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【中日】二遊間と負けロングとフェニックス【2024年への提言】

 どの球団のファンでもない筆者が、なるべくフラットな目線で、来季への展望を好き勝手提言する恒例企画。今回は中日ドラゴンズ編。

2023年の振り返り

 チーム総得点は390と極端に低く(5位広島が493)、守備走塁を含めてあらゆる指標が悪い。投手陣は平均よりちょっと良いレベルで、魔境バンテリンドームの恩恵を受けているにしては寂しい数字だ。一方、待望の和製スラッガー(細川成也・石川昂弥)が芽を出し始め、岡林勇希や高橋宏斗が2年目のジンクスを乗り越えるなど明るい話題もあった。

 昨年の提言追加で書いたコラムと照らし合わせると、「外国人野手は外野じゃなくて二遊間」という部分は的を射ていたのではないかと思う。アキーノの大不振と細川の大躍進は予想外ではあったが、結局は「ライトに日本人、ショートに外国人(カリステ)」という形に落ち着いたのは見逃せない。最初から本命外国人を二遊間に配置し、若手をサポートで使う形にすればかなり戦いやすかったはずだ。

提言①:二遊間はどっちも外国人にしよう

 という事で、今からでも遅くはない。もし本気で勝率を上げたいなら、二遊間にそれぞれ2億円前後の外国人を呼ぶのが一番だと思う。今季セカンドの最多出場は村松開人、ショートは龍空だったが、ふたりとも300打席近く立ってOPS.500ほどだった。ここの打力が改善されれば、チーム総得点も大きく上がるはずだ。

 アベレージ型でいうとタイラー・ウェイドは候補に上がるだろう。二遊間を無難に守れるアラサー内野手で、今年はAAAで91試合に出場して出塁率.384/6本塁打/42盗塁、MLBでも26試合で打率.255とそれなりの成績を残したが、10月初旬にリリースされた。内野の控えとして来季もどこかのMLB球団からお声が掛かるだろうが、今季年俸は72万ドルと割安なので、多めに積めば日本に来てくれるかも知れない。

 もうちょっとパンチが欲しいならダニー・メンディックが適当か。22年シーズンはMLBで31試合出場/OPS.786と一定の成果を上げ、単年100万ドルのメジャー契約を掴んだが、今季は同.509と不振に。ただマイナーでは出塁率.369/OPS.793/11本塁打/14盗塁と健闘しており、来季31歳という年齢を考慮しても、日本に来るには良い頃合いだと思う。

 ちなみに二人ともマイナーでは二/三/遊/外と色々守っているので、日本人選手の成績や調子にあわせてポジションを変えられそうなのも強みだ。たとえば岡林と石川昂弥が離脱しても、こんな感じ↓のオーダーが組める。カリステも保険で残留させておけば、今季よりはだいぶ層が厚くなりそうだ。

(遊)△T.ウェイド
(左)△大島洋平
(右) 細川成也
(一) ビシエド
(二) D.メンディック
(三)△高橋周平
(捕) 木下拓哉
(中) ブライト健太
(投) ーーーー

提言②:おじさんリリーフを整理しよう

 中日は何故かリリーフだけは毎年自生する。今季も勝野昌慶と松山晋也が頭角を表し、齋藤綱記が覚醒し、途中加入のフェリスも一定の成果を挙げた。常連組の清水達也、藤嶋健人、マルティネスも充分な働きを見せ、ブルペンの頑強さは12球団でも屈指と言えるだろう。
 一方、中日には負け試合のロングリリーフが出来る投手が少ない。今季その役割を担ったのは上田洸太朗と岡野祐一郎だったが、上田は本来なら先発でじっくり育てたいところだし、岡野は何故やら戦力外になってしまった。昨年のヤクルトの提言でも書いたが、負け試合をこなすリリーフというのは上を狙うには絶対に必要だ。今年のヤクルトの失速は、コールと木澤の穴を埋められなかったのも一因だと思う。

