単には見つからないかもしれません。ただ即戦力選手でなくともプロスペクトとなる遊撃手は獲得しておきたいところです。現在チームにいる遊撃手を見てみるとエスコバーは守備の貢献が乏しくまた西浦は現在29歳とこれ以上得失点の上積みを狙いにくい年齢となっています。(一般的に打撃のピークは27歳前後になると考えられています。)ファームを見てみると主に遊撃手を務める武岡はまだ19歳であり戦力化するまでまだ当分かかると思われます。5年後に27歳前後になるプロスペクトの遊撃手を今のうちに獲得しておきたいところです。(獲得した選手が即戦力とならなかった場合は西浦と廣岡で凌ぐことも考えた方が良いでしょう。)

2については現在チームの弱点となっている先発投手に即戦力投手を入れることでチームの強化を図る狙いです。投手は野手と異なり明確な年齢のピークがないこと、いつ故障するかわからないこと、現在進行形で大きな弱点になっていることを考えると(よほど完成度が高いなら別ですが)上位で高卒投手を獲る余裕はチームになく基本的に完成度の高い大卒・社会人の投手を中心に数名指名した方がよいでしょう。

3についてはデプスを見ればわかると思いますが現在ヤクルトには22歳前後のセンターがあまりいません。このままだと5年後に空白の期間ができかねないので今季、もしくは来季には5年後に27歳となる大卒か社会人の中堅手を獲得した方がよいでしょう。一軍の中堅手は弱点となっていますが塩見を使えれば致命的なマイナスにはならないのではないでしょうか。(塩見のコンディション面に不安があれば即戦力選手の指名も検討した方がいいかもしれません)

4については年齢バランス的に若い捕手が足りないと思われますがベテラン選手も含めて数は多いので彼らの去就次第ということになりそうです。

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