見出し画像

【ロッテ】5番と見切りと掘り出し

どの球団のファンでもない筆者が、なるべくフラットな目線で、来季への展望を好き勝手提言する恒例企画。今回は千葉ロッテマリーンズ編。

2023年の振り返り

 得点505/失点524ながら貯金2を残し、2位でフィニッシュ。ここ何年かの「リリーフ固めれば何とかなるだろ野球」は今季も功を奏し、完投はリーグ最小ながらホールドはリーグ1位。ブルペンデーも含めて、一貫した戦略が感じられた。
 野手ではポランコがHR王に輝き、終盤は石川慎吾もクリーンナップに定着するなど、編成部のファインプレーが目立った。一方で生え抜きの安田尚憲や山口航輝は今年も殻を破りきれず。藤原や平沢も含めて高卒野手育成の難しさが感じられた。

提言①:5番打者を補強しよう

 チーム本塁打100本はほぼリーグ平均だが、うち26本はポランコが放っており、特定の選手への依存度が高くなっている。来季山口か安田がOPS.800打てるなら話は別だが、彼の後を打つ5番打者は補強必須だろう。

 最近の"お下がり"路線で行くなら元巨人・中田翔が適任だと思う。家庭の事情から在京球団志望という報道もあり、首脳陣にも選手にも知り合いが多く、獲得に支障はない。彼レベルの成績が見込める選手をMLBから連れてくると3~4億円はくだらないので、1億5000万円程度で買えるならこれ以上の商品はない。

 どうしても中田は嫌だという場合、外国人を連れてくる他ない。オススメはマイケル・チャビスだ。一塁/二塁を守れる右の長距離砲で、22年にはMLBで14本塁打を放っている。一方で三振率が高くOPSは4年連続0.6台と、一塁手として見るなら微妙、二塁手としてならそこそこ……みたいなラインをさまよっている。メジャー契約はなかなか取れず、年俸は今季100万ドルとお安めなので、140万ドル(2億1000万円)くらい出せば来日の可能性は充分にある。確実性に欠けるとはいえ日本でならOPS.720くらいは期待できるし、頑張ればサードも外野も出来る器用さも嬉しい。

(中) 岡 大海
(遊)△藤岡裕大
(二) 中村奨吾 or チャビス
(指)△ポランコ
(一) 中田 翔 or チャビス
(左)△角中勝也 or 石川慎吾
(右) 山口航輝
(三)△安田尚憲
(捕)△佐藤都志也

 欲張って両獲りすればこんな感じになる。今季はチーム本塁打が100本ちょうどだったが、これなら130本くらい目指せるかも知れない。夢のある話だ。
 とはいえ現実を見ればロッテにそんな金はない。中田もチャビスも獲れず、開幕後に50万ドルくらいの怪我持ちマイナーリーガーを連れてくるのが関の山だ。

 しかし、せっかくだから考えてみたい。
 本当に補強費は捻出できないのだろうか?

提言②:見切ろう

 昨年の提言で「コスパの悪い中堅をリリースして補強費を捻出しよう」と書き、投手4人と藤岡裕大の名前を書いた。藤岡に関しては今季キャリアハイに迫ろうかという成績を残したために的外れになってしまったが、4投手に関しては今季も散々な数字に終わった。

2023年度は4人あわせて14.1イニング、なのに総年俸は2億4050万円

 驚いたのはこの4人が今オフ誰も戦力外にならなかった事だ。もちろん実績のある面々だし、復活すれば戦力になるのは間違いない。ただ総年俸30億の貧乏球団のくせに、おじさん4人の復調に2億円以上も賭ける余裕があるのか?という疑問はどうしても拭えない。あまり実名ばかり出したくないが、たとえば東條大樹や井上晴哉についても、値段に見合う成績を出したかどうかは懐疑的だ。

 恐らくロッテ球団の査定は「絶対評価」に基づいているのだろう。確かに上記のおじさんたちは、二軍の育成選手たちより技術的に秀でていると思う。しかし年俸に見合っているかどうかという「コスパ評価」で見ると、優れているのはむしろ育成選手の方だ。年俸240万の選手が一軍戦力になっていないのは許せるが、数千万円もらっておいて3試合しか投げませんは許容し難いものがある。
 もちろん親会社が資金を出してくれるなら、こういった選手たちを雇い続ける事は何ら悪くない。ただ貧乏なら貧乏なりの最善策がある。せっかくペルドモやカスティーヨを見つけてくる眼力があるのだから、もっとドライに資金を切り詰め、浮いたお金で大物を連れてきた方が勝率は上がるはずだ。

提言③:掘り出し物を探そう

 ここ数年のロッテといえばトレード巧者ぶりが際立っている。今季獲得した西村天裕、坂本光士郎、石川慎吾はいずれも主力級の活躍を見せ、戦力外から拾った澤田圭祐も復活を印象づけた。この辺りの眼力はプロスカウトたちの努力の賜物だろう。本当に尊敬する。
 なので今オフもそういった掘り出し物を発掘して、戦力の底上げを行いたい。幸い弾は②で挙げた通りたくさんあるので、リリーフが手薄な球団を狙って攻勢をかけたい。

 ここ何年かロッテは内野の層が薄い(というか単純に人が少ない)ので、西武・呉念庭あたりは候補に上がるだろう。稼頭央政権下での扱いは悪いが、二軍では打率.341/OPS.952と打棒を発揮しており、一/二/三塁を守れるユーティリティ性は重宝がられるはずだ。

 投手陣でいえばファームのイニングイーターが欲しい。今季の二軍のイニング数は佐々木千隼が2位、唐川が4位だったが、こんなことは高給取りのやる仕事ではないので、もっと安くて使い勝手の投手が欲しい。
 たとえば、こちらも西武から浜屋将太などどうだろう。左の先発として期待されながら直近2年は一軍登板はなく、ルーキー武内の加入でさらに苦境に立たされている。とはいえファームではしっかりローテを回しているし、年俸も1300万円ほどと良心的だ。

 なので「佐々木千隼・東條 ⇔ 浜屋・呉」とかで話がまとまると嬉しい。西武は森脇と佐々木健の故障離脱もあってブルペンが手薄なはずなので、実績あるリリーバーを弾にした商談なら興味を持ってくれるはずだ。

まとめ

 戦略的なビハインド(金欠)を、戦術的な工夫(編成/運用)で賄う戦い方が続いているが、本当に2025年に常勝球団になっていたいなら、まずは予算規模を増額することをオススメしたい。金を出せば必ず勝てるわけではないが、その確率は間違いなく上がるはずだ。

この記事が参加している募集

野球が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?