 話を戻す。
 だったら田島慎二祖父江大輔、福敬登、砂田穀樹といった中堅・ベテランに負けロングをさせれば良いのでは?と思う方もいるかも知れない。しかし彼らこそショートリリーフで地位を築いてきた人たちだ。であればこの4名をトレードの弾として、ロングが出来る若い投手を獲得した方が健全ではないか。それなら「若手の目処が立ったのでポジションが被るベテランを放出する」という正しい意味での若返りになる。誰もレギュラーになっていないのに阿部京田三ツ俣を放出するのは若返りと呼ばないんだぜ。
 
 というわけで、こんなトレードを考えてみた。

●中日     ●楽天
祖父江大輔 ⇔ 津留崎大成
砂田穀樹    西垣雅矢

●中日     ●西武
田島慎二  ⇔ 浜屋将太
福 敬登    粟津凱士(育成)

 楽天は松井のメジャー挑戦、西武は森脇佐々木の故障離脱によって、いずれもブルペンに不安がある。左右1枚ずつ補強できるなら渡りに舟だろうし、移籍先での出場機会も担保されそうだ。交換相手の投手は「ファームでそれなりの役割を果たしているが、獲られてもギリ痛くない」あたりのラインを狙ってみた(粟津は獲得と同時に支配下に繰り上げる想定)。

 ちなみに、放出候補にあげた4名の年俸増額が2億3500万円、獲得候補4名の総額が3380万円なので、もしこれらが成立すると中日は2億円ほどのコストカットに成功する。ここで浮いた金を①の外国人補強の予算に回せば、投打のバランスも獲れるはずだ。

表1 投手の起用法案

 イメージはこんな感じか。ちなみに「ロングリリーフって一軍でそんなに出番なくない?」と思うかも知れないが、ロングの面々は二軍を回すという役割も任されている。「火曜日は一軍で敗戦処理、金曜日は二軍で先発」みたいな重労働を彼らがこなすことで、新人をじっくり育成したり、ベテランをゆとりあるローテで回したりするゆとりが生まれる。人柱と言われればそれまでだが、チーム運営には必要なポジションだと思う。

提言③:二軍って本来フェニックスだぞ

 シーズン終了後、毎年宮崎ではフェニックスリーグが開催される。各球団が若い選手を派遣し、来季に向けてのポジ要素を探すわけだが、そもそもフェニックスに限らず、二軍というのは常時若手主体でなければならない。特に野手に関しては、開幕前の段階で「どのポジションで誰を育てるか」という計画を作り、才能ある若者に優先的に打席数を与えるべきだ。引退が既定路線だった堂上直倫に200打席以上与えたり、アキーノ・アルモンテ・カリステをスタメンに並べたりするのは、ただの機会損失でしかない。
 そこで筆者なりに ①一軍(レギュラー) ②一軍半(ベンチ) ③二軍 の3つの枠に野手をあてがってみた。一軍半の条件は「3ヶ月以上の一軍登録 or 100打席以上」とする。

 如何だろう、こう見ると二軍の高齢化が目につかないだろうか。これを執筆している時点ではまだドラフトの結果は出ていないが、個人的には高卒野手を複数獲得した上で、25歳前後の野手を何名かリリースした方が良いと思う。言うなれば"二軍の若返り"を図り、腰を据えて高卒のスターを育成しない事には、永遠に暗黒時代を抜け出す事は出来ない。どうせ来年優勝できる確率はほとんどないのだから、もっと未来志向のドラフトをしてみて欲しい。入札は投手でも、2位森田大翔(履正社)、3位武田陸玖(山形中央)で全然いい。

まとめ

 セ・リーグの古い球団は得てして、一軍監督が編成に首を突っ込んでいる事が多い。そうなると大抵は「いま現場に足りないもの」をドラフトに求める事になるのだが、それが良い方に転ぶ事はほとんどない。ドラフトとは3~5年後のレギュラーを発掘するものであって、けして目先の課題を解決するものではない。もし中日球団が本気で変わりたいなら、まず正式にGM職を設けて、中長期的なプランのもとにドラフトを行うべきだと思う。その上で外国人補強やトレードにしっかり金と知恵を使い、目先の課題はそちらで解決してあげよう。

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