【楽天】ガチガチとジェネリックと帝王【2024年への提言】

 どの球団のファンでもない筆者が、なるべくフラットな目線で、来季への展望を好き勝手提言する恒例企画。今回は東北楽天ゴールデンイーグルス編。

2023年の振り返り

 チーム得点はリーグ2位と健闘。村林一輝、小郷裕哉らが頭角を表し、小深田大翔が盗塁王を獲るなど、現有戦力の底上げに成功した。
 一方、投手陣は防御率リーグワーストと苦戦。早川隆久、荘司康誠と若い投手がローテに定着したのは良いニュースだが、飛び抜けた成績を残した投手はおらず、投高打低のリーグで遅れを取った印象。

提言①:守備をガチガチにしよう

 今季は防御率以外に奪三振数もワーストだった。極端な話、27個のアウトをすべて三振で取れるなら、島内がショートにいようと浅村がセンターにいようと構わない。つまり三振が取れないという事は、その分守備の比重が大きいという事だ。
 昨年の記事でも私は「一塁浅村・二塁小深田・遊撃新外国人」という体制を提言した。村林一輝のレギュラー定着後にチーム勝率がアップしたことを考えると、遊撃に守備ウマを呼ぼうという発想は間違っていなかったと思う。

ずっと村林スタメンなら理論上2位

 ただこの提言は半分しか当たらなかった。というのは小深田のセカンドが全然良くなかったからだ。私が贔屓にしているこちらのサイトによれば、小深田の最適解はレフト(次いでサード)であり、浅村のセカンドは小深田以上に数字が悪い。
 また村林についても、彼はレギュラー1年生であり、不振や故障に見舞われるリスクは充分にある。そうなればまた勝率4割のチームに逆戻りだ。そのためまずは二遊間のバックアップが出来る外国人選手を獲得したい。今オフはどう見ても資金難っぽいので、なるべく安く済ませられる選手だと嬉しい。

 1番オススメなのはジョナサン・アラウスだ。二遊間をかっちり守れる25歳で、今季はAAAで100試合出場して14本塁打/OPS.755と自己最高を更新。MLBも毎年30試合前後は出場しているが、レギュラー定着には至っていない。
 10月末にメッツからリリースされ、恐らくはMLB球団からマイナー契約の誘いが来ると思うが、メジャーの登録日数が足りないために50~70万ドル程度で買い叩かれる可能性が高い。なので100万ドル(1億5000万円)ぐらい出せば、ひょっとしたら心動いてくれるかも知れない。

 全然安くねぇじゃねぇかとお思いかも知れないが、メジャーでショート守れる25歳が1億5000万円で買えるならそれは激安と言っていいので、なけなしの補強費をここにぶちこんで欲しい。

(二)△小深田大翔
(中)△辰己涼介
(左)△島内宏明
(指) 浅村栄斗
(一) 伊藤裕季也
(右)△小郷裕哉
(三) 阿部寿樹
(遊) 村林一輝 or アラウス
(捕) 大田 光 or 安田悠馬

 打線はこんなイメージか。
 ちなみに伊藤は一塁スタメンの試合だとOPS.814(通算だと同.668)なので、積極的に使ってあげたい。昨年のオリックスの提言で「頓宮は一塁だと成績良いから一塁で使おう」と書いたが、ビックリするぐらいその通りの結果になったので、伊藤も同じルートに入る事を期待したい。

提言②:ジェネリック松井裕樹を探せ

 メジャー挑戦が決定的となった松井裕樹。日本球界を代表するストッパーの退団は何よりも大きな打撃であり、新外国人を含めた後任探しが急がれる。
 ただ今季はとにかく金がない。松井に払うはずだった4億円をそのまま補強資金に出来れば良いが、親会社が渋ることも大いに予想される。

 という事で、日本球界の中から掘り出し物を探したい。一般的に抑え投手は「奪三振力が高く、四死球が少なく、本塁打を打たれない」事が重要とされるので、この3つのデータについて、松井の一軍成績を上回るスタッツを"二軍で"残している投手を探してみた。

K%:奪三振数÷イニング数×9
K/BB:奪三振数÷四死球数
HR%:被本塁打数÷イニング数×9

 結果はご覧の通り、3つ全てを満たしていたのは元ソフトバンク・椎野新だけだった。この成績を一軍で残している松井が如何にえげつないかがよくわかるし、ソフトバンクとオリックスの層の厚さもよくわかる結果だった。
 という事で椎野を始め、戦力外メンバーは1~2人確保しつつ、可能な限りの補強を行いたい。

提言③:二軍は若手を使おう

 以下の表は、今季の二軍野手の打席数TOP15である。このうち赤字のメンバーが今オフ退団している。

真っ赤っけ

 筆者はこの手のデータを毎年趣味で集計しているが、さすがに退団メンバーで1500打席を超えるのはかなりレアだ。二軍とは英才教育の場であって、打席数とは明日のレギュラーへの"投資額"であるとも言えるが、だとすれば今季の楽天はめちゃくちゃな額をドブに捨てた事になる。これは明らかに編成上の失策だ。
 ちなみに今オフのフェニックスリーグでは3番吉野創士・4番前田銀治と未来ある打線を組んでいる。2人のコンディションを知らないので勝手な事は言えないが、もっと早くこれを出来なかったのか?という疑問は残る。中日の記事でも書いたのだが、そもそも二軍とは若手を育てる事、言うなれば"1年間ずっとフェニックス"をやる事が基本であり、似たか寄ったかの帝王たちに打席数を割いていてはあまりにも未来がない。三木二軍監督は今江体制でも続投という事なので、そのあたりは良くフロントと話し合った方がいい。

まとめ

 親会社の業績不振もあり、来季は半ば"捨て"モードになりそうな感があるのが悲しい。ただ意外とこういう時に伸びるのが勝負の不思議。今江監督は前任者にはない明るさと朗らかさがあり、広島・新井監督と同じようにモチベーターとして機能する可能性は充分にある。苦しい戦いの中にも希望が感じられる一年にして欲しい。

この記事が参加している募集

野球が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?